ある日、見知らぬ人から母あてに手紙が届いていた。
送ったのは行政書士と名乗る人で、
母の弟が亡くなったので相続手続きのために連絡が欲しいとあった。
母と叔父はけんかしていて、
連絡先も知らせていない状態だった。
何十年もたって姓も変わっているのに、
よく探し出したものである。
(住民票を調べる権限がある職業なのか?)
母は四人兄弟で、早くに父を亡くしていた。
働き者の祖母と、長女のくーちゃんが切り盛りする家である。
わたしの覚えている母の実家は、
朝起きると掃除をし始めるような家で、
だらしなさが微塵もない。
(わたしはだらしない)
あの清潔な家でたった一人の男子である叔父は、
大切に育てられたせいか少し生意気になってしまったらしい・・・
わたしの覚えている最後に会った日は、大晦日で・・・
風呂からあがると「帰るよ」と言われ混乱したのを覚えている。
(え?お泊りに来たんじゃなかったの?)
母と叔父の喧嘩理由は、
叔父「かあちゃんだって再婚せずに子供たちを育てあげたんだから、
おまえも実家に帰ってこい!」
母「束縛きらい!べろべろばぁ」
こんな感じじゃなかろうか・・・
幼少期はかわいかった母の弟。
イケメンなのに、女の子を紹介してもうまくいかなかった残念な弟。
髭そり負けをするので、髭を伸ばしていたワイルドな弟。
その弟が亡くなった・・・・
つづく