2022年10月
19時までには着くように向かいます。
と、主治医との電話を切り、
せっかく帰ってきたのに。
と、一時退院を楽しみにしていた息子。
とても残念がって、泣きそうになっている息子を横に、
入院の準備をしました。
『ごめんね。このままほっとく訳にはいかないから…
点滴入れてもらったら、明日には帰れるようにしてもらうから。
またテレビ電話か、スプラトゥーン一緒にしよう。』
と、息子に伝えて、出発しました。
この日は、連休の前日だったからなのか、
帰宅ラッシュに巻き込まれたのか、
こんな日に限って道が渋滞していました。
着いた時には19時少し過ぎていました。
遅くなってすみません。と、主治医に伝え、
検温をすると、38.8。
あれ?熱ある??
来たばっかりで熱がこもってるかな。
30分後に再度測るも、38.1。
触った感じでは、38度もある感じではなく、
こんなに熱があることにも気が付きませんでした。
こんな体でウインナー作りを頑張っていたんだ…
どんな想いで作っていたんだろう…
絶対、体しんどかっただろうに。無理してただろうな…。
と、色々な感情が込み上がりました。
主治医から、
『お母さん、ごめんなさい。
発熱してると、PCR検査をしないといけなくて…』
と、言われました。
娘は、絶対やりたくないという表情で、
首を横に振り、泣き出しました。
前回、名大病院での抗原検査の時、
放射線治療をしたので粘膜が弱っているから、
あんまり奥まで強く押し込まないで下さい。
と、お願いしたのにも関わらず、
その日の先生は、今まで抗原検査してきた中で一番、めちゃくちゃ奥まで突っ込み、
痛過ぎて、娘は、嘘つき!!と怒って泣いたのです。
いや、私も、嘘つき!!って思いました。
鼻血が出たのもそれも関係してるんじゃないかってくらい、
荒くされたのです。その検査も先週したばかり。
そんな事があったのと、
片一方の鼻には、こんなふうに、まだずっとあの時の鼻血のスポンジが入ったままでした。
事情を話すと、主治医は、
『わかった。鼻水出せそうなら鼻かんで、それを採取しようかな。
あとは、鼻の穴の手前だけ、こちょこちょさせて。
絶対奥はいれないから。先生を信じて。』
と、言われ、娘は頷き、検査は無事終わりました。
先生は、嘘つきではありませんでした。
結果が出るのに1時間。
それまでは病棟にあがれないので、
先に、血液培養と採血、点滴を繋ぎ始めてもらいました。
採血では、CRPが13.62まで上がっていました。
この時点でもう20時。
主治医はずっと一緒に待ってくれていて、
本当に無理を言って、融通をきかせてもらってすみません。と…
全然気にしないで下さい。と言われるも、
申し訳ない気持ちでした。
1時間後、結果が出ました。
コロナは陰性でしたが、ヒトライノエンテロウイルスというのが、陽性でした。
初めて耳にするなぁ…なんか恐竜みたいなすごい名前…。
厄介なウイルスなのかなぁ。と不安になりましたが、
『このウイルスはPCR検査をすると、割と一緒に検出される事が多いんです。
普通の風邪みたいなもので、
隔離とかの制限はなく、コロナ病棟での管理ではないので、
予定通り病棟上がりましょうか。』
と、21時過ぎた頃に、やっと病棟に上がりました。
看護師さんが点滴台をおしてくれて、
私が娘の車椅子をおし、
主治医が私の荷物を持ってくれました。
皆さんからの優しさが沁みました。
2年半ぶりに病棟に上がると、そこは懐かしい匂いがしました。
ここで治療した時の事が、またフラッシュバックしました。
嫌な感じです。胸がざわつきました。
有難い事に、個室が空いていたのでそこへ入れてもらえました。
抗生剤も同時に始めましょう。という事で、
点滴と抗生剤が始まり、一安心しました。
『〇〇ちゃん、先生帰るね。
入院嫌やけど、点滴入れておく方が安心やからね。
明日と明後日は先生、病院に来ないけど、
明明後日、来るからね。』
いつもなら、娘はしんどい時は、医療者に対して、無視する事が多かったりするのですが、
珍しく、この日は、主治医の顔をちゃんと見て、
手を振り、口が痛くて喋れなくて、
ありがとうと言いたいけど、言えないからか、
ペコリとお辞儀をしながら先生に手を振りました。
先生の優しさが娘にも伝わったんじゃないかな。
と、思いました。
娘は初発の時からお世話になっている主治医の事を、
こどもながら、成長と共に、信頼し出しているように感じました。