特捜・短編小説【Storm of the kiss】#6(天王寺) | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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設定無視、

キャラ崩壊あり。


それでもよろしければどうぞ。



















小さな公園横にあった自販機で飲み物を買って、公園に入ってペンチに腰を下ろす。

柔らかな風が二人を包む。

缶を開けて、一口飲んで、私は天王寺さんの言葉を待っていた。


天王寺さんは缶コーヒーを一気に飲み干して、隣の空いたスペースに置いた。

大きく息を吐いたその表情を窺えば、ぼんやりと遠くを見据えていた。




「俺な…。捜査の合間の一息つく時とか、事件終わった後とか。
無性にゆうに会いたくなるんや」


「…」

私はその言葉に思わず息を飲んで、天王寺さんを見つめた。


「ゆうの笑ってる顔とか思い出す。実際俺もゆうと会ってる時は楽しいし、いい意味で気ぃ張らんでいいし。
自然体でおれるっていうか…、俺を受け止めて一緒にいてくれるだけで嬉しい」


「…」

私も天王寺さんに同じ事を思ってた。

そのことが嬉しくて笑みが零れるも、伝えてくれる天王寺さんからの言葉が嬉しすぎて、上手く言葉に出来ない。

鼓動が跳ねる。


「俺はゆうの事が好きや」


「…天王寺さん…私…」

ようやく視線が交わって、その言葉に応えようとようやく言葉を紡ごうとした時。


視線をそらされ、私の言葉は遮られた。



「でもな…。刑事なんて職業の奴とは付き合わん方がええんや」


「…」


息が詰まる。


心臓も止まるかと思った。


そんな私を余所に天王寺さんは言葉を紡いでいく。



「時間も不規則。徹夜なんてザラ。休日でも呼び出しも多い。イベントとか約束なんて守れることの方が少ない。
遠距離ならまだしも、近くにいるのに会えない方が辛いやろ?
大事な人が会いたいって思う時に、傍にいて欲しいって思う時に、傍にいられへんねや」


私の事を好きだと言ってくれ、想いを断ち切るように1人言葉を吐いた人を、
私は呆然と見つめた。


じんわりと視界が歪んでいく。



「…じゃあ…何で好きだなんて」


「…言うつもりなかってん。言うつもりなかったんやけどな…、言ってもうたな。だから、ゆう」

少し俯かせていた顔を上げて、私と視線を絡ませた。


「…俺を振ってくれへんか?」


「…そんな」

眉根を寄せて、懇願するようなその言葉に私は小さく首を振った。


「ごめんなさいの一言でええんや」


「…無理です」


「…お願いや」


俯いてぎゅっと唇を結ぶ。


私の言葉を天王寺さんが待っている。


意を決して私はその瞳を見つめ返した。


「…ごめんなさい…」


「ん…。ありが…」


「…ごめんなさいっ!私も天王寺さんのことが好き…です。」

零れる涙はそのままに天王寺さんをじっと見つめる。



「…へ…?」


「…付き合っていただけませんか?」


私の言葉に目を丸くして、次の瞬間には引き寄せられた身体。

天王寺さんの匂いが鼻を掠める。

天王寺さんの腕の中で閉じ込められるまま、私は言葉を続けた。


「辛いことも寂しいこともあるかもしれないけど、私それでも…、天王寺さんが好きだから…、だから…」


耳元に天王寺さんの言葉がかかる。



「そんなん反則や…」

抱きしめられる力が更に強くなった。


「ごめん、ごめんな、ゆう。泣かせるつもりはなかってん。
ただ俺だけがゆうを好きなんやと思ってて、振ってもらおうと思っててん。
俺を好きでいてくれてたなんて、…めっちゃ嬉しい」


抱きしめていた腕を開放して、私たちはお互いを見つめあう。


「そんな可愛い顔で泣かれたら俺…。あかん、どんどん好きになる。めっちゃ好きや。」


「天王寺さん…」


「何や、今日の俺かっこ悪いな。あー!もう、仕切りなおしや!!」

私の両肩に両手を置いて、私の顔をじっと見据える。


「不安にさせる時もあるかもしれんけど、俺はゆうがめっちゃ好きや…。
ゆう、俺と付き合ってくれ!」


「…はい!」

お互いから零れた笑み。


またガバッと勢いよく天王寺さんに抱きしめられる。


照れくささもあるけど、私も天王寺さんを抱きしめ返したくなって、
飲みかけの缶を隣にそっと置いて、そっと天王寺さんの背中に手を回した。


顔を上げれば交わった視線が何だかくすぐったくて、笑顔を向ける。


私の表情を見た天王寺さんは嬉しそうに目を細めて、顔を近づけてくる。


私はそっと瞼を閉じた。


啄ばむようなキスの後、濡れたものが唇をなぞって、うっすらと口を開けば熱い舌が入ってくる。


そっとその舌を撫でるように応えれば、液を含んだ音と共に絡まる舌。


うっすらと瞼を持ち上げれば、絡まる視線。


ゾクリとしたものが身体に走り、芯が熱を持ち始めるのが分かる。


空気をも奪うようなキスに、必死で応えながらも酸素を求めながらも漏れる吐息。


逃がさんとばかりに髪を絡めるように大きな手で後頭部を支えられる。







「あかん、めっちゃ気持ちいい」


「…私、も…」


「そんな事言うな。…止められへんやろ。」





「待って…。もう…」


「めっちゃ気持ち良さそうな顔してる。…ゆうが可愛すぎるのが悪いんや」









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次で最終話でーす。


ゆるーいエリョかな。



宜しくお願いします。






みふゆ




【私信:なちさん】

いろは歌、何時アップがいいですか?w