杏美、続ける。
「それで…、なんですけど~~。…涼香…さん…。ですよね。」
スマホから、
「えぇ、はい。由岐涼香と言います。」
「すみませんけど…、涼香さんの方から、その子に、これ以上は、将輝君、あなたとは付き合えないって、言って頂けませんか…???」
その声に理沙と将輝以外、2回程度頷いて…。
スピーカーから聴こえてくる涼香の声、
「あの…。ちょっといい…???」
杏美、そして麻理絵、芙美、
「あっ、はい。」
「それって…、将輝の気持ちとして、受け止めていいのかしら…???」
その声に杏美と麻理絵、そして芙美、雅美、麗亜も将輝を見つめて。
理沙も隣の将輝を…。
馨、そんな将輝の左肘を突っついて、
「おぃ。」
将輝、しどろもどろに、
「そ…、そんな事…、言われたって…。」
涼香の耳に、将輝の小さな声が届く。涼香、
「将輝~~。ハッキリしなさ~~い。大体、私だって、初めて柚花から聞いた時に、やめときなって言ったの~~。あの子はバスケバカだから、あんた、必ず痛い目を見るよって。」
瞬間、女子一同、
「え゛っ!!!」
杏美と麻理絵、
「うそ…。」
麻理絵、
「そうなんですか~~???」
そして涼香、
「そうだよ~~。…で、あの子も何とか将輝にアタックはしてみた…らしいけど、それ、将輝、すっぽかして。…だから、私に、何とか、お願いって…。」
そして涼香、一拍置いて、
「まぁ~。私も…、同じクラスの子だから~。ある意味、仕方なくって言うのはあったけど…。」
麻理絵、
「い゛っ。同じクラスの…。わお。」
「けと…。私は…。私は、将輝、あんたにもこう言ったわよね。一度だけ、会ってくれって…。一度だけよって、念を押したわよね。…それなのに~~。」
杏美、途端に、
「あ~~ぁあ。なんのこっちゃあ~~。」
そして、
「つまりは…。将輝君、あんたが、ウジウジしてるだけじゃ~~ん。」
麗亜も、
「お兄ちゃ~~ん。」
その声に涼香、
「あっ、妹さん…???今の声…???」
麗亜、いきなり名前を言われて、スマホに、
「あっ、はい。菅田麗亜と言います~~。」
するとスマホから、
「合格、おめでとう~~。」
瞬間、麗亜、いきなり顔を赤くして、
「あっ、はい。ありがとうございま~~す。」
そんな麗亜を女子が笑顔で…。
するとまたスマホから涼香の声。
「まさかね~~。将輝と馨に、あなた方…、女子の友達がいたなんて…。」
すると今度は麗亜、
「この人たちのお蔭で、お兄ちゃんたち、期末、赤点クリアしました~~~。へへ。」
瞬間、麻理絵と杏美、芙美に雅美、理沙も、いきなり、
「シ――――――ッ!!!!」
間髪入れずにスマホから、
「へっ…???うそ…。そうなの…???」
麗亜、途端に、口に両手を…。目を右左に…。
「言っちゃあ、まずかった…???」
そんな麗亜を女子、困ったような笑顔で…。
スマホから涼香の声、
「ふ~~ん~~。道理で…。何が夕ご飯食べて、夜中に起きて勉強よ~~。かかかかか。そんな簡単に…、行くはずないと思ったわ~~。」
涼香、一拍置いて、
「そっか~~。そう言う事だったんだ~~。あなたたちが将輝と馨の勉強、見てくれてたんだ~~。」
その声に麻理絵、申し訳なさそうに、
「…まっ、実を言うと…。」
「ありがとうございます。」
いきなりスマホからその声。
その声に女子、
「えっ…???」
「分かったわ。柚花には私から言っておく。ん~~。いずれにしても、元はと言えば、私が将輝に、言い出したんだから…。やばいな~~って、思ってたの。…まっ、けど…、時間…、掛かるな~~っては、思ってたから。」
杏美、
「わぁ~~。」
「しっかし…。」
涼香、今度は椅子に座って…、
「まさかね~~。…じゃあ、あなたたちは、理沙さんと同じ、名城…???」
麻理絵、間髪入れずに、
「はい。」
それに杏美と芙美、そして雅美が続く。
スマホを耳に涼香、
「そっか~~。ありがとう~。」
そして涼香、今度は椅子から離れてベッドに腰を下ろして、
「まっ、今後も、将輝、多分、鴻上で女子と仲良くする、な~~んて事は、ないでしょうから、将輝と馨の事、よろしく~~。…って言うか、もぅ~、よろしくなっちゃってるか~~。」
その声に麗亜、
「はい。」
「分かった。わざわざ電話、ありがとうね~~。柚花には私の方から言っとく~~。将輝~~。理沙さんの事、頼んだよ~~。」
その声に女子たち、いきなり、
「わぁ~~~。」
杏美、スマホに、
「ありがとうございます。」
「うん。じゃね~~。」
そして通話は切れる。
途端に杏美、
「ふぅ~~~。」
信じて…良かった。 vol.216. スピーカーから聴こえてくる涼香の声。
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