吉竹、そんな小埜瀬に、
「うん…???…何か…???」
小埜瀬、吉竹に寄り添うように、
「あ、あの…ですね。」
吉竹、
「あ、はい。」
小埜瀬、吉竹に、耳打ちするように。
「あ、あの…、部長…。…昨日…、私…。何か…。」
「何か…とは…???何か…???」
小埜瀬、
「あ…、あのですねぇ。…あの…。」
吉竹、そんな小埜瀬に…、にこやかに、
「えぇ。」
小埜瀬、小さな声で、
「昨日の事、私、最後の方…、良く…。」
そして、周りを気にしながらも、そして…、また吉竹に、
「覚えてないんですよ。」
吉竹、眉間に皺を寄せて、小埜瀬に顔を…、
「覚えてない。」
小埜瀬、顔を小さくコクリと…。
「え…、えぇ~~。」
吉竹、周囲のメンバーたちに気付かれないように小埜瀬の右肘を右手で…。
そして小埜瀬を僅かに引っ張る。そして、小さな声で、
「覚えてないって…、どういう事…???…って言うか、申し訳ないけど…。俺…、先に若い子たちに誘われて、カラオケに行っちゃったから、後の事は…、分からないんですよ~~。」
その声に思わず小埜瀬、目を丸く、そしてアヒルのような口で、
「えぇ~~ぇえ~~???」
他のメンバーたちは既に、自分たちの席でいろいろと…。
そして…。
出社してきた愛結美。若いメンバーたちに、
「おはようございま~~す。」
とニコリ。
そんな愛結美に若いメンバーたちもニッコリと、
「おはようございま~~す。昨日はお世話様でした~~。」
愛結美、ニコリと、
「うんうんうん。」
そして、小埜瀬を見るなり、目を丸く、
「おはようございます~~。」
小埜瀬も愛結美を見るなり、思わず気恥ずかしそうに、軽くペコリと…、
「おはよう…、ございます。」
そのまま自分の席に就く愛結美。
小埜瀬、急に腰を低く、そして愛結美に、
「あ、あの…。曾我野さん…。」
その声に愛結美、目をパチクリと。そして顔を僅かに声の方に、
「あ、あ、あ、あ、あ…、はい。」
小埜瀬、また、
「あ、あの…、ですね。…あの…、え…、と…。昨日の…、事なんですけど…。」
愛結美、また目をパチクリとさせて、
「き…、昨日の…と、仰いますと…???…あ、あ~~。あ、はい。歓迎会。」
そして愛結美、小埜瀬に椅子毎回転させて。そして、椅子から立ち上がり、お辞儀をして、
「どうもありがとうございました。お蔭様で、大盛り上がりで…。盛大で賑やかな歓迎会。」
お辞儀をしてまた体を元に戻す…。
小埜瀬、
「そ、その…、歓迎会…、なんですけど…。あの…、その…。」
僅かに体を曲げての愛結美、目をパチクリと。
「あ、はい…。」
小埜瀬、物凄い気恥ずかしいかのように、
「あ、あの…。…私…、最後の方…。どうなって…。」
いきなりドアの方から、
「おはよう~~。」
佐津香、そして菜帆子。
「おざ~~す。」
順平。
「おはようございま~~す。」
龍二に。
他の圭衣子や耀たちも次々に。
小埜瀬、すぐさま背筋を伸ばして、
「ん…。ん…。うん。おはようございます。」
愛結美から離れる。
瞬間、愛結美、
「ぷっ。」
そして口に右手を…。
午前中から昨夜の歓迎会でのコンペの話で持ち切り。
そして…、お昼休み。マーケティング事業部の隣に休憩ブースがある。
フリースペースとなっており、お客様との商談の場としても利用している。
そこで昼食を摂っている佐津香と菜帆子、そし愛結美。
トピックスはやはり…、コンペ。…なのでは…あるが…。
やはり愛結美、弁当のおかずを食べながら、
「ねね。今日、朝ね。やっぱり小埜瀬課長、私に…。昨日の事。」
その声にいきなり顎を前に突き出す佐津香と菜帆子。そして、クスリと笑い、ふたり同時に。
「や…。やっぱり…???」
愛結美、数回頷く。
「あ、あの…。…私…、最後の方…。どうなって…。」
小埜瀬の真似をして…。
佐津香と菜帆子、クスクスと笑いながらも、
「や~~っぱり。」
「ねぇ~~。」
佐津香、
「まっ。順平にも口酸っぱく言っておいたから…。まぁ~~~。吉竹から、事情は聞くだろうとは、思うけど~~。あの人の事だから、散々聞かれれば…。さすがに…。」
菜帆子も、その佐津香の声に、
「確かに。まま、ほっとけないタイプだから~~。」
そして佐津香、
「まっ。それに…。何かの機会に、私たちにも、何かしらのアクションはあると思うから…。」
菜帆子も、
「その通り~~。」
「その時は、その時で。」
愛結美も頷いて、
「うんうんうん。」
そして…。午後からは緊急会議。1ヶ月後のコンペについて。
部署には数名を残して全て会議室へ。
そこには…。既に着席している由利塚理江子。
メンバーたち、
「ゆ…、由利塚さん。」
理江子、メンバーたちを見てお辞儀を。
「お疲れ様です。」
メンバーたちもそれぞれ、
「お、お疲れ様です。」
疑心暗鬼…気味に…。
けれども佐津香だけはニッコリと…。
好きになれない。 vol,099. 「部長…。…昨日…、私…。何か…。」
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庄司紗千 花笠音頭
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