ゲームソフトを漫画化したマンガを買ったことがありますか?
それは、名作でしたか? 迷作でしたか?
『幻想水滸伝Ⅲ (志水アキ)』
原作付きのマンガには2種類ある。
①マンガのための原作
②他メディアが原作
①番は名作が多数出ている。『ヒカルの碁』『ダイの大冒険』・・・etc。
②番は、数多くの作品が駄作と言っても間違いでないと思う。
いわゆる、メディアミックスと呼ばれるもので、
アニメ・ドラマ・ゲーム・映画などを漫画化する手法である。
では、何故駄作と呼ばれるのか。
それは、マンガという特殊な時間軸のため。
アニメなど1話30分かけて描く話を、マンガでは1,2巻かけて描く。
しかもたった半年で放送が終了してしまう(長くて一年)。
必然的に、マンガも半年及び一年の寿命となってしまう。
その事実があるため、マンガもペースを上げるために、
話やキャラの掘り下げをおろそかにしてしまい、結果駄作と評価を受ける。
しかも、それらが連載される雑誌の多くは、月刊誌である。
悪循環、悪循環。
でも中には、そういった時間軸に左右されない作品も数少ないが存在する。
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』『新世紀エヴァンゲリオン』など、
キャラクターデザイナー本人が漫画化するというめずらしい形である。
固定ファンもおり、安定した人気と売り上げを計算できるという点で、
かなりの成功した作品だと思う。
--------------------------------------------------
今回紹介する『幻想水滸伝Ⅲ』は、元の原作はゲームソフトである。
キャラクターデザイナーでも、コナミの社員でもなく、
一切開発に関わっていない漫画家の方が書いています。
幻想水滸伝シリーズに関しては、過去記事
で一度紹介しています。
まず、この作品が原作ファン以外の方でも楽しめるかどうか、わかりません。
私自身、この作品が世に出ている時点で原作ファンだったので、
原作ファンでなかった視点で読んだことがないからです。
以上のことを踏まえ、レビューさせてください。
このゲーム版『幻想水滸伝Ⅲ』は、3年前に発売されており、
すでに『Ⅳ』と『ラプソディア』という2作も続編が発売されております。
このことから、この作品において、
マンガの時間軸が適用されていないことが分かると思います。
そして、ホントにびっくりすることなのですが、
この作品は雑誌に連載されておらず、全て書き下ろしという点。
このことが事実かどうかわかりませんが、
今の時代ではありえないことだと思います。
この作品の一番の素晴らしいところは、絵にあると思います。
原作ゲームソフト『幻想水滸伝Ⅱ・Ⅲ』のキャラクターデザインの方は、
天才的に絵が上手いです(名前は忘れましたが)。
その絵のイメージを壊さず、さらに魅力的な表情を描くということ。
まさに、原作ファンにとって一番うれしい部分ではないでしょうか?
また、物語も素晴らしい。
原作ゲームの肝となる重要なところはもちろんのこと、
ゲームでは描かれなかった部分もうまく補完しており、
「同時間軸にこんなことが起こっていた」
という、裏情報を知りたい原作ファンの心を掴みきってます(笑)。
当初の予定では、7巻くらいで終わる予定だったそうですが、
物語が思った以上に進まず、まだまだ続きそうです。
作者の妥協を知らない姿勢は、尊敬に値します。
---------------------------------------------
とまあ、ここまでべた褒めしたわけですが、
原作ファン以外の人から見たら、この作品は面白いのかはやっぱり微妙。
マンガとしての完成度は高いですが、
細かい設定とか一部の登場人物を知らないと、
訳が分からないという状態になるかもしれませんね。
お薦めしたいけど、お薦めしにくい作品。
そんな感じです。
では、ここまで。