「お邪魔しまーす。」
「うわー。超いいにおい!!」
「すげー量だな。」
「だって、やっぱ冬の北陸といったら、蟹でしょ!!」
「確かにな!!」
週末に市場から送った蟹が届いて、今夜は蟹パーティ。
みんなが席についたのを見計らって。
「はーい!お待たせー!!」
「何?コロッケ?」
俺はこれまた大量のコロッケをテーブルに運んだ。
「そう。この蟹のね、足とか食べにくい部分を使って、蟹クリームコロッケを作ってみました!
ほら、カズさん、そんなに海鮮得意じゃないじゃん。でも、これなら食べてもらえるかなぁ、と思って。
初めて作ったけど、なかなかうまく・・・。」
「超ーーうまそーーー!!!」
俺が話しているのを遮って、そう叫んだのは潤さんで。
「俺、蟹クリームコロッケ、超ーー好き!!!」
「え?そうだったっけ?」
「そうだよ!!大大大好きだよ!!!食べていい?食べていい?」
その剣幕に押されつつ。
「も、もちろん!どうぞ!!」
「いっただっきまーす!!うわ!トロットロ!」
みんなで潤さんが食べているのを注目。
「アツっ!アツっ!アツ!・・・うん・・・!超うめー。揚げたて蟹クリームコロッケ、超うめー!!」
「ほんと?」
「相葉、すげーな!めちゃくちゃうめーよ!」
「良かったーーー!!」
俺も、俺も、とみんなで手が伸びて。
あっという間にコロッケが売切れた。
「いや、潤がそんなに蟹クリームコロッケが好きだとは知らなかった。」
「え?そう?俺、外食先でメニューにあると結構頼んでるけど。」
「そうだったっけ?」
コロッケを食べた後は、やっぱりお土産に買ってきた日本酒で蟹をつまんでいた。
「で、どうだった?あの旅館、良かっただろ。」
「うん。最高だったよ。」
「念願の雪見温泉もできた?」
「うん!バッチリ!!初日、吹雪でどうなるかと思ったけど!!」
「いや、翔さんの引きの強さは健在だったってことだね。」
翔さんが、潤さんをジロっと睨んで、潤さんが肩を竦めた。
「楽しそうー。俺も行ってみたいー。」
「うーん。でも、俺は吹雪はヤダなぁ。」
「翔くんが行かなきゃ、吹雪になんねーだろ。」
「そっか。」
「ちょっと、そこ!!俺を雪男みたく言うな!」
「だって。」
「ねぇ。」
「本当のことだろ。」
「でも、確かに、着いた日のあの吹雪は酷かった!」
「雅紀までー。」
「まさか、飛行機が引き返すような事態になるとも思えなかったし。」
「言えてる。それはひどいよな。」
翔さんはプリプリ怒ってるけど、みんな大爆笑。
俺は空いた皿を下げにキッチンへ来た。
「雅紀?大丈夫?」
「うん。全然大丈夫だよ。」
「な、雅紀。」
「うん?」
「また行こうな。」
「・・・うん。」
もちろん、旅行は非日常で、すっごくすっごく楽しくて、あっという間に時間が過ぎたけれど。
でも、俺は、ここが俺の居場所だっていう、この空間も好き。
これからもずっと、このメンバーで。
「相葉ー!さっきの蟹クリームコロッケのレシピ、教えてー!」
「もちろん!俺もネットで検索したやつだけど。堂本さんに作ってあげるの?」
「うん。そうしてみようかなーって。」
「カズ!俺にも作って!」
「えぇーーー、めんどくさそうだなぁ・・・。」
ほら。
みんなの空気が温かい。
外は、まだまだ冬の寒さが居座っているけれど、きっと春はそこまで。
俺は翔さんと笑い合って、3人が待つテーブルへと戻っていった。
おしまい