「こんな私です。選葉子です。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.264.

ドキドキ チャイムが鳴る。

「ハ〜〜イ。」
モニターを見る葉子。モニターの画面には稜平と由佳理。

「おや。来ましたか〜〜。」
鏡花(きょうか)。獏の母親である。
「葉子さん。お願い。」

葉子、その声に、
「はい。」
そして、獏に、
「獏。」

獏、
「おぅ。」

葉子玄関に。ドアを開けて、
「どうぞ〜〜。」

稜平と由佳理、
「よっ。」
「お邪魔しま〜〜す。」



そしてリビングに。

稜平、
「ほほほほほぅ〜〜。うんうんうん。いいね〜〜。」

由佳理もニッコリと、
「うんうんうん。」

椅子から立ち上がり入ってきたふたりに深々とお辞儀をする鏡花。
「こんにちは。そして、初めまして、海江田獏の母の、海江田鏡花と申します。おふたりの事は獏から…。」

稜平も目の前の女性に深々とお辞儀を。そして由佳理も。
「初めまして、選葉子の父の選稜平と申します。」
「由佳理と申します。」

鏡花、ふたりに、
「どうぞ。どうぞ。主人ももうじき…。羽田には着いたと連絡ありましたから…。」

稜平、そして由佳理、ニッコリと。
「そうですか〜〜。」


海江田家のマンション。


鏡花、
「私も昨日、ここに着いたばかりで…。時々、葉子さんとはスマホとオンラインで…。とても奇麗なお嬢さん。」

その声に稜平も由佳理も、
「はははは。」
「ありがとうございます。」

獏、
「どうぞ、ごゆっくりと…。」

鏡花、
「なんか…、部屋随分と、生活的に…。はは。」
そして鏡花、
「不躾で全く申し訳ないんですけど、私、仕事の関係でどうしても、家を留守にすること多くて…。それに、主人も、殆どが不在。ロンドンが本拠地で…。」

稜平、
「外資系の…。」

「えぇ。…だから…、葉子さんと結婚して、このマンションで一緒に住むって聞いてもぅ〜〜、ビックリ。」

稜平、鏡花に、
「あの…、葉子の事は…???」

その声に鏡花、目を閉じて笑顔で、
「えぇ。存じております。けれども…、そんな事は全く。はい。ご心配には及びません。実際、私と主人の方こそ、全く…。こう言って妙ですけど…、殆ど…。一年に何回顔を合わせるか。」
そして、困ったような顔で、
「ふふ。疎遠になってますから…。…でも。…そんな主人ですけど…。私には…。」

瞬間、獏、
「かあさん。」

咄嗟に鏡花、目をパチクリとさせて、
「あら、やだ。私ったら…。おほほほほ。」


既に夏から秋に変わろうとしていた。
葉子と獏の結婚式を控えている。
その前に家族で一度会おうと言う事であった。
家族同士、仕事の忙しさもあり、中々都合が付かずに結婚式の2週間前と言う事になった。


マンションのチャイムが鳴る。

獏、
「来ましたか〜〜。」
モニターに。

画面には武流の顔。

「今、開ける。」



武流、リビングに入って来るなり、まずは稜平と握手。そしてハグ。そして、
「読んでますよ〜〜。ベストセラー作家、選稜平〜〜。いやいやいや。こんな凄い方とご縁に。はは、嬉しいですね〜〜。」

その声に鏡花も、
「私も〜〜。あなた、おかえりなさい。」

「おぅ。ただいま。」


既にキッチンでは由佳理と葉子が…。

武流、キャリアケースから、
「一緒に飲もうかと思いまして…。」
そして箱を取り出し…。

稜平、
「おぅ〜〜。いいですね〜〜。うんうん。ワインですか〜〜。」

「レアものです。」



楽しい語らいの中で、いよいよ…。

武流、
「それでは、獏と葉子さんの…。そして…、海江田家と選家、両家のために。」

6人、一斉に、
「かんぱ〜〜い。」




和やかな時間が始まる。

鏡花、料理を食べて、
「うんうんうん。由佳理さん、料理お上手〜〜。私なんて…、全然。」
そして鏡花、由佳理に頭を下げて、
「仕事でホテル暮らしが多いもので。不行き届きで申し訳ありません。」

その言葉に、武流も頭を下げて、
「申し訳ない。私も、家事の事は一切。ロンドンでは、家政婦を雇っているくらいで…。面目ない。」

由佳理右手を左右に、
「と〜〜んでもない。私なんて、料理の方は、まだまだ〜〜。匡子さんに電話で聞いているくらいですから〜〜。」


賑やかに、時間は流れる。




そうこうしながら、やがて…、稜平と由佳理は帰路に。

武流と鏡花はお互いの寝室に。
葉子と獏もお互いの寝室に。
選家とは全く異なる、一般住宅からマンション。


葉子、ベッドに腰を落ち着かせて、
「ふぅ〜〜。」

獏、そんな葉子に、
「はは、疲れたろぅ〜〜。」

口を尖らせて葉子、
「ふん。…いや。だって、初めて会ったから。獏の両親。」
「まっ。パソコンではしょっちゅうオンラインで…。」

「うん。でも、実物は…。」
そして葉子、
「でも…、おとうさんとおかあさん。私の事…、大丈夫だったかな〜〜。」

その声に獏、
「えへ…???」
そして、
「何言ってる…???…俺が選んだ女性だ。文句は言わせない。」

その声に葉子、口を真一文字に、そして、目を真ん丸にして、
「ありがと。」

「おっ。」

けれども葉子、壁を見ながら、
「でもね〜〜。まだまだ…、こんな私です…。旦那様…???」

獏、葉子の頭の後ろを撫でて、
「うん…???…こんな私です…けど…???…どうしましたか…、奥様…???」

「他の人とは、余り…感情…。」

「今更…。」
そこまで言って獏、
「それこそ、これからどんな風になるのか、選葉子さま。あっ。今度は海江田葉子になるんだ。…大いに、期待してますよ〜〜。葉子のこれからを…。」

瞬間、葉子、獏に顔を向き直って舌をチロリと。
「オゥ。マイ、ハニー〜〜。」
いきなり獏に抱き付き、獏を押し倒す。


数秒後…。
「…けど…、不思議だよな〜〜。」
獏。顔の上の葉子に。

葉子、
「うん…???」

「11年のシカゴより。幼いころからのロンドンより。この1年ちょっと…。はは。…とにかく、選葉子に、尽きる。マイ、ダーリン。」

そんな獏に優しく微笑む葉子、
「ふふ。」





9月某日。

白いウェディングドレスの葉子、モーニングの獏。
互いの指に、結婚指輪。抱き合うふたり。






こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜   vol,248.   「こんな私です。選葉子です。」

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