小説★オット+ツマ=? 11 | みみぴちがってみみぴいい

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第一話は こちら です




亀を探している隣人らしき女性は 外見も服装も決して派手な印象はないのに


どこか垢抜けた質感のある女性だった。


勤めながら稼いでいる女性が持っている独特の 強い光はまったくない。


きっと ずっと家庭にいながら 経済的に豊かな暮らしをしつづけてるのだろうなと


感じさせる質感は 髪の艶や肌のなめらかさだけではなく しなやかな指先からも


香り立つのだろう。



紗江子はそんなニュアンスを感じ取りながら 一緒に亀を探しましょうか と声をかけた。



直人の妻になって数ヶ月。 まだ奥さん と呼ばれることにも慣れていない。


この女性は きっと離婚とか再婚とかには縁のない世界の 永遠の妻なんだろうなと


その横顔を眺めながら想像をめぐらせた。



大学時代の同級生とずっと交際し続け 家族や友人に祝福されて結婚する。

センスのいい披露宴と キレイな花嫁に幸福そうな夫。

ヨーロッパへの新婚旅行から帰国すると 間もなく妊娠がわかる。

夫に守られながら 高級な産婦人科で予算も関係なくセレブなお産をし

子供服をデパートで揃え 毎年旅行をし 子供は私立に通ってる。


きっと自分の生涯の人生予算とか 子供の未来をたった一人で背負ったプレッシャーの


存在など 知らないのだろうな。





直人の隣に立ったことで この女性と横並びになったはずなのに 


どうしてこんなにも劣等感を抱くのかしら?




紗江子は自分の奥底に流れているらしい 母子家庭で踏ん張りすぎて生まれた


卑屈さを噛み締めた。


奥底に閉じ込めていた苦しみの熱量は 相当のものだったらしい。


幸せそうに見える美人妻への嫉妬の存在と強さに 我ながら驚いた。


『あの 亀はもういいです。 ごめんなさい。 お隣に引っ越してこられた方?』


そうです と答えてから


『何度かご挨拶に伺ったんですけど お会いできなくて。』


『ごめんなさい。子供が学区外に通ってるもので 送迎があるんです。


 それに 私 居候なの立場なのでご近所の方と付き合わないようにしていて。』



紗江子は自分の首が傾げていると気付いたほど 意味が解りません という仕草になった。



『あら そうですか・・・あの そうですか。あ 私はちょっと前に再婚してここに来ました。』



『やだ。そうなの?お幸せそうだわって 羨ましく思いながら眺めてたわ。


 兄弟仲良しだし 土日はご家族でお出かけしてらっしゃるし。覗いてたわけではないのよ。


 自分が何をしてるんだろうって 時々 いらっとするから。』



2人は どちらからともなく お互いの部屋へ誘い合った。





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