薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第23話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから → 





数少ない待っててくださった素敵妄想女子の皆様、大変お待たせしましたm(_ _ )m



いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。






君の名を呼ぶ 第23話 【完全版】はこちら → (フォレストの別サイトのページに飛びます)


お手数かけますが、メッセやコメントはアメーバにお願いします!!!



こちらのページには大人表現が満載です。

18歳未満の方は閲覧禁止とさせていただきます。


このサイトには広告も多々出ていますので、気をつけてくださいね。

間違って押してしまっても、責任・苦情は受け付けませんので自己責任でお願いします。


あ、でもちゃんとしたサイトですし、お話はちゃんと読めますのでw




18歳未満の方、大人表現が苦手な方は、

このまま読み進めていただければ

お話的には何の支障もありませんので、どうぞ。





















土方の自室に呼び出された冴。



「忠司。今また隊士たちを増やしてるのは知ってるな」


「はい」


「部屋が足りなくなってきている。悪いが、明日から雪村と一緒の部屋になってくれ」


「…承知しました」






沖田の自室で壁にもたれて座る沖田の足の間に座る冴。


後ろから抱き寄せられるまま、沖田にもたれていた。




「千鶴ちゃんとね、同じ部屋になれって」


「どういうこと?」

冴の言葉に眉を上げる沖田。


「…って、そういうこと。部屋が足りないんだって。まぁ、見張りも兼ねてだろうね。まぁ、千鶴ちゃんも良いコだし」

目を軽く伏せて静かに息を吐く。


「冴はそれでいいの?」


「うーん。…仕方ないよね」

覗き込む沖田と目を合わせ、軽く眉根を寄せ笑みを浮かべる。


「いつでも僕の部屋においで?あの娘だってもう逃げ出したりはしないよ」


「…うん」

沖田は冴の唇に自身の唇を重ねた。





こうして冴は沖田と過ごす時間が極端に失われていくことになる。





翌日。


自室に千鶴を迎え入れた冴。



「じゃあ、今日から宜しくね。千鶴ちゃん」

向かい合って座り、千鶴に笑みを向ける。


「はい!よろしくお願いします!」

千鶴も笑みに応え、頭を下げた。







季節も移り行く中。



千鶴も屯所内での雑用をこなすようになり、冴も相変わらず忙しく過ごしていた。



廊下を歩きながら庭で掃き掃除をしていた千鶴に目を向ける。

すると千鶴も視線に気付き、笑顔で冴に頭を下げる。



『良いコだなぁ…。穢れを知らないってああいうことだよね』

千鶴の笑顔に応えたあと、視線を廊下へと移す。



『それに比べて私は…人斬り、か…』

小さく短い息を吐く。










『ああ…。今日は何人斬ったんだっけ…』

夜の巡察を終え、解散したあと同じく巡察をしていた原田と廊下を歩いていた。



「忠司」


「…っ?!何、左之さん」

不意に呼びかけられ目を丸くした冴。


「どうかしたか?」


「…ううん、今日も沢山浴びちゃったなぁと思って」

顔を覗き込む原田に首を振り、隊服に目をやる。


「ああ、そうだな。お前の斬り方だと余計に血も浴びるだろ」


「そう…なの?」

原田の言葉に眉を上げる。


「斬られる連中の返り血でさえ、お前の舞に華を添えるからな」

口元に笑みを浮かべて冴を見つめる。


「舞だとか…褒められてる気はしないな…」

冴は視線を逸らせて、苦笑いを浮かべる。



口を閉ざした冴に原田が口を開く。

「…最近、総司とちゃんと会ってんのか?」


「あー…、忙しいし…、部屋には千鶴ちゃんもいるから」

