小説★オット+ツマ=? 8 | みみぴちがってみみぴいい

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オット+ツマ=?                 の続きです。




離婚届を夫に出してから2週間が過ぎた頃 携帯にメールが届き、茜は新しい問題と


直面することになった。


『届けは出しません。戻るのを待っています。

 保険証などを取りに来てください。貯金通帳もクレジットカードも持っていて欲しい。

 来週は出張があり一週間ほど留守になります。その間にでも来たらどうですか。』





予想外の展開に 驚いていたのは茜より信哉だった。


『で 茜はどうしたい?』


『どうしたいって 離婚届にはんこを押してすっきりして欲しい。

 でないと 私の気持ちも戸籍もずっとくすぶっているってことでしょ。』



信哉は黙っていた。 茜の気持ちが夫から離れているとはいえ クレジットカードを


持っていて欲しい と思う夫の心情はどんな気持ちだ?

どんな形であれ それは愛でなくてなんだ?



信哉が前の結婚が離婚という結果を招いて最初にしたことは


生命保険の名義変更と銀行のキャッシュカードの整理整頓だった。


離婚届を出すより先に キャッシュカードの整理をしあったあの瞬間の冷めた気持ちは

きっとずっと忘れないと思う。 それくらい 彼女の生命装置のスイッチを切るような感触だった。

それをしないどころか 繋ぎとめておきたいと願う奇特な男の行為に 信哉は困惑した。


見えない挑戦状を叩きつけられている。


こうなったら 他の手立てで茜と子供を自分の力で繋ぎとめるしかない。


売られた喧嘩は買ってやる。 信哉の闘争心が久しぶりに全開になった。


茜に投資するのはもちろんのこと なにより子供たちに対して投資しよう。


今 信哉が勝っているとしたらそれは 茜と言う母親がいることだけだ。


そのことに遠慮しているつもりで 子供たちと距離を保とうとしていた。


無理に近づくのはお互いの焦りになると思っていた。


すっかり少年の心を失ってしまった自分の心を澄ませて



母親が万能の神だった頃の自分を浮かび上がらせてみた時、少年の信哉にしたら



見知らぬおじさんは敵だと思えた。今 自分はその敵である。


となれば 好感を持てる敵とはどんな存在だろう? 


それは 媚を求め合わず、一定の距離を取ることを許し 何もかも許してくれる大きな男だ。


もっと簡単に言えば 都合のいい大人の男。



父親になど なれっこない。それなら最初から なんちゃって父親を目指さずに


子供たちにとって好都合なおじさんになれば 信頼が得られると思えた。




『旦那が出張に行っている間 荷物を取りに行くのはいいけど 泊まりはなしね。

 でないと 俺が狂いそうだから。嫉妬で。』



そう宣言してから 子供たちを連れてペットショップへ向かった。


子供たちは 車の中で猫が欲しい と言っていたけれど ショップについたら


亀が欲しいと言い出した2人に 1匹づつ買い与えた。



亀がもたらす運命がどこへ向かっているのだろうか。


維持したはずのプライドだったが 愚かで滑稽な道化師のようにも思えて


信哉はその夜 茜を何度も抱いた。 そうせずにはいられなかった。






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