ものの30分で用意した食材が殆ど消化。
将輝、
「ふぇ~~~。食べた~~。」
馨も、
「うんうんうん。俺なんて、珍しいや、こんなに肉食べたの。」
「それを言うんなら、俺だって~~。」
和奏、そんなふたりにニッコリと、
「うんうん。ありがと、やった甲斐があった。」
蒼介、
「だ~~ね。」
そして腕組みして笑顔で、
「さすがに男子、嬉しいほどの食欲だ~~。かかかかか。」
そんな蒼介と和奏に、将輝と馨、両膝に両手を着いて、頭を下げて、
「ありがとうございます。ごちそうさまでした。」
和奏、胸を張って、
「どういたしまして。はははは。」
蒼介、
「まっ、ゆっくりとジュース飲んで~~。」
将輝、
「はい。」
栞奈、理沙と杏美に、
「あっ、そういえばさ、この間、莉音(りおん)が店にきた。なんとも1年ぶり~~。」
その声に理沙も杏美も、
「へぇ~~~。うんうん。最近全然会ってないもんね~~。」
和奏、
「莉音って、お姉ぇの友達の…???」
栞奈、
「あ~~うん。ほら、1年前に妹さん、亡くしちゃって~~。それから全然会ってなかったんだよね~~。」
杏美、理沙にも、
「だ~~ねぇ~~。椎名(しいな)…、死んじゃったもんね~~。」
その言葉に将輝、いきなりビクン。
杏美、
「今、思っても、寂しい…。なんか、友達ひとり、亡くしたみたいで。」
理沙、
「うん。だよね~~。」
栞奈、腕組みして、
「でも、まっ、莉音、元気だったわ。久しぶり~~って、来てくれた。」
いきなり口を閉ざしている将輝。
そんな将輝に蒼介、
「へっ…???将輝君、どうした…???」
和奏も将輝を見て、
「ん~~~???」
馨はそんな将輝を見て、口を真一文字に…。そして、将輝の右二の腕を肘で突っついて、
「おぃ。」
将輝、
「あ~~。」
杏美、そんな将輝を見て、
「どうしたの…???」
理沙も栞奈も、
「……???」
だんまりを続けている将輝。
馨が、
「実は~~。」
みんなを見回して…。
蒼介、
「ふん。」
和奏、顔を傾げて、馨、
「もしか…して…。今のお姉さんの話って…。その…。」
そして今度は馨、杏美と理沙を見て、
「ねぇ、杏美さん、理沙さん。」
杏美、理沙、
「うん…???」
「椎名って、双葉…椎名…???」
杏美、そして理沙、その声に、ふたり顔を合わせて、
「う、うん。」
馨、途端に、
「わお。」
将輝はまだ焦点が合わないでいる。
杏美、
「へっ…???…ってか、椎名…、知ってるの…???」
理沙、真ん丸の目で、そして口を尖らせて。
馨、
「う…、うん。将輝の、前の彼女。」
いきなり杏美も理沙も、
「え――――――――――っ!!!!」
理沙、いきなり鼓動がドキドキと高鳴る。
杏美、
「うそ―――――――っ!!!」
馨、
「去年…。あ~~。今、9月だから…、もぅ…、一年前か…。心臓病で亡くなった。」
理沙、瞬間、
「あっ。…そう…言えば、将輝君…。麗亜ちゃん、将輝君の彼女、去年、心臓病で亡くなったって…。私、全然ご飯、食べられなかった頃。そんな話…。」
そして理沙、
「へっ…???…あの話って、椎名の事だった…???」
馨、将輝に、
「なっ。」
将輝、僅かにコクリと頭を…。
杏美、いきなり、
「え゛っ!!!…って事は、将輝君、あんた、椎名と付き合ってたって…事~~???」
その声に栞奈、
「いやいやいやいや。アズちゃん、だから、今、馨君、言ったじゃん。将輝君の前の彼女だって。」
瞬間、理沙も和奏も、
「ぷっ。」
思わず将輝も、今の栞奈の声に、小さく、
「ぷっ。」
すぐさま杏美、小さくなって、
「しぃましぇ~~ん。」
それでも杏美、また顔を上げて、
「へっ…???…あっ、そっか~~。」
いきなりフィンガースナップ。
「それで~~。」
理沙、
「えっ…???」
「いやいやいや。理沙。椎名の家って、すぐ近く。ここのほら。300メートル先。」
その声に理沙、目をキョロキョロ。そして、
「あっ。」
瞬間、蒼介も和奏も、
「あっ。」
蒼介、和奏、
「あぁ~~~。そういう訳か~~。」
「うんうんうん。道理で~~~。道に迷わなくって、1回来て、もぅ分かった~~。」
馨、
「えっ…???…何…???じゃ、椎名の家って…。」
杏美と理沙、
「へっ…、馨君は知らなかったんだ…???」
その声に馨、懸命に右手を振って、
「いやいやいや。いくら何でも、友達の彼女の家までは…。」
その声に栞奈と和奏、
「まっ、確かに。だよね~~。」
信じて…良かった。 vol.095. 「さすがに男子、嬉しいほどの食欲。」
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