花  調  べ

 

イチゴ苺)

 

水耕栽培で育つオランダイチゴ

イチゴ[3]・覆盆子、: Strawberry、学名Fragaria)は、バラ科多年草

一見して種子に見える一粒一粒の痩果そうかが付いた花托(花床ともいう)部分が食用として供される。甘みがあるため果物として位置づけられることが多いが、草本性植物であるので野菜として扱われることもある[4]

 

通常、可食部の表は赤色(アントシアンによる)[5]だが、白色の品種もある(2009年に品種登録された和田初こい〈商品名・初恋の香り〉が世界初の白色イチゴとされる[6])。

 

概説

狭義には、オランダイチゴ属の栽培種オランダイチゴ学名Fragaria ×ananassaDuchesne ex Rozier)を意味する。イチゴとして流通しているものは、ほぼ全てオランダイチゴ系である。

 

広義にはオランダイチゴ属 (Fragaria) 全体を指す。英語のstrawberry(ストロベリー)はこの範囲である。バラ科オランダイチゴ属の半落葉性草本であり、北半球温帯に広く分布しているほか、ハワイ諸島や(南半球の)チリ中南部にも分布している[7]

 

さらに最広義には、同じバラ亜科で似た実をつける、キイチゴ属 (Rubus) やヘビイチゴ属 (Duchesnea) を含める。これらを、ノイチゴ、と総称することもある。オランダイチゴ属の二倍体の種にも、この総称に含まれているものがある。

 

明治時代から広く日本国内各地で生産されるようになったオランダイチゴ属は、日本語では「苺」と表記される場合が多い。

 

甘酸っぱい風味と香りで、一般に果物として姿も可愛らしく人気は高い[8]。栄養的にも優れ、特にビタミンCが豊富に含まれていることが知られている[8]

 

特徴

好光性種子である。可食部は花托の発達したものであり、表面に分布する粒々がそれぞれ果実である[3]。このような形態をとるものをイチゴ状果偽果)という。独特の芳香があり、属名の由来にもなっている。属名のFragariaラテン語で「香る」の意。

 

食材としての主なは12月 - 6月とされる[8]。かつての旬は、露地栽培の収穫期にあたる春から初夏とされていたが、温室栽培の技術発展に伴って、秋から翌年春まで多く流通するようになった[8]。赤色ができるだけ均一で、表面の粒(果実)がくっきりしていて、ツヤがあるものが市場価値の高い良品とされる[8][3]

ビタミンCが豊富である他、抗酸化物質として知られるポリフェノールの一種であるアントシアニンや抗作用のあるエラグ酸を含む。

 

生食の他、ジャムに加工されることも多い。受精すると花托の肥大が始まるが、一部受精していない雌しべがあるとその部位の肥大が弱くなる。したがって形の整った果実を作るためには、全ての雌しべ受粉するようにする。しかし、実際の栽培においては雌しべの先端部が未熟なまま開花するため[11]、均一な成長が行われるために花芽形成期の施肥と温度管理が行われる[12]

 

語誌

「いちご」の語源ははっきりしない。古くは『本草和名』(918年頃)や『倭名類聚抄』(934年頃)に「以知古」とある。『日本書紀』には「伊致寐姑(いちびこ)」、『新撰字鏡』には「一比古(いちびこ)」とあり、これが古形であるらしい。『本草和名』では、蓬虆の和名を「以知古」、覆盆子の和名を「加宇布利以知古」としており、近代にオランダイチゴが舶来するまでは「いちご」は野いちご全般を指していた[13]

 

漢字には「苺」と「莓」がある。これらは異字体で「苺」が本字である。辞典によっては「莓」が見出しになっていて、「苺」は本字としていることがある。現代日本では「苺」、現代中国では「莓」を通常使う。

 

英語の strawberry(ストロベリー)は「 (straw) のベリー (berry)」と解釈できるが、そう呼ぶ理由ははっきりしない。「藁を敷いて育てた」「麦藁に包まれて売られていた」「匍匐枝が麦藁に似ている」という説があり、さらに、straw は藁ではなく、散らかす・一面を覆うを意味する strew の古語だという説もある。

 

近代栽培イチゴ(オランダイチゴ)

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