そして秀美、
「選さん、さっき、営業推進部の男子って、言ってましたけど…。」
輪湖、
「おっと~~。」
葉子、隣の秀美に、
「うん。まっ。でも、隠しておいても仕方がないから…。営業推進部の男子。実は私と輪湖の同期なの。」
「同期。」
そして輪湖、
「うん。30数名もいた同期の中の…。ここ、本社にいるのは私と葉子と、その営業推進部の男子だけ。」
秀美、
「へぇ~~え~~。」
葉子、
「あっ。食べよ、食べよ。」
その声に秀美も、
「あっ。はい。」
輪湖、
「さて。今日の葉子のお弁当は~~。」
葉子、弁当の蓋を開け…。
輪湖、身を乗り出すように、
「おっと~~。うん、美味しそう~~。」
そして輪湖、
「葉子ねぇ~、今、自分でお弁当作ってる。」
その声に秀美、
「えっ…???うそ。凄~~い。」
その頃、カフェ匡子では…。
獏がカレーを食べながら、
「へぇ~~。そうなんだ~~。虎一郎君と館城さん。輪湖さんはアパート暮らし。」
匡子、
「うん、そう。」
「そして、葉子さん、選さんは、うん。もう聞いたけど、実家から…。…それにしても、母親がグラフィックデザイナー。そして父親がベストセラー作家とは、恐れ入ったね~~。」
匡子、そんな獏に、
「どぅ…???…かつてのフィアンセに…。」
その声に獏、カレーを食べながら、
「かかかか。だから~~。全然、俺から見れば、さっぱり、似てないって~~。」
すぐさま腕組みをして匡子。そして顔を傾げて、
「なんでだろうね~~。どう見ても、その…、なんだっけ…名前、ナンシー…。」
獏、
「うん。」
口をもぐもぐとさせて、飲み込んで、
「ナンシー、フレデリック。」
「そぅそぅ。瓜二つなんだけどな~~。…多分、輪湖もコイっちゃんも、その画像見たら、ふたり、声揃えて、そっくり。…って言うよ~~。…と、その前に、びっくり仰天だわ。うそっ。葉子がいる~~って…。」
獏、話しを聞きながら、
「ん~~~。俺には、全然、分かんねえ。まっ。でも、彼女、選さん…。彼女だけは、何だか、日本人離れしたマスクって言うのは、分かるよね~~。」
その声に匡子、
「えぇ~~~え~~???…そんな風に見えて、何…???…そのフィアンセとは、全然…???」
獏、口を尖らせて、
「ふん。」
匡子、途端に、
「わ~~お。」
そして佐武郎を見て。
佐武郎、思わずクスリと…。
お昼休み終了15分前。
社員食堂に駆け足で走ってきた虎一郎。
「へぇ~~。おばちゃん。天ぷら蕎麦~~。急いで。特急で~~。時間、ない。」
厨房から、
「あいよ~~。」
そんな虎一郎を席から見ながらの輪湖、
「かかかかか。来た来た。」
葉子、
「…ってか、時間、ないよ、コイチ~~。」
カウンターを後ろに虎一郎、葉子と輪湖に、右手を上げて、
「ヨッ。」
そんな虎一郎に輪湖、
「ヨッじゃないよ~~。お昼、もぅ終わっちゃうよ~~。」
「だから、特急で、天婦羅…。」
後ろから、
「あいよ~~、天婦羅~~。お待ち~~。」
虎一郎、
「早っ。まだ、1分…経っ…。」
トレイに。そしていそいそと葉子と輪湖のテーブルに。そして…。
虎一郎、輪湖の隣に。そして初めて見る顔に、2度程軽く頭をコクリと。
「ども。」
輪湖、秀美に、
「この人が、さっき言った、営業推進部の佐賀美虎一郎君。私と葉子の同期。」
その声に虎一郎、
「えっ…???…俺の事…、話して…。」
輪湖、
「仕方ないでしょ。隠しておいたって、すぐに…。」
虎一郎、目の前の女性に、
「ども、こんちわ。営業推進部の佐賀美虎一郎です。よろしく~~。」
その声に秀美、
「あっ。こんにちは、初めまして。今日から、財務企画部に…。鮎川秀美と言います。よろしくお願いします。」
虎一郎、
「鮎川秀美さん。うん。ども。」
そして天婦羅にいきなりがっつく。
輪湖、
「時間ないよ、コイチ~~。何…、別に簡単に済ませられるものだったら~~。」
その声に、麺を啜って虎一郎、
「何言ってる~~。おばちゃんにチケット渡して、1分で出て来たんだぜぇ~~。それこそ、コンビニまで歩いて買って出て来るより早ぇよ。」
「まっ。確かに。」
葉子、
「言われてみれば。」
そして、あれよあれよの内に、虎一郎、どんぶりを両手で。そして、トレイに置いて、
「ごっそぅ~さん。」
輪湖、
「早っ!!!…食べ始めて5分も経ってない。なんなの…あんた。この前は匡子さんトコでカレーを2杯も…。」
秀美、
「匡子さん…???」
葉子、
「あ~~。私たちが良く行くお店。そこのオーナー。」
「へぇ~~。」
こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,045. 輪湖、「私と葉子と、その営業推進部の男子だけ。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※