「男の人と、こんな風に話し込むなんて…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.146.

ドキドキ そして、お互いに、真輝から、
「ごめん、ごめん。何かしら…。」

柚香、
「かかかか。ううん。ううん。私の方こそ…、話し~~。」

「いやいやいや。ついつい、話しに夢中になっちゃって。」

柚香、顔を左右に、
「ううん。私の方こそ。男の人と、こんな風に話し込むなんて、今までなかったから、つい。」

その声に目を真ん丸にして真輝、
「うそ~~~。全然そんな風に見えないけど…。なんか…、こぅ~~。話し上手って言うか~~。」

「え、え~~ぇ~???…私が、話し上手~~。そんな事、全~~然~~。」
そして、自然に腕時計を見て、
「わっと~~。…そろそろ、帰んないと。おばあちゃん。」

真輝、そんな柚香を見て、
「あ。うん。そうだね。」

柚香、チロリと舌を出して、
「退院して、大学、復帰して、今日まで、講義終わったら、すぐに家に帰る習慣。休みとかは友達と出掛けてはいるけどね~~。」

「うんうん。…じゃ、そろそろ。」


そしてふたりは店を出る。

そして、向かう先は…、同じ駅。そして改札を…。
そして、ふたり、共に歩きながら…。その内に、柚香、真輝を見て。真輝も柚香を見て。
そしてまたふたりで、顔を歪めて…。

真輝、
「へっ…???」

柚香も、
「えっ…???」


そしてホームの入口、柚香、
「うそ…。」

真輝、
「はぁ~~あ~~???」

そして、ふたり共に、ホームに。

柚香、瞬間、顔を伏せて、笑いながら…。
真輝も顔を下に、そして左右に傾げて…。

柚香、今度は顔を両手で伏せて…。

ふたり共に、
「うっそだ~~~。」

柚香、真輝に、
「…もしかして…。」

真輝も、
「もしかして…。」

「家って…。」

真輝、その声に…。けれどもふたり共に、
「世田谷~~???」

ふたり共に、目を真ん丸に、
「な~~んだ~~。」

柚香、
「同じ方向~~。」
そして、
「あ~~ん。だから~~。」

またふたり、共に、
「長篠観音(ながしのかんのん)総合病院。」

そして真輝、
「確かに。近くだもんね~~。」

柚香も、
「うんうんうん。確かに。」

そして、自然に電車でもふたり、隣同士に。
けれども今度は、ふたり…共に…。何も喋らずに、数分。
そして…。お互いに、ギクシャクしたような…、感じでもあり…。
…けれども…、いつの間にか…、顔が…。視線が…。合って。

そして、お互いに、
「あっ。」

そして…、お互いが、僅かながらも顔を赤く…、そして口を尖らせて…。

そうこう…、している間に…、電車はある駅に到着。
すると、ふたり、共にシートから体を…。ホームに降りて…。改札を出て…。

そこで初めて、ふたり共に、
「じゃ、じゃあ…、僕。」
「じゃ、じゃあ…、私…。」

「こっち…。」
「こっちだから…。」

瞬間、柚香、
「な~~んだ~~。真輝君、そっちなんだ~~。」

その声に真輝も、笑いながら、
「いやいやいや。住んでいるのが、こんなに近かったなんて…。」

「ねぇ~~~。今まで、全~~然。はははは。じゃね~~。後で、ラインする~~。」

真輝、そんな柚香に、ニコニコと、
「うん。分かった。じゃ。」

柚香も右手を掲げて、
「じゃあね~~。」

ゆっくりと自分の家の方向に歩いて行くふたり。
…そして、お互いに、姿は見えなくなる。

真輝はまたバッグのポケットの中からイヤフォンを…。

柚香は鼻歌を口ずさみながらも…。時にはステップを踏んで…。そして…、何かしら、
「ははは。イヒヒヒヒ。…ふ~~~ん…。そうなんだ~~。」

そして数分後…。柚香、自宅のアプローチを…。

その数分後、真輝も自宅のドアを…。
「ただ~いま~~。と~~。…誰も、いる訳が…ないかぁ~~。」

玄関で靴を脱ぎ、そのまま、まずはリビングへ…。
「おっと…。いたんだ~~。」

リビングでゴルフクラブを磨いている男性。

帰ってきた真輝を見て、
「おぅ、おかえり~~。な~~にが、おっと、いたんだ~~だ~~。幽霊でもあるまいし~~。」

真輝の父親、勝巳吾大(ごだい)である。
羽田空港勤務の航空機整備士、その1等整備士である。

真輝、
「いや…。親父が日中、家にいる事なんて、珍しいから…。」

その声に、
「な~~に言ってる~~。父さんだってな。たま~~には、平日休みって~~、ときもある。ん~~。」

「ふ~~~ん。…で、また、ゴルフでも行くの…???」

その声に吾大、
「まぁな。来月の初めにラウンドがある。まっ、その準備だな。」

「親父って、ゴルフ、上手いんだっけ…???」

その声に吾大、真輝を見て、
「おまえ…。何気に…。何て言うか~~。」
そして般若のような顔で、
「聞捨て成らぬ事を言うな~~。」

そんな父の声に真輝、立ったままで、
「いやいやいや。…何て言うの…、単純に、親父のゴルフの腕、知らないだけだから…。」

いきなり吾大、その声に嘆くように、
「あのな~~。」
口をへの字にして…。
「ハンデ…16が…、泣くよな~~。」
そして、ドライバーのヘッドを丁寧に磨きながら、
「なぁ~~。相棒~~。」








LIBRA~リブラ~   vol,020.   「男の人と、こんな風に話し込むなんて…。」

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