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料理を並べながら ヒカリは レストランを経営する夫から差し入れられた
シャンパンを 先に飲み始めていた。
左の薬指のリングの ダイヤのカラットが大きくなっている。
また 特技・浮気の償いをさせたのかな と思いながら見ていたら 美鈴も気がついた。
『ヒカリ 指輪変えた? ってことは また なんかあったの?』
数年前 ケリーバッグをゲットしたわ と大はしゃぎで抱えてきたヒカリは
酔いと共に 泣き出し 浮気相手を捜し当てたまでのいきさつを 語ったのだった。
稼ぐ男は もてるのか それとも 稼ぐと使いたくなるのか ただのバカなのかと
女4人で朝まで ヒカリを励ましながら 飲んだ日のことを ふと 思い出した。
『これ? 趣味悪い指輪でしょ。ダイヤばっかり大きくてさ。
これはね 結婚15周年のお祝いにって あいつが買ってきたの。 バカでしょ。
きっと 後ろめたいんだわ。 こんなの買うなら 時計のほうがよかったのにさ。』
と言いながら ヒカリの手の動きは 左手が目立つように癖ついている。
自慢だし嬉しいに決まってるな と思ったのは 私だけではなったらしく
『っていいながら 指先が伸びてるわよ。』
と 麗子が笑っていった。 あら そう? と笑うヒカリも まぁね と笑った。
『そういやさ 麗子新しい本 出版したんだって? この前 聞いたわよ。』
『ああ そうそう。 お義母さんとね。 共著ってしたほうが 目立つからさ。
お義母さんのほうが 名前 売れてるしね ははは。』
麗子は 4年前に離婚した夫の母と 一緒に暮らし 一緒に仕事をしている。
その仕事が 料理研究家なのだ。
『相変らず へんな嫁でしょ ははは。』
離婚寸前の年と したばかりの 2年は 同窓会を欠席した麗子だが
最近は 彼氏ができたり その彼を義母に紹介したとか 珍しい嫁をしているのだ。
『2世代家庭の 晩御飯 ってのがテーマだから 刷り上ったら 美鈴に贈るわね。』
『サインしてー。 お義母さんの分も してもらっといてーー』
みんなで 大笑いしていたら 麗子が言った。
『私 来月あたり お義母さんの養女に なるかもしれないのよね。』
笑いながら 麗子のキッシュを手にした私は まじまじと 麗子の顔を見つめた。
『離婚した旦那の母親の 養女? なんでまた?』
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