小説★オット+ツマ=? 13 | みみぴちがってみみぴいい

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世界一の美貌と世界一の頭脳、手に入るとしたらどっちがいい? ブログネタ:世界一の美貌と世界一の頭脳、手に入るとしたらどっちがいい? 参加中

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第一話は こちら です





2人の主婦は お互いの現在を眺め終わると 小さな溜息を吐きあった。



『学区外まで通うのは 大変よね。』


紗江子が先に言葉を発した。



『上の息子が 極端に口数が少なくなって・・・ どうもクラスの子に言われたらしいの。

 お前 なんで毎日車で来てるんだって。 一緒に通っていたお友達には 実家から通うから

 って話はしたけど どう見てもオカシイじゃない。 近所の注目の的だと思うのよ。

 住宅団地の中だから みんな主婦は人んち観察するのが趣味だし。

 幼稚園時代から友達だったはずのお母さんたちにも 黙ってる私って友達いないんだなーって

 しみじみしながら このマンションに隠れ住んでる感じ。 今日は 話が出来てよかったわ。

 ありがとう。 紗江子さんの生き方 私はとっても尊敬してる。

 いつか 私は今回の選択に対して 罰をうけるかなって思ってるけど紗江子さんは

がんばったご褒美が今 手に入ってるのね。 おめでとう。 お邪魔しました。』




茜の言葉には 嫌味とか皮肉といった苦々しさがまるでなくて 紗江子は


感心しながら耳を傾けた。


自分の状況を最初に軽く話しかけてきた茜こそが きっと正直で等身大の茜なのだろう。



自分の都合の悪い話は 出来る限りしたくないのが女である。


表に並べ立てられそうな 小粒で退屈な話題だけを何時間もかけて話し


それがいかに自分の手柄であるか 語りたがるのも女である。


褒められると 自惚れながらも遠慮深げに賛美を辞退するが 鼻の穴はひろがっているものだ。



けれど茜は 自分にとって都合の悪い側面から紗江子に喰らい着いてきたところが


紗江子の心を掴んではなさなかった。


今まで 知り合ったことのない女性だと思った。


そして 彼女の幸せを願っている自分に気がついたのだ。




自分が満たされると 人は他人の幸せをも願える余裕ができるものなのかと不思議に思う。


慎吾が水疱瘡からインフルエンザになって 2週間休んだ翌月。


家賃を払うだけで精一杯になったあの恐怖の日々を思い出した。



倒れることは許されない。


寝込むことも 逃げることも 諦めることも 遊ぶことも許されないんだ。


その実感は 自分の人生という大舞台の大道具が どれだけはりぼてかを思い知らされた。


意味のあるものは 慎吾の命と未来だけだった。


それ以外 価値を見出すことさえ難しいと頭を抱えていたあの頃だったら


茜の告白も生き方も 一瞬にして軽蔑してから 聞き捨てていただろう。


女であることを味わいたいなんて余裕に執着してることは 紗江子にとっては贅沢だったのだ。


経済的にも 責任としても 自分の存在価値を自分に言い聞かせるためにも


紗江子は心の芯にいつだって 父性を備えて暮らすことを 自分に課していたから。





そして 今はその土台にはいない。 直人と手を握り合ったことで 人の幸せまで


気に出来るほど余裕が生まれている。 紗江子は 茜が幸せを掴み取るのを目撃しようと


心に刻み込んだ。


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こちらの続き物です。






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