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処女の恋の 姉妹編です。
少年と レイラは 毎朝 学校がある駅で待ち合わせ 校門まで歩いた。
その15分ほどの時間のために レイラが割いた代償は 計り知れなかった。
人生に自分の居場所を作り上げるため レイラはゲイの友達に教わった 日本一有名な場所にある
おかまバーでの バイトを始めていた。一番 就きたくなかった仕事だったのに。
心が感じる 悲しみの深さは 人それぞれだ。
葬式で 夫の死を誰よりも嘆き悲しんで 周りに同情されていたレイラの母は
あの日は まさに 悲劇のヒロインで 世界一 哀しみに暮れた寡婦だった。
けれど その数日後には すっかり気持ちを切り返して 旅行に行き
まだ若いんだった と華やかに磨きたてて 恋愛を繰り返していた。
レイラ自身は 中学生の頃 交通事故で飼い猫を失った哀しみのループから
いまだに抜け出せないでいる。 心が喪中であり続け 猫を飼えずにいた。
その哀しみの違いは 人間の種類の違いなのだと レイラは思う。
肌だの 生れ故郷だの 性別などではない ずっとずっと不透明で 見分けのつかない種類。
善悪なんかで 測れるような優しいものではない。
自力で 嗅ぎ分けるしかないほどに その哀しみの深みから 優しい心を手繰り寄せるのは
難しいことだ。 たとえ 手繰り寄せたところで その綺麗すぎるピュアな心を
真正面から見せてくれるかどうか それは相手が判断することだった。
一家庭教師としてでなく レイラは 一人の人間として 少年向かい合っていた。
永遠にこないかと思われた 卒業までの時間を 一滴も濁らすことなく
2人は お互いが自分と相手を傷つけない方法を確認しながら 歩み続けた。
それでもレイラは これは 師弟の愛だ と思い込もうとしていた。
自分が これほどストイックに人を愛せるはずがない。
過去の自分は もっと独占欲に縛られ 愛の確認を求め さらには
束縛と言うジレンマに陥り 苦しみもがいて生きてきたのだ。
学生時代からの恋人が 女と浮気していることを知り 心中を企てようと思った
夜の苦しみこそが レイラの愛の深さなのだと。
『昨日 帰りに公園で 犬に欲情されちゃった すっごく驚いたけど
やっぱり 俺は獣医になろうって 改めて決められたんだ。
先生と 昨日の犬に 感謝できるように 試験がんばってくるよ。』
『すごいねーーー。 犬にまで感謝しちゃうところが 最大の魅力なんだよ。
なかなか できないんだよ。 みんなさ。 もっと違う自意識になっちゃうんだろうな。』
こんな たわいない会話を繰り返す時間の中で レイラは自分が持っている
穏やかさと 健気さ そして 自分を素直に愛する気持ちを 思い出していったのだった。
恋ではない。
何度目かの確認を 自分の潜在意識に送り込んでいた ある日。
少年は 合格通知と共に 夜が朝に変わろうとする酒の街の片隅に 立っていた。
『これで ようやく 自分のこと 褒められる。 先生 ありがとう。』
酒と汗で崩れかけた化粧の顔を 朝日に曝け出したくなくて レイラは俯いた。
『驚いた。 電話くれたら 話だって終わるのに。 こんな顔でいるときに。。。』
『いいじゃない。 これが 先生の道だし これが 僕が歩いていく道なんだ。』
そうだよね と相槌を打ちながら いつもの裏道を選んで歩きだそうと 足を速めた。
『先生。 ありがとうございました。これからは 一人の人間として 僕のことを 見てください。
もう 生徒じゃ ないんです。 僕のことを 一人の男として 見てください。』
レイラは 声も涙も出なかった。
今まで たくさんのことに 感動したと 思っていた。
世界中の たくさんの 勇気ある行動に 拍手を送ってきた。
たくさんの 誠意ある言葉を 耳にしてきた。
けれど それらが 全て 自分とかかわったことがない 絵空事だったのだと 思い知った。
自分に手向けられる 初めての感動に レイラは 天を仰ぎながら はい と返事をした。
ワタシが参加している 小説ランキングの上位は いつだって BLと呼ばれる
ボーイズラブ小説ですね。 ワタシの好きな漫画家さんにも 耽美派のBL系の方がいるので
親しみはあったけど 文章で読んだのは ブログが初めてだったの。
これは 自分で書いたキャラとして 大好きだった レイラさんの20代を 書いてみましたが
ある意味 初のBLジャンルです 笑 あああああああ 苦しかった笑
まあ 性的描写があるのが 普通のBLなんだろうけど ワタシは苦手なので
男女問わず 恋愛は 心が大事なんだわ っていう理想を書きました はははは 理想ね 笑
初体験を終わらせた?記念に コメント欄を 開けてみました ← なんの意味??