夜になり…。
けれども真輝のスマホに柚香からのラインのメッセージはない。
真輝、気になりながらも、頭の中で、
「…仕方…、ないか…。」
下から母親の、
「真輝~~。咲耶~~。ご飯~~。」
数秒後、真輝、ドアを開いて…。すると、
「おっと。」
咲耶と鉢合わせ。
真輝、咲耶に、
「おまえ、いたんだ…???」
その声に咲耶、
「失礼ね~~。おかあさん、さっき、私の名前、呼んだでしょう~~。」
真輝、その声に思わず、目をキョロキョロと、
「ほぅ、ほぅ、ほぅ~。」
ダイニングキッチンでは既に吾大と愛佳が…。
ふたり揃ってビールで乾杯。
真輝と咲耶、お喋りをしながらも、
「おほ、旨そう~~。」
咲耶も、
「わお、唐揚げ~~。ニッシッシッシ。大好物じゃ~~。」
愛佳、
「物凄い、特売日。部の人がさ、帰りに寄ってこって進められて…。ギリギリセーフ。はは。何とも大盤振る舞い。こういう日って、あるのね~~。」
吾大、
「何々、ビールには唐揚げ、最高マッチング~~。ん~~。旨ぇ。」
真輝、
「おっと。んじゃ、俺もビール。」
そこに咲耶、
「あん。お兄ちゃん、私にも~~。」
真輝、冷蔵庫に手を、
「へぃへぃ。」
そこに真輝のズボンのポケットのスマホにラインの着信音。
真輝、
「おっと~~。」
咲耶、すぐさま、
「わっ。お兄ちゃんにライン~~???…珍しい~~~。」
母に顔を向けて…。
愛佳も、
「ん~~んん~~???ふふ。」
咲耶、冷蔵庫を開けている兄に、
「当然。彼女よね~~~。ねね、どんな人…???」
真輝、その声に、
「そんなんじゃねぇよ。ほぃ。」
咲耶に缶ビールを。
「サンキュ~~。」
そして、
「そんなんじゃねぇよって…。そうだよ。って…、言ってんのと、同じじゃん。かかかか。」
そんな咲耶に愛佳、
「はは。ま~~ったく~~。咲耶~~???」
咲耶、
「だ~~ってさ~~。中学から結構、女にはモテそうな…。それなのに、高校でも、大学でも、彼女ゼロ。そんなの…、有り得なくな~~い。兄としては、イケメンだと思ってるんだけどな~~。」
真輝、一口、口に含んだビールをいきなり、
「ぶっ。」
そして、
「お~~~。」
愛佳、
「きったないよ~~。もぅ~~。」
真輝、
「ごめん、ごめん。変な事言うからさ。」
そして咲耶を見て、
「おぃ。」
咲耶、途端に口を尖らせて、
「む~~~。」
そして真輝、ポケットからスマホを。そして画面を見て、ニッコリと、
「はは。」
「誰~~れかなっ。」
咲耶、兄の方に体を伸ばして。
真輝、瞬間、
「うわっと~~。おぃ~~~。」
咲耶、
「かかかかか。残~~ん念。」
吾大、
「真輝に彼女ってか…。おぃ、いつでもいいぞ、連れてこい。紹介しろよ~~。」
咲耶、そんな父を見て、
「かかかか。さすがはとうさん。オープンですね~~。」
そんな娘の声に吾大、
「あったりめぇよ~~。…んな…。今の時代、そんなせせこましい事してどうするってんだぃ。そんな…、逆に、警察に世話になってる訳じゃない。毎日酒食らってる訳じゃない。ヘビースモーカーでもない。ギャンブラーでもない。そんなヤツだったらどうぞ、どうぞ。いらっしゃ~~い。」
その話に咲耶、いきなり、
「キャッハハハハ。ねね、とうさん。今…。お兄ちゃんの彼女の話、してんだけど…。男性の話じゃないよ。警察の世話や毎日酒食らってるや、ヘビースモーカーやギャンブラーでもない。って、それ、殆ど男じゃん。かかかか。」
そんな咲耶に吾大、
「えっ…???…俺。そんな事、言ったかぁ~~???」
咲耶、そんな父に、
「キャッハハハハ。またおとうさん、誤魔化して~~。好きだからね~~。」
そんな娘に吾大、顔を捻じ曲げて、
「…んな事、あるか~~ぃ。なぁ、かあさん。」
そんな夫に愛佳、
「さて。どうでしょうかね~~。」
吾大、
「かぁさ~~ん。」
咲耶、可笑しがりながら唐揚げを食べて、
「はいはいはい。もぅいいです。はいはい。」
そして咲耶、隣でラインの画面を見て笑顔の兄を見て、
「ふん…???…お兄ちゃん…???」
真輝、その声に、いきなり顔を上げて、
「えっ…???…あ。あ、いや…。はは、うん。美味しい。」
その声に愛佳、
「…と、言うけど…。おま…、真輝、まだ1個も唐揚げ、食べてないんだけど。」
真輝、瞬間、
「えっ…???」
咲耶、すぐさま、
「はい。おかあさんの1本~~~。」
目をパチクリと真輝、
「えっ…???…どういう…???」
愛佳、そんな真輝に、
「はいはい。」
咲耶、顔をグシャリとさせて、
「もぅ~~。この兄貴は鈍いんだから~~。お兄ちゃんがラインのメール見ててさ。目の前の美味しそうな唐揚げ、まだ1個も食べてないって。これ…、どぅ~~考えても、ラインの相手は、女だなって。バレバレじゃんよ~~。」
その話に、真輝、瞬間、目を見開いて、
「うそ。」
咲耶、
「あ~~~ん、もぅ~~。おかあさん、こう見えて、校閲者よ~~。それくらい…。」
愛佳、
「咲耶~~。こう見えては…、余計です。」
瞬間、咲耶、いきなり箸を持った手で口を、
「わっ。ヤバッ。」
LIBRA~リブラ~ vol,043. 下から母親の、「真輝~~。咲耶~~。ご飯~~。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。