お礼企画第5弾『ReadyStedyGo!』(薄桜鬼・藤堂)前編 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

またまたのんびりとした更新です。

みふゆです。

梅雨が来たなぁと思いきや、もう本格的な夏になりそうですね。

今日は蒸し暑さが半端なかったです。

皆様も体調気をつけてくださいね。



さて、お礼企画第5弾は射花様からのリクエスト。


リクエストは前にお名前を借りた時のお話の続き。


因みにこんなお話でした↓

『Are you ready?』 前編 後編


これの続きということでちょこちょこリクエストシーンも織り交ぜつつ、
私の描きたいシーンもいれさせていただきました。


基本、平助視点となってますが、
途中視点が替わってるところもあります。



あ、学パロですが、

射花ちゃん、沖田、斎藤は高校2年、
平助は1年設定となってます。


まぁキャラ崩壊だったり、
実際の射花ちゃんとは違うとは思いますが、
心広く受け止めていただけると幸いです。


それでは宜しくお願いします。
















<藤堂視点>













「くっそー、勝てねぇ…」





部活後。

俺は蛇口から水を勢いよく出し、それを頭から被りながら呟いた。


冷たい水の心地よさとは裏腹に焦る気持ちは高まるばかりだった。











無事に薄桜学園に入学した俺は迷うことなく総司や一くん、そして射花がいる剣道部に入部した。


受験もあったけど、稽古はしていたし、3人がいなくなってからも実力はついていたはず、だった。

でも実際高校に入ってやってみると中学と高校での差が俺が考えるより遥かにあった。




総司や一くんと稽古試合しても、一本をとることはあっても
俺の方が負け越しちまう。


射花や一くんは強くなったと褒めてはくれるし、
あの総司も遠まわしに褒めてくれたような気もするけど。
自分の中ですっきりするようなもんじゃない。

副顧問な左之さんにも「何焦ってんだ」って言われた。



でももっともっと強くなって…、自信つけて…、射花に想いを伝えたい。


今のところ、射花に彼氏はいないみたいだ。

待っててほしいって言ったのは自分だけど、総司や一くんと仲がいいのは相変わらずで。


総司にはこの前「僕と射花、この一年間で何もなかったと思う?」ってニヤニヤしながら見下ろされたけど、
その後、思い切って射花に聞いたら「何かあったっけ?」って逆に聞き返された。

俺はちょっとだけ総司に同情した。



まぁ、仲間だし、友達だし皆でワイワイいるのも楽しいけど、
俺としては、ちゃんと射花に想いを告げたいって思う気持ちの方が勝ってた。



射花の隣にいるのが常に自分でありたいって気持ちが日に日に強まっていったんだ。









「学年選抜大会?」


「ああ、小さい大会だがな。お前も1年として出るだろ。」


「勿論!!!」


休み時間。

次の授業のために教室移動していると土方さんに呼び止められた。

土方さんの言葉に勢いよく応えれば、「張り切ってんのはいいが、勉強もちゃんとしろよ?」と薄く笑いながら去っていく。



よぉし!!

いっちょやってやるか!!!



俺は拳を作って気合を入れた。

















~~~~~









黙々と稽古に励む藤堂を眺めながら沖田が口を開く。


「何か平助気合入ってるね」


「土方さんから学年選抜の話聞いたみたい。朝練も早く来て1人先に始めてるし」


傍にいた射花が応えれば沖田は感心したように声をあげた。


「へぇ。あの寝坊助な平助がねぇ」


「それは総司、あんたも変わらない」


「同感」


斎藤の言葉に射花が同意をすれば沖田はにやにやと笑う。


「心外だなぁ、僕のはわざとぎりぎりに来てるんだよ。僕が真面目になったら皆驚くでしょ?」


「…まぁね」


「ほら、射花も認めた」


「俺は認めないぞ」


沖田や斎藤とやりとりをしながら、射花は視線を藤堂に移して。

その姿に頼もしさを感じて自然と笑みを浮かべた。











~~~~~











試合前日、射花から「明日会場まで一緒に行こう」とメールが来た。

勿論、断る理由なんてない。

速攻返信して俺は早めに眠りについた。



…はずだった。


「やべぇ、寝れねぇ」


天井に向かって呟く。


気合の入りすぎか?

