営業推進部、コーヒーコーナー。
都沢、
「あの…、ポーカーフェイスの…???」
その声に海江田、都沢に、
「おっと~~。ヤッさ~~ん。それ、問題発言。セクハラになっちゃうぞ~~。」
コーヒーカップを持つ手でクィッと都沢に向けて。
瞬間、都沢、
「わっ。…おっと~~。危っぶねぇ~~。」
海江田、
「そっか~~。選さん、自分から豚箱に入ってくような、もんでしょ。っか~~。何とも…、言い得て妙。…そして…、出来過ぎ…かぁ~~。」
虎一郎、ふたりを見て、
「どぅなってんですかね。」
都沢、そんな虎一郎に、
「ん~~。まだまだ…。ようやく、図面が引けるかな…、まで、来たんで…しょうかね、課長…。」
「…って言うか…。名前が挙がってきたって、事は、確かだけど…ね。…でも、まだまだ…。」
そこまで言って海江田、ガラス張りの向こうを見て、
「まだ…、名前は上がっているけど…、まだ会えてない。しかも、話もしていない人も…、いるし~~。」
都沢、左手で項を撫でるように、
「なんですよね~~。」
輪湖の後ろで杉浦厚(すぎうらあつし)、思いっきり椅子を回転させて輪湖の方に、
「輪湖さん。草柳マスターズの提携、OKになりました~~。」
その声に輪湖、
「わお。ほんと~~。NICEじゃ~~ん。」
その時、陣屋、通路を歩きながら葉子に、
「ヨウちゃん、ちょっといい…???」
資料を一枚渡して…。
そして紫にも、
「紫~~。ちょっと、お願い。」
その声に葉子と紫、お互いに目を…。
そして部長室に…。
紫、陣屋に、
「部長…???」
陣屋、ふたりを見て、
「ふん。ほら、ヨウちゃん言ってた、マスコミ関係の話。」
紫、葉子を見て、そして陣屋を見て、
「あっ。あ~~、はい。」
「これも、ひとつ。今回の件の大きな防御のひとつにもなっていると…。…だから、話はしておかないと…。」
紫、顔を傾げて、
「…はぃ…???」
「実はね。」
陣屋、
「マスコミ関係。まっ、無論メディアもそうなんだけど…。全て、シャットアウトしているのは、あなたたちも知っている通りに、広報推進部の長谷部部長が動いている。」
紫、
「あ。えぇ…。確かに対策室でも長谷部部長、そんな話…、してましたけど…。」
「ただ…。敢えて言わせてもらうなら…。単に、長谷部部長ひとりが、そんな…、全て、マスコミやメディア、部長の権限だけで、そんな簡単には…。」
葉子、思わず口を噤んで…。そして、
「…と、仰いますと…。」
「実は…。」
腕組みしながら陣屋、
「そんな…、長谷部部長の裏には、もっと大きな力を持っている人物がいるの。」
瞬間、紫、
「大きな…力…???」
「えぇ…。それが…。天春鳩羽(あまかすはとば)。」
紫も葉子も同時に、
「天春鳩羽って…、前…天春会長の…。」
ふたり、共に目を見合わせて…。
陣屋、コクリと、
「えぇ…。天春…前会長の奥様。」
「…って…、前会長の…奥様って…???」
葉子。
紫も顔をコクリと、
「うんうん。うんうんうん。」
「えぇ。天春現、扶桑の会長。鳩羽会長が、全てのマスコミ関係、そしてメディアまで今回の件、遮断させてる。」
紫、
「えっ…???えぇぇぇぇ…???いや…。でも…。はい。天春会長が…、えぇ。…それは、分かりましたけど…。でも…。どうして…、長谷部…。」
そして紫、葉子を見て。
葉子も顔を傾げて…。
そんなふたりに陣屋、ニッコリと、
「うん。確かに。そうなっちゃうよね~~。…と、言う事は、この話は、まだ、ふたりとも、知らない…か。あの情報通の、戸倉尚子も知らないはず…だから…。ふたりが知らないとなると…。」
葉子、目をキョトンと、
「えっ、えぇ~~。多分…。…???…ん…???えぇ…???」
「実は…。長谷部部長…。…っと、これは…。いぃ…。他言無用。この件についてだけの…、情報だから…。」
紫も葉子も、
「あっ。はい。分かりました。」
「長谷部瑠唯。実は彼女、天春宗謙の…、愛人の子、なの。」
途端に紫、目を真ん丸に、
「うそ―――――っ!!!」
と、同時に両手を口に。目をキョロキョロと、
「…すみま…せん。」
葉子も目を真ん丸に。ただ、声は出さずに。
「けど…、長谷部部長の母親、つまりは宗謙の愛人は、瑠唯さんが生まれて間もなく病気で命を絶った。とっても優しい女性だったと言う話。しかも、人間が出来ていたと言う。鳩羽会長、その当時、自分の姉のように、その愛人を慕っていたそう。…けれども、その愛人が産んだ子供の父親が自分の夫だと分かって。苦しんだんだそう…。」
紫も葉子も、黙って話を…。
「…で、鳩羽会長、苦しんで、悩んだ結果…。自分で育てようと…。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,098. 「広報推進部の長谷部部長が動いている。」
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