夕美子と和弘は健之と瑠唯子と別れてそのまま通りに出てタクシーを。
夕美子、
「とにかく…、與門の自宅に行かないと…。」
「えぇ…。」
和弘。
「ワコウちゃん、ごめんね。中途半端みたいになっちゃって…。」
「とんでもないです。あっ、そうだ、洋造さんに…。」
「うん。…でも…。運転手さん。……まで、お願い。」
夕美子と和弘と別れた後に、そのまま店に戻った健之と瑠唯子。
けれども、黙ったままの健之。
「…とんでもない事に…、なったわね。」
瑠唯子。
健之、
「あぁ。…何かの…間違いであればいいんだけど…。」
正樹、
「なんてこったい。とんだ繋がりになったもんだ。」
店の中で準備中の洋造。落ち着かない様子で、夕美子との電話の後、
そのまま付けっぱなしのテレビ。
「早瀬~~。」
與門早瀬、煌の自宅マンションのドア。
何度チャイムを鳴らしても中から応答がない。
数秒後、ようやくドアが開き、真っ蒼な顔の與門。
そしてドアの外、潤ませたままの夕美子の顔。
夕美子と和弘、ドアの中に吸い込まれるように。
そして何も言わずに抱き合う與門と夕美子。
與門、
「ワコウちゃん。」
和弘、
「心配で、新條さんと一緒に…。タクシーの中だったから、洋造さんにもまだ、連絡できなくって…。」
リビングのソファの中で黙ったままで座っている姑の瀬戸。
そしてそんな瀬戸に凭れたままで涙流している美希。
ゆっくりとソファに近づく3人。
夕美子、
「おばさん。…美希…。」
與門、
「心配で、来てくれたの、夕美子。そしてコチラ…、おじちゃんの店の方、高梨和弘さん。」
疲れ切った表情の瀬戸。夕美子と和弘にさりげなくお辞儀をしたままで…。
「いきなりだったわ。警察が来て、早瀬を連れて行った。何が何だか…。ただ…、インサイダー取引規制違反の疑いで…。…としか…。…詳しくは…署の方で…。」
青褪めたままの表情で語る與門。
「私たちもテレビで見てびっくりして…。」
夕美子。
和弘、
「えぇ。」
「…でも…、早瀬さんが、そんな事…。全く信じられない。書類に名前があったなんて…。何かの間違いよ。」
與門、
「えっ…???どうして…それを…???」
和弘、
「実は…。ここに来る前…。」
夕美子の顔を見て…。
夕美子、與門に説明する。
與門、
「へぇ~、そうなんだ~。矢萩さんのおじさんが、刑事さん…。そっか~~。」
わずかなりにも、気分が落ち着いたような感じの與門。
「美希やおばさんもいるんだもん。早瀬さん、そんな間違いをするはずない。」
「あっ、そうだ。洋造さんに…。」
和弘、夕美子と與門を見合わせて…。
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。