会場まで射花と行けるのが嬉しいのか?


明日は気合入れすぎて空回りとかしたらかなりかっこ悪いぞ。


ベッドの上をゴロゴロとしながら頭は冴えるばかりで、
結局記憶が途切れたのは3時ごろだった、と思う。







朝、時間を見て飛び起きる。

慌てて用意して急いで玄関を飛び出した。



射花との待ち合わせは大体お互いの家へと別れる交差点って昔から決まっていた。


俺の姿を見つけると射花はふわりと笑って。

俺は胸の高鳴りをごまかすように、射花の元に更にスピードをあげて駆け寄る。



「悪い、待たせた」


「ううん、今来たとこ」


「そっか、良かった。…じゃあ行くか」


「うん。何か眠そうだけど大丈夫?」


「そんなの気合で大丈夫だって!食べてはきた」


会場へは各自集合で俺達はバスで向かう。

バス停までを並んで歩きだす。



「平助、最近凄い気合入ってるよね。あの総司まで言ってたよ」


「まぁ、な。今日の試合は勝ちてぇんだ」


「そっか。まぁでも気合入りすぎて空回りも駄目だよ?これあげる」


「飴?サンキュ」


手に乗せられた飴の袋を開ける。


「え、今食べるの?」


「ん、…んまい」


サイダー味のすっきりとした甘さが口内に広がる。

自然と笑みが零れる。


「ありがとな。何かすっきりした」


「なら良かった」


あー…、やっぱ好きだ。

笑顔を向けてくれる射花を見ながら思う。


昔からさりげなくこうやって周りを励ましたり、サポートしたり。


射花のこういうとこも好きになった理由のひとつで。



俺は浮かんだ決意に小さく頷いた。












学年選抜は一年女子から始まって、一年男子と続いた。


俺は順調に勝ち進んで決勝。

少し梃子摺りはしたけど、総司や一くんに比べれば余裕だった。


一本を取った手ごたえの後の歓声が会場を包んだ。


礼をして面を外して正座したまま射花の姿を探せば、
二年女子の待機していた通路から射花が顔をひょっこり出していた。


目があえば、ニカっと笑ってピース。


俺はその射花にたまらなく嬉しくなって、俺も笑顔で射花に向けて思い切りピースした。



会場から捌けて通路に行けば面をつけた射花がいた。


「おめでと!」


「ありがとな!射花も頑張れよ!」


「勿論!」


短く会話を交わして小手越しに拳をぶつける。








会場が静かな緊張感に包まれる中、射花が一本とって会場が沸き、
俺も思わず「よっしゃーー!!!」と声をあげた。


有言実行。

射花も二年女子の部で優勝をした。


俺は既に二階の観覧席で見てたんだけど、射花は面を外してすぐさま観覧席を見上げてた。

俺を探してくれてんのかなってちょっと思うと嬉しくなって、ブンブンと手を振っちまう。

目があって拳を掲げれば、射花は眩しいくらいの笑顔で応えてくれた。







試合が終わってから土方さんからの話があってその場で各自解散となった。

散らばる中、総司と一くんは土方さんに呼び出されたから、
俺はここぞとばかりにそっと射花に声をかけた。



「あ…のさ、この後時間あるか?よかったら一緒に帰らねぇ?」


「…うん、いいよ」


「…ちょっと裏道歩きながら行こうぜ?」



ぎこちない誘い方だったとは思う。

でも射花も何かを察してくれたのか、静かに頷いてくれて。


俺達は歩き出した。