「俺たちの稼ぎが悪いって言うのか。って…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.125.

ドキドキ 柚香、
「バイトかぁ~~。」

真輝、柚香に、
「うん。」

「私は…。バイトは…、無理かな~~。…それでなくとも、おばあちゃん、反対するし~~。…ってか、心配するし~~。子供の頃から、殆ど。おばあちゃんから離れた事、なかったし…。」

「まっ。」
真輝、
「僕も…。…もしかして…、一人暮らし…だったら…。…けど…。家があるし…。しかも、とうさんもかあさんも、バリバリの現役だし。僕がバイトする、なんて言ったら、俺たちの稼ぎが悪いって言うのか。って、いきなり言われそう。」

その声に柚香、クシャリとした顔で、
「くくくく。…かもね。」





幸乃のスマホに着電。
「もしもし、汀です。熊沢先生…???」

スマホから、
「もしもし、熊沢です。すみません。診療中だったもので…。看護師から話を聞いて。…そうですか~~。戻りましたか~~。」

幸乃、スマホに、
「えぇ~~。さっき、何気に柚香のスマホに電話したら……。本人が…。」

熊沢、ニッコリと、
「そうですか~~。とにかく、良かった。」
そこまで言って、少し躊躇って…。
「まっ。とにかく…。…けれども、汀さん。おばあさん。…でも、また、今後…。」

その声に幸乃も、頭をコクリと。
「えぇ。精神科医の藪岡先生にも、電話でそぅ。」

熊沢、目をパチクリと…。
「精神科医の…、藪岡…???」
熊沢、瞬間、頭の中で、
「…そういえば、柚香さん、確か、ここに来て…。精神科医の藪岡…。」

幸乃、スマホを耳に、
「熊沢先生…???」

熊沢、その声に、
「あ~~。はい。…すみません。…私も…。えぇ…、柚香さんからその先生の事は…、以前、真輝君と病院に来た時に。…そうですか~~。えぇ。…まま、まだ…、何とも…、原因が…。」

幸乃、
「あ、はい。…また、何かあったら。」
頭をゆっくりと前に、
「ご連絡、差し上げます。」

熊沢、
「わざわざ、ありがとうございます。…それでは…。失礼します。御免ください。」
熊沢、電話を切る。…そして…。
「精神科医の…、藪岡…先生…。ん~~~。」
そして、椅子から立ち上がり、
「何とも…、不思議な巡り合わせ、あるものだ。」




そして、夕方、真輝と柚香はお互い、世田谷駅で…。

柚香、真輝にニッコリと、
「今日は、ありがとう。」

真輝、柚香に、
「いえいえ。こちらこそ。はは。楽しかった。」

柚香もニコニコと、
「うん。」

「来週、大学…。」

その声に、柚香、僅かに顔を…。
「ん~~~。このまま…。…で、あれば…。だけど…。」

真輝も、柚香のその声に、同じく顔をクシャリとさせて、
「ん~~~。…だよね~~。」
けれども、その瞬間、真輝の頭に、
「あっ。」

柚香、そんな真輝に一瞬、目を丸く、そして顔を傾げて、
「うん…???」

「あ、あ~~。」
真輝、何かしら、顔を曇らせて…。

柚香、また真輝に、
「うん…???」
そして、
「どしたの…???」

真輝、少し申し訳なさそうな顔で、
「う~~ん~~。今、ふと、頭に過った…って言うか~~。」

「うん。」
柚香、口を窄めて。

真輝、
「この際…。…もし、陽織ちゃんになった場合…。」

「うん。」
柚香。

「…陽織ちゃんの…、ままで…。…その…。…大学に…。…その…。…行ってみない…???」

いきなり柚香、目を真ん丸にして、
「うそ―――――――っ!!!」

2、3秒、沈黙。

真輝、柚香に…、思わず、変顔。
「あ、は…。はははははは。はは…。…って言うか…。はは。」
顔をクシャリとさせて…。
「…ってぇ~~~。…ごめん。…無理…、だよね~~~。はは。ごめん。申し訳ない。僕なんかが…、言える立場じゃ…。」

柚香、目をパチクリと…。そして目をキョロキョロと。口を窄めて。
そして、左手人差し指を口に、
「ん~~~???……。…うん。…でも…。それ…。」
そして目をパッチリと、
「うん。」
左手の平に、右拳をトン。
「それ、ありかも。」

瞬間、真輝、
「えへ…???」

柚香、
「うんうんうん。それ、ありかも。…だって、だってさ。今日だって真輝君、陽織を東京見物。」

「あ、あ~~。」
「それに、大学にも一度、おばあちゃんと。」

「うんうん。」

柚香、真輝に、
「うん。真輝君、それ、ありだよ。一度、やってみて。」

その声に真輝、
「うそ。えぇ~~~???…やってみてって…、僕が…???」

そんな真輝に柚香、頭をコクリと、
「うん。だって。同じ大学。それに。」
柚香、何かしら、意地悪な目で、
「言い出しっぺ~~~。かかかか。」

真輝、途端に、
「あいや~~~。」

「まっ。ただ。それは…、私がまた陽織になった場合…。…まぁ、いつ、陽織になるのかは…、分かんないけど…。…それに…、まだ…、どうやったら、陽織から私になるのかも…。今のところ、全然。」

真輝、柚香を見て、
「確かに。」

「うんうん。やってみよう。真輝君、陽織に、お願い。その事。おばあちゃんにも私から、言うから。陽織、記憶力、いいんでしょ。」

「確かに。ん~~。」
真輝。そして、口をガッシリと噤んで。
「ヨシ。分かった。」








LIBRA~リブラ~   vol,137. 「俺たちの稼ぎが悪いって言うのか。って…。」

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