薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第30話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから → 









いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。














近藤から頼まれていた案件の結果を近藤に報告し、部屋を出る冴。



「松原」


「…はいっ!」

突然投げられた言葉に背筋を伸ばして顔を向ける。


そこには土方が冴を見下ろしていた。



「どうかした?」


「いえ…何も」

顔を横に振る冴。



「疲れてるんじゃねぇのか?今俺の気配に気付いてたか?」


「そ、そんなことはありません。土方さんに比べたら疲れてるだなんて…」


「雪村に部屋を与えることにした」

冴の言葉を遮るように土方が伝える。


その言葉に目を丸くした冴は、土方から視線を逸らせた。



「そう…ですか」


「総司の奴が松原は心労を背負い込みやすいから一人にしてやれだとよ。愛されてんな、お前」

溜め息混じりに言葉を吐き、口角を上げる土方。


「…すみません」

冴は静かに頭を下げた。


「ま、雪村のことはお前にまかせっきりだったからな。長い間すまなかった」


「…いえ、お気遣いありがとうございます」

冴は土方の言葉に目を細め、微かに口元に笑みを浮かべた。







「総司、入るね」


「うん」

沖田の部屋に入り、布団の傍に腰を下ろす。


「寝てなくていいの?」


「うん、そんな病人扱いしないでよ」

上体を起こしながらクスリと笑った沖田、に静かに笑みを浮かべた冴。


「冴、土方さんから聞いた?」


「うん、総司が言ってくれたんでしょ?…ありがと」

冴の言葉に沖田は冴の手をそっと握る。


「これで思う存分、一緒にいれるね」


「…総司」

少し溜め息混じりに名を呼ぶ。


「何?余計なお世話だった?」


「ううん、ありがと。嬉しい」

小さく首を振った冴は笑顔を零し、沖田は冴を抱き寄せた。








久しぶりに非番となった冴は屯所内を見回った後、縁側に腰をかけた。




『はぁ…。今日も疲れたな』


『いい天気。気持ちい…』


『実家大丈夫かな…。帰れる時間があればいいけど…。そういや昨日から…総司と会えてない…な…』






少し時間の経ったころ、庭に干した洗濯物を取り込もうと歩いていた千鶴が冴を見つける。


「松原さん?」

近寄り、声をかけて覗き込めば、そこには柱にもたれぐっすりと寝た冴がいた。



『よく寝てる』


冴の寝顔を見て、クスリと笑った千鶴。


そんな時、廊下から沖田が歩いてきた。



「どうしたの?千鶴ちゃん。…あれ?」

千鶴に声をかけた後で見つける冴の姿。


「あ、沖田さん!…松原さんが…」

千鶴は声を跳ね上げるも、冴に気遣いすぐに声を小さくした。


「あー…。忠司くん寝ちゃってるんだ」


「はい…」

クスリと笑った沖田に千鶴も顔を合わせて笑みを浮かべる。


「いいよ。僕が部屋に連れて行くから」

ひょいと冴を軽々と両手で持ち上げる沖田。


「よく寝てる」

顔を見ては目を細めて口元に笑みを零した。


そして自身の部屋に向かって歩き出す沖田。


「あの…松原さんのお部屋ってこっちじゃ…」


「僕の部屋で寝かせるから」

千鶴の言葉に振り返りながら応える。



「え…」

目を丸くし、息を止めたかのような千鶴。


沖田は冴を抱えたまま、千鶴にまっすぐ向き合う。



「僕達、恋仲だから」


「あ…そう…、なんですね」

沖田から聞かされた事実に目を見開き視線を泳がせた。


沖田は踵を返し、部屋へと歩みを進める。


千鶴は切なげに眉根を寄せ、その後姿を見送った。





部屋についた沖田は敷布団に冴をそっと寝かせる。


「冴、あんなところで寝ると風邪ひくよ」


「ん…、総…司?」

うっすらと目を開けた冴が言葉を零す。


「久しぶりに一緒にお昼寝しようか」


「ん…」

冴は沖田の胸元に擦り寄り、口付けをせがむように顔を上げる。

沖田が冴の唇に口付けを落とすと、ふわりと笑った冴は沖田の胸元に顔を埋めた。


その様を沖田は愛おしそうに見つめ、髪を優しく梳った。





しばらくの時間が経ち、冴はうっすらと目を開けた。


「…あれ…、総司…?ってあれ?私、寝てた?!」

自分の状況に目を丸くして上体をガバっと起こした冴。


「…冴?」

沖田は目をこすりながら、名を零す。


「総司、ごめんね。運んでくれたんだ」


「冴は働きすぎだよ」


「…だって…きゃっ!」

眉根を寄せて謝る冴を腕をひっぱり、胸に引き寄せる。


「そんなに動かなくても土方さんや一君達に任せとけばいいよ」


「…久しぶりに総司とお昼寝出来て気持ちよかった」

沖田の言葉に眉根を寄せるも、ふわりと笑う。


「もっと気持ちいいことしようか」

沖田は目を細め、冴の唇に口付けを捧げる。


「…ん…。…って待って、この足音って!」

目を見開き、体勢を整えようとする冴を腕の中に閉じ込める沖田。


その人物は障子越しに声をかける。



「総司、忠司知らないか」


「知りませんよ」


「…おい、隠してるだろ。開けるぞ」


「だから知りませんってば」

スパンと開けられた障子戸。


そこに仁王立ちする人物、土方と目が会った冴は乾いた笑いを浮かべた。


眉間に深く皺を寄せ、二人を睨みつける土方。



「…おい、昼間っからヤろうとしてんじゃねーよ」


「忠司くんはどっか出かけましたよ。このコは冴です」

しれっとした表情で応える沖田。


「屁理屈言ってんじゃねぇよ!」


「土方さんは冴を遣い過ぎですよ」

沖田は怒鳴りつける土方に怪訝な表情を浮かべる。


「じゃあ総司、てめぇが忠司の変わりにやるっていうのか」


「やりませんよ。やるわけないじゃないですか」


「…てんめぇ」

再びしれっとした表情を浮かべた沖田に土方は拳を作る。


土方の表情を見て、『流石にまずい』と察した冴が口を開く。



「総司、庇ってくれてありがと。また用事済んだら来るから」

笑みを浮かべる冴を見て、小さな溜め息を吐いて抱きしめる力を緩める沖田。


「すみません。土方さん」


「…ったく。早くしろ」

冴は立ち上がり土方に向けて頭を下げる。


軽く睨みつけた土方は踵を返して、自室へと足を向ける。



「総司、なるべく早く戻ってくるから」


「ん、いってらっしゃい」

そっと障子戸を閉める冴に沖田は笑みを浮かべ、冴も笑顔で応えた。







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第30話までこれました。



本当に皆さんのお陰です。




ありがとうございますm(_ _ )m




みふゆ