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あれは10年前。 祖父が亡くなったときのこと。
今 ワタシが住んでいるこの家で祖父は1人暮らしをしていた。
ワタシはこの家の裏手にある父所有の貸家で暮らしていたのであった ← 元夫と・・・
当時 ミリィの外出は自由にしていたので 祖父の家と貸家を行き来してた。
猫嫌いの祖父は なぜかミリィだけは可愛がっていた。
祖父が亡くなって、病院から自宅に戻ってきたとき ミリィは祖父が寝かされているベッドにきた。
祖父の弟が 葬儀のある家に猫がいるのはいいことぢゃないから 閉じ込めろって
言っていたので あらそうかい ってミリィを抱き上げようとした瞬間。
ミリィが ベッドに登って永遠の眠りについたおじいちゃんに向かって
にゃーーーごーーーーーーーん
って低い声でうなった。 ミリィは猫としては比較的高い声の猫だからびっくりした。
それを発してから ミリィは誰にも言われないのに家に戻って 葬儀があるまでの約一週間
一度も祖父のところには来なかった。
葬儀斎場が混んでいて 幸いなことにワタシタチはおじいちゃんとゆっくりお別れができた。
そのあいだ 一度もこないミリィに 親戚も気がついて誰もが驚いていた。
猫は だから怪しい生き物扱いうけるんだろうね。
やっぱり猫ってなんかあるんだよ。
みんなそれぞれに感想を言っていた。
ワタシと妹は ミリィがおじいちゃんと最後のお別れしたんだねって泣いた。
おじいちゃんが最初で最後に愛した猫だったもんね。
おじいちゃんもきっと会いたかったんだろうね。
ミリィっていうんだよって 百万回教えたのに 最後までミケって呼んでよね。
朝の6時にチャイムが鳴って なんだなんだと寝ぼけ眼で出てみたら
祖父が立っていた。 何事かと聞いて見たら。
「最近 ミケを見かけないけどどうかしたのか?」
「え?いるよ。ほら」
「そうか、ならいいんだ」
・・・・・・・・・・ えええええ!そのために 朝っぱらから起こすか????? 笑
そんなことが何度かあった。
祖母が亡くなってから1人で暮らしてた 気丈で器用で家庭的でマメなおじいちゃんは
犬が好きでずっと飼っていたけど 家には絶対に入れなかった。
人間と動物は違うっていうのが持論だった。
なのに ミリィが勝手に家に入ることを許し さらに誘惑して招きいれ もっとすごいの
ワタシの家に帰れないように 閉じ込めていた 笑 ← 抗議したけどすっとぼけてたっけな。
だから そんなおじいちゃんとのお別れだから 泣いたんだよね。あの時。
あの声は 忘れられない。
猫は 死に過敏なのではなく 愛に敏感なのだ
だから 自分を愛してる人とのお別れを ちゃんとするから 人間がそこに物語を作りたがるのだと
あのとき 思ったことが一番不思議な物語。