娘が院内学級へ登校している時、絵の具を使う授業がありました。
授業が終わり、お迎えに行くと、担任の先生が申し訳なさそうな表情で、
『お母さん、すみません…
今日の絵の具の授業で服が絵の具で汚れてしまって…
私がちゃんと見ていなかったから…』
と、謝られました。
見ると、その日は真っ白のお気に入りの服で、
本人もやってしまった…という顔をしていました。
しかし、私はそれを見て嬉しい気持ちになりました。
夢中になるぐらい楽しかったんだ。頑張ったんだと。
娘に、
『服なんて洗濯したら綺麗になるから心配いらないよ!
これは絵の具、頑張った証だね!
どんな事したの?楽しかった?』
と、言いました。
娘も安心した様子で、こんな事したよ。と、色々教えてくれました。
それを聞いていた担任の先生も、
『そう言ってもらえて救われます…
本当、楽しそうに夢中になっていました。
洗濯したら取れるかなぁ。すみません。』
と、言うので、
『先生、謝らないでください。
洗濯でとれなくても、これも一つの思い出なんで全然大丈夫ですよ!』
と、そんなエピソードがありました。
そして、数日前、水族館へ行った時のこと。
魚やヒトデを触れるコーナーがあり、
そこで、4歳ぐらいの男児が、魚を触ろうと必死に追いかけていました。
見ると、服もお腹のところや、脇の方までびしょ濡れ。
服大丈夫かなぁ。と心配しつつも、
その子が必死に魚を触ろうとしている姿に、
いつの間にか見ず知らずの子どもなのに、
頑張れーと見守っていました。
お母さんらしき人は見当たらず。
10分ぐらいするとようやく触れたのか、
その子は母親の元に戻って行きました。
すると、その子のお母さんは、
『何やってるの!!こんなに服濡らして!!
やめてよね!バカじゃないの!?』
と、怒鳴り出した。
そうなるよね…
お母さんはそばに居てなかったし、見てなかったし、その子がどんなに夢中だったかわからない。
それを一部始終一緒に見ていた息子に、
『あんなに怒らなくてもねぇ。
必死で頑張ってたんだから。
ママなら、頑張ったんだね!魚触れて良かったね!
って、まずは笑ってあげるけどなぁ。
子どもって無邪気で元気がいいのに。
服なんて乾くのになぁ。』
と、息子に言うと、
『ママはさすが!!子ども心をちゃんとわかってる!
僕もそう思う!』
と、言われ嬉しくなりました。
『でも、ママの考えは特殊かもしれない。
普通は怒るお母さんが多いと思う。』
と、息子に言われました。
確かに。と納得。
余裕がなかったりすると、どうしても
“服を濡らしてどうするの”
と、なると思います。
娘の事がなかったら、私もこの母親のように怒鳴っていたかもしれません。
良いのかわからないけど、
こんな風に心に余裕が持てるのは娘のおかげ。
少し、視点を変えて考えられるようになりました。
この水族館の出来事で、娘の絵の具のエピソードを思い出して、
なんだか寂しさと心が温かくなるような気持ちになったのでした。