静かに始まる歓迎会。
店員たちも、その静けさに…。そして、客の表情を見ながらも…。
10分後、ジョエルの宴会室の入り口に舞華。そして菜瑠美を手招き。
そんな舞華を見て池辺、席を外す。
舞華、出て来た菜瑠美に、
「ちょっと、ちょっと~~。どうしちゃったのよ~~。みんな…、何か、様子が変って。うちの子たち、心配そうに言ってるけど~~。」
静かに飲み食いしているメンバーたちを遠目に見ながら…。
その声に池辺、両手を顔の前で、
「ごめんなさい。」
頭をコクリと。
舞華、
「何かあったの…???」
そんな舞華に菜瑠美、顔をグシャリとさせて…。
「ム~~。」
そして、
「あっ。大将にも報告しないと。」
その声に舞華、
「へっ…???」
厨房の外で詠一、菜瑠美から事情を聞いて目をパチクリとさせて、
「おぃおぃおぃ。大丈夫なのかぁ~~。いやいやいや。何てこったい~~。ママ、俺のスマホ。」
舞華、
「あ、はいはい。」
菜瑠美、困った表情で、
「大将~~~。」
そして詠一、スマホで、
「あ~~、俺だ。おぃ。今、菜瑠美ちゃんから話、聞いたけど、大丈夫なのかぁ~~???」
すると、
「えっ…???…あ~~。うん。うんうんうん。そっか~~。うん。ちょっと待ってな。」
菜瑠美に、
「小埜瀬さん…???」
池辺、
「あ。うんうんうん。」
詠一、ニコリと、
「大丈夫だそうだ。」
その声に菜瑠美も舞華も、ホッとしたような顔で、
「良かった~~~。」
「まっ。アチコチ傷はあるみたいだが、骨には全く異常ないそうだ。軽い打ち身や捻挫程度で済んでる。って。」
菜瑠美、
「良かった~~。」
「ただ…。一緒にいた女性は…、まだ…。目を覚まさないようだ…。今、MRIだと。…あっ、ちょっと待って。」
詠一、またスマホに。
「あぁ。うん。あ~。はい。そっか。…じゃあ、こっち…。…うんうんうん。…分かった。待ってる。うん。じゃあ~~。気を付けて。」
通話を切る。池辺に、
「こっちに向かうって。その…、小埜瀬君。体、頑丈なんじゃない…???…まっ。確かに、アチコチ、治療は施したけど…。本人、ピンピンだって。医師も、これなら大丈夫でしょうって。」
菜瑠美、顔の前で両手で静かに拍手、
「良かった~~。」
詠一、
「女性の家族には連絡着いたらしいからって。一応、事情聴取されたから、これからみんなに合流するって。」
池辺、目を潤ませて、
「うんうんうん。はは。」
舞華も菜瑠美を見て、
「うん。良かった~~。ささ、みんなに報告しなきゃ。」
菜瑠美、潤んだ目でニッコリと、
「うん。じゃね。」
右手をひらひらと。
そんな菜瑠美を見て舞華、
「ふん。何とか…。」
詠一も表情を和らげて、
「やれやれ。麟もその小埜瀬って新人も、とんだ災難だったな~~。」
そして池辺、自分の席に。ひとつ、
「ふぅ~~~。」
そんな池辺に優維香と悠里、
「課長……。」
池辺、優維香と悠里を見て目を真ん丸に。そして口を真一文字に。
「さてと。…ふん。…みんな~~。」
その声にメンバーたち、池辺に集中。
「今ね。大将にも報告してきたんだけど~~。大将も心配して真宮部長に電話してくれたの。そしたら~~。小埜瀬リーダー、大丈夫だって、アチコチ、怪我はしているみたいだけど医師の話だと、大丈夫なんだって。」
その瞬間、メンバーたち、手を叩いて、
「あは~~~。良かった~~。うんうんうん。」
「もぅ~~。こっち向かってると思う。」
病院から出ての真宮と小埜瀬。お互い、
「いやいやいや。散々な目に遭ったもんだ。」
「かかか。ですよね~~。…まさか、こんな事になるとは。びっくりですよ。」
真宮、小埜瀬の顔を見て、
「…それにしても…。タフだね~~小埜瀬さん。階段から、転げ落ちたんだぞ~~。しかも、女性をガードしながらも~~。丁度、階段、真ん中辺りだったかぁ~~???」
その声に小埜瀬、
「あ~~、いや…。あんまり…、憶えてないんですよね~~。いきなりだったから。」
口をグンニャリとさせて、顔を歪めながらも表情は笑顔の真宮、
「何とも…、ある意味…、勲章みたいな…、傷だなそりゃ。」
小埜瀬の右のお凸と左の頬。そして顎の下にはしっかりとガーゼで保護されていた。
真宮、タクシーを捕まえて、
「すみません。……まで。」
運転手、
「あいよ。」
タクシーの中で真宮、スマホの画面にトン。出た相手に、
「あ~~、俺だ。みんな、始めてるだろ。」
スマホに届いてくる声、
「えぇ。最初は静かでお葬式みたいだったんだけど…。今はもぅ。」
真宮、小埜瀬に、
「最初はお葬式みたいだって。」
その声を聞いて小埜瀬、
「ははははは。いやいやいや。」
そして真宮のスマホに向かって、
「心配掛けました~~。僕は大丈夫です~~。」
真宮、スマホを耳から外して、スピーカーに。
池辺の声、
「聞こえました~~。」
好きになれない。 vol,117. 静かに始まる歓迎会。
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