「へぇ~~。そぅなんだ~~。」
目を真ん丸にして葉子。
ビールを飲みながら稜平、
「なんなら…、四方山話ついでに、話、してみよぅっか…???…って言うか、一度…、会ってみる…???…予定…、入れてみるけど…。物凄い、人となりの良い人。」
その話に葉子、ますます目を丸く、
「へっ…???いいの…???」
稜平、つまみを食べながら、
「かかか、いいに決まってる~~。娘が困ってんだ、当然だろ~~。」
葉子、すかさず口をにんまりとさせて、
「さっすが~~とうさん。恩に着る~~。」
稜平、右手を左胸に、
「何なりと。お任せあれ。」
そこに爽太、
「ただいま~~。」
由佳理、
「あっ、うん。爽太~~。おかえり~~。シンガポール、どうだった~~???」
爽太はこの1週間、海外旅行の添乗でシンガポール入り。
東京に帰ってきたばかりだった。
爽太、すぐさまキッチンに入るなり冷蔵庫から缶ビールを、
「暑いに決まってる~~。…でも、さすがに気持ち良かったよ~~。みんな、喜んでくれた~~。」
由佳理、ニッコリと、
「うんうんうん。良かったね~~。」
「シンガポールか~~。たま~~には、行ってみたいね~~。」
稜平。
「…って、言うか、とうさんの場合は、取材でしょ。ははは。」
そんな爽太に、稜平、ニッコリと、
「まぁな。」
カフェ匡子。匡子、獏が帰って凡そ1時間後。
匡子、
「サブちゃん、そろそろ上がっていいよ~~。」
そんな匡子に佐武郎、ニッコリと。そしてお辞儀をして。
匡子もニッコリと、
「うん。お疲れ~~。」
獏はまだ、マンションの手前数百メートル地点をテクテクと。
そして、こちら。輪湖は、既にベッドの中、モデルのレオ様の抱き枕を抱きながら…。
そして、こちらは…、虎一郎。Tシャツに短パン、机の上のパソコンの画面を…。
仕事の持ち帰りの様子。
そして、こちらは…。パックをしながらパジャマ姿で胡坐の秀美。
ファッション雑誌を繰っている。
選家では、爽太が先にシャワーを浴び、そして葉子がこれからお風呂へと…。
そして翌日。海江田と都沢、そして紫と葉子はいつものように専用カーで横浜に。
日比谷は別行動にて横浜入り。
そして、先にホテルに着いていた日比谷、杏樹と尚登に出迎えられ…。
お互いに名刺交換。
日比谷、
「初めまして。扶桑の日比谷と申します。」
杏樹、
「初めまして、トランキルマンヘブンズの久留巳…と、申します。」
尚登も、
「初めまして。同じく、阿刀田と申します。」
そしてふたり、共に、ソファに座るように。
そして尚登、フロントに向かって。
「おっかしぃなぁ~~。さっきから…、全然…進まないんだけど…。」
都沢、ハンドルを握って、人差し指でトントンと。
路上で進む気配なく、止まったままの車。
助手席で、
「ふ~~ん。」
海江田。
紫、
「あ~~っと、あった、あった。やっと出た~~。事故だわ、やっぱ…。」
隣では葉子が指でササササッと。
そして紫、
「わ~~~。10キロの渋滞。」
海江田、
「うそ。」
ようやく、車一台分がゆっくりと…。
葉子、
「都沢さん、その信号、右、お願いします。」
その声にいきなり都沢、
「え゛っ!!!右って…、方向…、全然、違うけど…。」
後ろを見て葉子に。目を真ん丸にして。
タブレットを見ながら葉子、
「お願いします。」
「あ…、は、はい。」
紫、体を葉子に傾き、
「何、見てんの…???」
葉子、画面を見ながら、
「100メートル先の交差点、右です。」
都沢、
「あ、はい。」
海江田、すぐさまナビをチェックして、
「ん~~~???」
そして、自分もタブレットを…。スワイプ、そして拡大。
都沢、
「ここを…。右…。」
そして、走ると、
「えぇ~~~。思いっきり…、方向…、真逆~~。」
その声に海江田、
「いいから。」
都沢、
「へっ…???」
すると、また葉子、
「もうすぐ行くと、三叉路に…。その三叉路、真ん中に入ってください。」
都沢、
「三叉路…、三叉路。あっ、あった。」
海江田、
「左は、入ったら、行き止まり。」
その声に都沢、
「うそ。」
葉子、
「そのまま真っすぐ。」
都沢、
「え…???…でも、どんどん離れちゃって…。」
海江田、
「いいから…。」
紫も懸命にタブレットを…。そして、葉子のタブレットの画面を見ながら…。
「葉子…、どこ見てんの…???」
都沢、
「へっ…???高速っ。」
「そのまま入ってください。」
キッパリと葉子。
「うそ~~。」
海江田、
「入って、次で下りる。」
「はい…???」
「そして、次で下りて…。」
都沢、
「いやいやいやいや。何処走ってんのか…、さっぱり…。」
「その道、真っすぐです。」
葉子。
海江田、
「ふんふんふん。」
そして紫、
「ひゃ~~。や~~っと現在地、分かった~~。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,104. 路上で進む気配なく、止まったままの車。
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