次の土曜日はスポーツセンターに麗亜も連れて…。
始終麗亜、後部席の真ん中で理沙とペチャクチャ。
運転は蒼介。そして助手席には和奏。
後部席の右には将輝、ず〜〜っと、窓の外を眺めながら…。
そしてスポーツセンターでは蒼介、ビデオを手に。
和奏、小野倉に、
「この前は理沙が怪我を…。診てもらいありがとうございました。」
小野倉、そんな和奏に、懸命に右手を振って、
「いえいえいえ、とんでもないです。」
「救護室の…、横峯さんと言う方…。」
その声に小野倉、
「えぇ…。」
「娘から聞きました。」
「そうですか~~。えぇ。」
懸命にビデオでゲームを撮影している蒼介。
和奏、
「なにやら、その方、漆原総合病院の…。」
小野倉、
「えぇ。」
「実は、娘もそちらの病院に入院してまして、師長さんも主任さんも、横峯さん、覚えていまして、よろしく伝えてくれと。」
「えっ…???」
驚いたように小野倉、
「へぇ~~。そうだったんですか~~。これは、これは。」
そして小野倉、
「はい。横峯さんには私の方から伝えておきます。」
その時、麗亜、
「わっ。理沙お姉さん入った~~~っ!!!」
その声に和奏と小野倉、
「わ~~お。」
蒼介、ビデオを片手に、右手でガッツポーズ、
「イェイ。」
そしてすぐさま、
「理沙~~。焦んなよ~~。」
その声が理沙にも聞こえたよう、車椅子を走らせ首をコクリ。
蒼介、将輝に、
「はは、しっかりとゲット~~。」
将輝、ニッコリと、
「はい。」
けれども将輝、今日は朝からず~~っと優れない。
和奏、将輝に、
「将輝君、どうかした…???…朝からずっと…。」
その声に将輝、頻りに右手を振って、
「あっ、いえいえ、大丈夫です。はい。」
和奏、心配そうに…。そしてまた小野倉に、さりげなく耳打ち、
「将輝君、前に理沙と、何か、ありました…???」
その声に小野倉、
「はい…???何かと…言うと…???」
瞬間、和奏、
「あ。はは、いいえ…。私の、何かしら、気のし過ぎかな…、とも思うんですけど…。先週、ここからの帰りに…。」
「えぇ…。」
「何かしら、理沙と将輝君、以前より親し気に…。」
「親し気に…???」
その事に小野倉、腕組みをして…。そして顔を傾げて…。
「あぁ…。そういえば…。あっ、けど…。」
和奏を見て、
「あの…、瑞樹さん。」
和奏、小野倉を見て、
「あ、はい。」
「つかぬ事、聞きますけど…、理沙さんと将輝君って、元々、友達って…事は…???」
その声に和奏、
「へっ…???」
いきなり右手を振って、
「いえ…。」
そして思わず和奏、クスリと。
「ふふ。…どちらかと言えば、理沙と将輝君、ある意味、犬と猿みたいな…、犬猿の仲…???…ふふ。私から言うのもなんですけど…。」
「へっ…???そうなんですか…???…そんな風には…。」
今度は小野倉、思いっきり頭を捻って…。
「んじゃ、あれって~~。」
瞬間、和奏、
「えっ…???」
「あっ、いえね。先週、理沙さん、車椅子毎倒れて。」
「えぇ。」
和奏、頭をコクリと。
小野倉、
「その時、いきなり…。まぁ…、僕も理沙さんに駆け付けたんですけど…。将輝君、その時、いきなり、理沙っ、理沙っ。大丈夫かって、大きな声で…。」
和奏、いきなり、
「はっ…???…あ、あ~~。そんな事が~~。」
蒼介のビデオ撮影に将輝、そして麗亜が付きっきりで…。
小野倉、
「その時、僕、てっきり、将輝君、理沙さんと前々から…って思って…。」
和奏を見て小野倉、
「違って…たんですか…???」
キョトンとした目で。
和奏、顔を揺らして、
「な~~るほど~~。はいはい。そういう事か~~。」
小野倉、まだ何が何だか分からないような面持ちで…、
「あ、いや…。でも、それが…、何か…???」
ゲームを見ながら和奏、
「あっ、いえ。…実は…、今まで、あの子たち、お互いに、お互いを名前の呼び捨て、したことがないんです。」
「えっ???」
「理沙が言うには、将輝君はいつも、頭ごなしで上から目線。いつもそれに腹が立っている。将輝君は将輝君で、理沙の事は、特にそれほども思ってないような…。ただ、妹の麗亜ちゃんが…、病院で知り合って、友達みたいに。だから…。」
そして和奏、小野倉に病院での事を…。
話しを聞いて小野倉、数回頷いて、
「な~~るほどね~~。そうでしたか~~。」
そして小野倉、
「まっ、喧嘩するほど仲がいいって…、言いますけど…。」
その声に和奏、
「ぷっ。ですよね~~。」
信じて…良かった。 vol.122. 蒼介、ビデオを手に。
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。