「それが認められたんだもん。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.264.

ドキドキ  佐津香、キャビネットから、お皿を出しながらも、
「でもさ~~~。」

優維香、その声に、
「うん…???」

皿に、料理を盛り付けながらの佐津香、
「そのリーダーの事で、今、トラディショナル事業部って、何か、揉め事ってあったりするの…???」

いきなりの言葉に優維香、
「へっ…???」
そして優維香、顔を左右に小刻みに振り、
「ううん。全然。そんな事、ある訳ない。だ~~って~~。今。ウチ。」

佐津香、トレイにお皿を…。
「うん。リッツカルバンのどでかい発注~~。」

顔をコクリと2度程、優維香、
「うんうんうん。」

「そのリーダーのデッサン。そして、そのデッサンで優維香の企画開発としてのデザイン。」
「うんうんうん。」

「それが認められたんだもん。揉め事には、なってないはずだよね~~。」

優維香、テーブルに近づいてくる母に、
「うんうんうん。」

「つまりは、至って何事もなく。…いや、それ以上に、良い感じじゃないのぉ~~。今のトラディショナル事業部~~。はいよ~~。」

優維香、料理の匂いを。
「ん~~~。いい匂~~い。」

「それに…。」
トレイを隣の椅子に置いての佐津香、
「もし仮に、何か、揉め事でもあったとしたら、池辺さん、そして真宮部長も、多分、黙ってはいないと思うんだけど…。ふたり、共に、何も言わないんでしょう~~???」

母の話に優維香、また口を尖らせて、
「ま、まぁ~~。課長には、私、リーダーの事、言ったけど…。…言った、けど~~。逆に、まぁまぁまぁ…。今まで、自分でやりたいように海外で…。そんな人を根こそぎ、ここのやり方でっては…、言えないでしょ~~。」
そして、口を窄めて。

すぐさま佐津香、
「ほ~~ら、ごらんなさ~~い。池辺さんたちも、そのリーダーのやりたいように。…って、言うか、そもそも、七瀬さんがわざわざ海外から、引っ張ってきた人物。土台、日本のルールで締め付けるはずないでしょうよ~~~。いただきます。」

佐津香、両手を合わせて。
「はいはい。食べよ、食べよ。」

優維香も両手を合わせて、
「いただきます。…まっ。…確かに。揉め事は…、ない。…って言うか、あって欲しくない。」

佐津香、料理を口に。そして優維香を見て、意地悪そうな目で、
「でしょう~~~。」

優維香も一口。そして、
「いやいやいや。今の状態で、そんな…。変に揉め事なんて…。勘弁、勘弁。」

「じゃあ~~。」
そして佐津香、ニッコリと、
「ふふん。何も、問題は、なし。」

そんな母の声に優維香、
「へっ…???…なんでよ。なんで問題はなしって…。」

佐津香、口を大きく開けて、
「あんたたち、上手くやってんじゃない。」

瞬間、優維香、
「はっ…???」

佐津香、
「つまりよ。」

「うん。」
「何も、揉め事がないって事は~~。実に、上手くやってる、その上で、ほら。結果、リッツカルバン。」

「あ、あ~~~。」
「それと~~。その…。」

優維香、母に顔を傾げて、
「ふん…???」

「新しいリーダー…???…多分、優維香の事、認めてくれているんじゃないかしら~~。」

いきなり優維香、ツンとした顔で、
「うっそだぁ~~~。」

「いやいやいや。だ~~って~~。考えてもみなさいよ~~。」

「ふん…???」
母の顔を見て。

佐津香、
「この前のスタッフコレクション。あれ…。実に、そのリーダー、もぅ、知ってるんでしょ。あのインテリアのデザイン、池辺さんのデザインじゃないって事。」

優維香、その声に、
「うんうんうん。…だって、スタッフコレクションの時、リーダーが見に来た時に、私、直に言ったから。…と、言うか、あの時はリーダーって、知らないで…。…でも、入ってきた時には、もぅ~~。とんでもないインパクト。心臓、バックンバックンだったもん。凄かった。」

佐津香、口の口角に指を。
「へぇ~~~。」

「もぅ~~。あの時は、あの場にいるスタッフ全員、引き込まれたから。」

優維香の声に佐津香、
「あん。じゃあ~~。話は早いじゃん。」

「なんでよ。」
「そのリーダーと言う方。…つまりは…、スタッフコレクションに来て、ジョエルのインテリアを見た。」

「うん。」
「そして、そのインテリアのデザインが優維香や他のスタッフの人たちのデザインだという事を知った。」

「そうだけど…。」
「でぇ~~。今回のリッツカルバン…???」

優維香、コクリと。
「うん。」

「もう一度聞くけど…。」
「うん。」

「その…、リッツカルバンのデザインが…、つまりは…、向こうさんに認めてもらえた、その経緯は…???」

優維香、料理をスプーンで一口。
「あん。それは~~。リーダーの発案のデッサン。」

佐津香、食べながらも顔を2度程コクリと。

「そのデッサンを元に~~。私が製品用にデザインを…。リーダー、こんなのでどぉ…???…って。」
「だからよ。だから、それ…、そのリーダーも優維香の事、認めてあんたに託したんでしょ。」

「えっ…???」
「それが…、実際に~~。」








好きになれない。   vol,192.   「それが認められたんだもん。」

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