ところどころ、表現は略してたりします。
ネタばれ、設定無視、キャラ崩壊などご注意を。
それでもよろしければどうぞ。
#1 #2 #3
感情に押し潰されそうな表情をした八田が店を飛び出し、鎌本がそれを追いかけていったあとで、
バーにいた者たちはそれぞれ店を出て行った。
アンナは既に1人で二階へと移動していた。
食器を片付けながらカウンターに並ぶ乃柑と草薙。
ニットワンピから覗いた手首にあった歯形に目を奪われた。
「…。その傷もしかして」
「そ、尊」
口元を緩めた乃柑を見て草薙は目を細めた。
「…愛されてたんやなぁ」
「勝手に過去形にしないでくれる?今も愛されてます!」
口を尖らせる乃柑。
『それにしても痕付け過ぎやろ』と草薙は乃柑の首元や鎖骨の辺りを眺めて、
ニットワンピの胸元に見え隠れするそれに目を見開いた。
「…ちょ、待て」
乃柑の手首を掴み、自分の方へと身体を向けさせる草薙。
「…何いきなり」
「何で…あるんや」
「やっ!」
草薙がニットワンピをズルリと下げれば、露になる乃柑の左胸。
そこにはその左胸を包むかのように赤のクランズマンの徴が浮かび上がったままだった。
「何で…、何でお前は徴が無くなってないんや!!」
「い…ず、も」
「何で…」
乃柑はニットワンピを直しながらも口を開く。
「…私にもよくわかんないけど…。いるよ、私の中に…尊」
「…」
混乱するような表情を浮かべる草薙の胸元に手を当てる。
「出雲。貴方の中にもいるでしょ。尊も、…勿論、多々良も」
「…」
「…ね?」
乃柑の言葉に草薙は眉根をきつく寄せ、歯を食いしばった。
「アカン…。情けないわ、泣けてきた」
「泣いちゃいなよ、出雲は少し泣いた方がいいよ」
「アホか…。どっちが年上や」
「歳なんて関係ないよ」
慈愛に満ちたような乃柑の瞳に、草薙は弾かれたように乃柑をきつく抱きしめる。
乃柑は悲しみに震える背中に緩く腕を回した。
止んでいた雪はまた降り始め、街を白が覆い尽くした。
―そして私たちは歩き出す。
貴方の赤を求めて。
fin.
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
フォレストにて完全版あります。
フォレストにはこちら。 → ★
これが私の年末年始でした←
そしてKは続編決定!!
周防はいなくなりましたが、Kは好きなので追いかけていこうと思ってます。
読んで下さった方、ありがとうございましたm(_ _ )m
みふゆ