望都、その男性に左手を…。
「ホテルエの葛籠慶輔(つづらおりけいすけ)君。…いや…。葛籠慶輔さん。」
慶輔、5人に頭を下げて、
「葛籠と申します。よろしくどうぞ。」
またその声に、5人、
「……。」
瑛子、小さく、
「奇麗な声~~~。」
池辺に。
池辺も、
「うんうんうん。」
望都、
「私の…、2年、後輩。」
悠里、男性を見て、
「へぇ~~~。」
そして、
「あ、望都。あんた。…じゃあ、結婚して今…。」
「あ~~。うん。しっかりと、結婚生活。じゃじゃ~~ん。」
そして望都、左手の甲を悠里に。
薬指にしっかりと結婚指輪。
瞬間、悠里、
「あ~~ん。いいなぁ~~~。…で、で、子供は…???」
「ふん。3歳の…、年小~~。女の子。」
「へぇ~~~。」
「もぅ~~。毎日、絵本に取り憑かれてる~~。」
またもや悠里、
「へぇ~~~。そうなんだ~~。」
小埜瀬、
「話の途中で…。申し訳ありません。」
瞬間、悠里、望都、
「あっ。」
そしてふたり、共に、カウンターから外れて…。
悠里、舌をチロリと。
「…ごめんなさ~~い。」
望都も丁寧に頭を下げて、
「…し、失礼…しました。」
小埜瀬、申し訳なさそうに、
「あ、いやいやいや。別に…。そういう訳ではなく…。」
そして小埜瀬、4人に、
「実は…。望都さん。私の…、例のシェアハウス、紹介してくれたんです。」
その声に4人、目をパチクリと、
「えっ…???」
それぞれが、
「そうなの…???」
「へぇ~~。」
望都、また頭をペコリと。
「はい。実は、そういう事で…。」
悠里、
「え…???…あ…???…でも…、望都…、どうやって…???」
望都、小埜瀬を見て、
「あ。…じゃあ…。ちょっと…。」
小埜瀬、コクリと。
望都、慶輔に、
「ちょっと…、外れるけど…。」
慶輔、笑顔で、
「どうぞ。構いません。」
「ありがと。」
「さ~~てと~~。…帰りますか~~。」
菜帆子。
佐津香も、
「だ~~ね~~。」
愛結美、
「順平~~。どんな感じ~~???」
小埜瀬も、
「ん~~~???」
順平、ニコニコと、
「うんうんうん。いい感じ~~。さすがにグローバル。ヒット、ヒットですね~~。まっ。すぐに翻訳も出来るから、嬉しい限り。」
「…でも、凄いよね、理江子さん。まさか、あんなに語学。まっ。筆頭はさすがに英語。だけど、フランス語~~。ドイツ語に中国語。それに…、イタリア語。…しかも…、それ全部、ササササッと、打てるんだから、とにかくびっくり。どうなってんの…???…しかも…、その早さたるや。」
順平も、
「それを言うんなら僕だってビックリですよ。なんでこういう人が、化粧品会社って…。ある意味、政治の方でも活躍できるって、思ったくらいだから。」
小埜瀬、
「ん、まぁ~~。とにかく、天晴と言うしかないですな。」
そして小埜瀬、
「さすがは佐津香さん。ドンピシャ。」
佐津香、
「んふ~~~ん。まっ。何とかね~~。」
佐津香の提案での世界に掛けてのアンケートが順調なのだった。
しかも…。そのアンケート自体も、ペルソナを対象に、先ずは国内。
そして、その後、海外に向けての発信とされた。
予想以上の反響でもあった。
佐津香、小埜瀬に、
「課長~~。その後、匂い…。どうです…???」
菜帆子に愛結美も、
「あ~~。」
「うんうんうん。」
小埜瀬、その声に、顔を傾げて、
「あ、いや…。…特に…、会社にいる分には…、それほど…。」
菜帆子、小埜瀬に、
「むふふふふふ。…何かしら…、免疫…出来てきたのかな…???」
「はは。…それなら…、いいんですけど…。」
悠里、
「えっ…???…じゃあ、何…???…その女流作家の先生と、知り合いなの…???…望都。」
望都、
「うん。私が15の時に出会った、柏田先生の小説が110万部のベストセラー。」
5人、その声に、
「凄~~い。」
小埜瀬も、
「凄いや。」
望都、
「…で、その年に、先生、堂々の直木賞、ゲット。」
池辺、
「へぇ~~~。」
「あの小説で、先生の大ファンになっちゃったの。それからだよね。サイン会に必ず。…で、毎回、サイン会に行くから顔も覚えられて。まっ。パパとも何かしら、知り合い…みたいな…。」
4人、
「パパ。」
それぞれが顔を見せ合いながら…。
望都、小埜瀬に、
「小埜瀬…さん…???」
小埜瀬、目をパチクリと…。
「あ。いや…。そこまでは…、まだ…。」
4人が4人、共に、
「うん…???」
小埜瀬、
「まっ。それで…。その…、作家さんが~~。家主だという事で~~。望都さんが、それなら私、紹介してあげる~~っと。話がトントンと。…で、伺ったら、まだ2部屋、空いてるって事で。」
「いやいやいや。どれだけ広いの、その家~~???」
瑛子。
小埜瀬、
「いや…。かなり広いですよね~~。2階建てで~~。まっ。柏田さん自身、兄弟姉妹…、5人。でぇ~~。その昔は、著名な家柄~~だったらしいから。建物自体も大きければ、あの当時の…、洋風張りの作り…???」
望都、
「うんうんうん。」
好きになれない。 vol,158. 「あ~~。うん。しっかりと、結婚生活。じゃじゃ~~ん。」
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