「ふぅ〜〜。やっと着いた〜〜。」
理沙。
「だ〜〜ね〜〜。」
将輝。
「かかかか。まさか、おかあさんもおとうさんも来れなくなるなんて…。」
「そういう…事も…、あり…だ〜〜ねぇ〜〜。」
蒼介も和奏も、急遽、仕事上の都合で急ぎの要件が入っていた。
致し方なく、和奏の車で理沙も将輝も最寄り駅まで。
そこから電車で障害者スポーツセンターの最寄り駅まで。そこからは徒歩である。
スマホで現在地から障害者スポーツセンターまで。
理沙と将輝、
「えっ…???」
そして顔を見合わせて、
「意外と、近〜〜い。」
「うんうんうん。歩いて…、もしかして…、10分…???」
理沙、
「かかかか。」
そして…。
小野倉、
「あれ…???…今日は…、おかあさん…か、おとうさん…???…えっ…???」
理沙、
「それが〜〜。」
話を聞いて小野倉、
「おやおやおやおや。そっか〜〜。かかか、忙しいね〜〜。おし。んじゃ。」
理沙、
「はい。」
将輝、
「ども。」
そして、いつも通り。整列から…。ゲームが始まる。
小野倉、ゲームを見ていて、
「かかかかか、これも菅田君の御蔭かな、日に日に動きが良くなってきてるじゃない。ん~~???」
その声に将輝、照れながら、
「そんな事ないっすよ~~。」
少し赤ら顔に。
「…けど、やっぱり、実際にゲームしてみるのって、本人にとっては、一番なのかも…知れないっすね~~。」
小野倉、腕組みをして、
「あ~~。」
そして、第1ピリオド、5分が過ぎた後。
いきなり小野倉、
「あ~~~っと。わお。」
将輝を見て…。
将輝も、
「いぇ~~い。」
すぐさま小野倉と一緒に拍手。
小野倉、
「凄ぇ~~。初シュート、決めた~~~。かかかか。」
将輝、
「うんうんうん。」
理沙、女の子とハイタッチ。そして大柄の男子ともハイタッチ。
小野倉、
「いやいやいや。うんうんうん。」
その、理沙のシュートで、何かしら流れが変わったかと…。
その時、男性同士がぶつかり合いながらもパスを理沙に。
…けれども、そのパスが乱れて少し理沙の…、わずか離れた方向に…。
懸命に右手を伸ばした理沙。
その時すぐそばにいた男子も手を伸ばし、瞬間、理沙は車椅子毎転倒、
その拍子に男子の車椅子も…。
いきなりその場を立った将輝、
「理沙っ!!!」
小野倉も、
「おっと~~。」
将輝、すぐさま駆け足で理沙に。
「理沙。理沙。理沙。大丈夫か、理沙。」
頭と肩から床に倒れた理沙。目を閉じたまま。
わずかに身体を起こされて、ようやく目を開ける。
「痛った~~~。」
「おぃおぃ、大丈夫か…???」
その声にようやく気付く理沙。
「あった~~。」
男子の方はひとりで何とか体勢を起こして、倒れたままで、
「ごめんなぁ~~。大丈夫か~~???」
将輝、
「どっか、痛いとこ…???」
小野倉、
「菅田君、ちょっといいかな…。」
将輝、慌てて、
「あっ、はい。」
理沙の体を支えたまま。
小野倉、
「おぃしょっと。」
将輝とふたりで車椅子と理沙の体を元に。
小野倉、掴んだ車椅子のハンドルを将輝に、
「少し、休んでて。」
将輝、
「あっ、はい。」
将輝、車椅子を押して。
理沙、
「わ、私…。」
将輝、
「パスを、受け損ねて…。」
理沙、右肘から肩に左手を…。そして頭の右にも。そして右手で頭を…。
「あっ。そっか~~。」
理沙の頭を見て将輝、
「どっか、痛むとこは…???」
小野倉、倒れた男子の下で…。男子は右手を掲げて。
そして小野倉も右手を。そして理沙の下に。
「大丈夫ですか~~???…どこか、痛むとこは…???…ちょっと、袖、肩までいいですか…???」
理沙、言われる通りに袖を肩まで捲って…。
「特に…問題、ないようだけど…。」
理沙、
「少し、肘と肩、頭が…。床に倒れたショックで…。」
「あ~~。ん~~。まっ、本格的なゲーム。特に、プロのゲームになると、今みたいな事って、よくあるんだけど…。」
将輝、
「僕らだって、試合で、相手とぶつかり合う事なんて、しょっちゅうですから…。」
「うん。でも、それは健常者の場合…。こっちは障害者だから…。」
そして小野倉、
「無理する事、ないよ。」
その声に理沙、
「あっ、はい。」
そして右手で髪を…。
瞬間、将輝、
「お~~~い。」
その声に理沙、
「えっ…???」
将輝、理沙の右手を取り、理沙の指でこめかみの上の部分を…。
理沙、瞬間、
「あいた。」
「傷になってんぞ。少し血も。」
小野倉、
「…ん…???」
理沙、
「うそ。」
そして自分の右手の中指を見て、
「わっ。」
小野倉、
「とにかく、場所を変えよう。」
「ふぅ〜〜。やっと着いた〜〜。」理沙。
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