応えながら闇夜に浮かぶ月にぼんやりと視線を向ける。


「忠司から総司の部屋に行けばいいじゃねぇか」


「…夜這いみたいで嫌」

冴の言葉にふっと笑みを零した原田。


「恋仲なんだから別に気にしないでいいだろ?総司も寂しそうだったぜ?」

原田の言葉に短く息を吐いた。



「…さ。土方さんとこ行こ?」


「…ああ」

原田は歩みを早めた冴の背中を眉根を寄せて見つめていた。





土方への報告を終え、自室に戻ってきた冴。


『このままの格好で部屋入ったら千鶴ちゃんびっくりするよね…。灯りつけなきゃいいかな』



スッと障子戸を開けると千鶴の微かな声が届いた。


「忠司さん…ですか?」


「うん、ごめんね」

暗闇の中、眉根を寄せて軽く笑みを浮かべ謝る冴。


「あ、今灯りを…」


「あ、いいよ。私今凄く汚れてるから。大丈夫。そのまま寝てて。湯浴び行ってくるから」


「はい…」

冴は寝間着を取り、静かに部屋を出た。






『血は…取れた』


風呂場で一人物思いに更ける。



『今日は何人斬ったんだっけ…』



剣を握ると別人格が現れたような感覚に襲われる。




『きっとそうしないと人斬りには皆なれない…』

眉間に皺を寄せ、目を固く閉じて、手で前髪をかき上げ俯いた。





「はぁぁ…」

湯船に浸かりながら重く長い溜め息を吐く。



冴には沖田に会えないことが自分を追い詰めている自覚はなかった。



『何か、息苦し…』



「総司に会いたいな…」

呟いた言葉は湯気に溶けていった。







『…』


『…帰ろ』

湯浴びを済ませ、沖田の部屋の前に来たものの、すぐに踵を返した冴。



「…冴?」


『…っ!』

呼びかけられた声に身体はビクンと反応する。


間を空けず、障子戸を開ける沖田。



「…どうしたの?」


「…ごめんなさい。ちょっと顔が見たくなって…。じゃあ、おやすみなさい」

冴は眉根を寄せ、無理に笑いながら俯き、逃げるように自室に戻ろうとする。


すぐさま沖田は冴の腕を掴む。



「待って、冴。会いに来てくれたんだよね?…一緒にいよ?」


「でも千鶴ちゃんが…」

眉根を寄せたまま、顔を横に振る冴。


「あのコは関係ないよ」

沖田は冴を自室へと引きつれ、障子戸を閉める。



「総…」

言い終わらないうちに沖田が冴を壁へと押しつける。


驚き、目を見開くも沖田と目が会えば、逸らし俯いた。


沖田は冴を壁に押し付けたまま、俯く冴に問いかける。



「冴、どうして欲しい?」


沖田の問いに自身の頬が染まっていくのを感じた。



「…。…抱きしめてほしい」



「…それから?」



「名前を呼んでほしい」


「…さっきから呼んでるよ?冴」

クスリと笑い、首をかしげながら冴の顔を覗き込む沖田。



目を会わせた冴がポツリと呟いた。


「…触れてほしい」


「冴…」

冴は沖田の胸に飛び込み、それを沖田は固く抱きしめる。



引き寄せられるように二人は唇を求め、貪った。


満たされていく気持ちに冴の目から涙が零れる。


その様に沖田は唇をそっと離す。



「…どうして泣いているの?」


「…」



「…冴。僕達はもっと一緒にいた方がいいよ」


「…」

顔を両手で覆い、ふるふると首を振る冴。



「僕はもっと冴といたいし、離れたくない」


「…総司…」

沖田の言葉に両手を外し、見つめる。


「自分の気持ち分からないなら自覚させてあげる。僕の気持ちもその身体に何度でも叩き込んであげる」


「私、総司といたらどんどん怖くなる」

眉根を寄せる冴に沖田は優しく髪を梳る。



「…僕が怖い?」


「違う。総司が好きすぎて、他の大事なことがすり抜けていく気がして怖いの」


「…冴は頑張りすぎだよ。大丈夫。すり抜けてなんかいかない」

ふわりと冴に笑いかける沖田。


「僕といる時くらい、僕だけを見て」

その熱い眼差しに冴は胸の奥が締め付けられる。


「総司しか見えなくなるから怖いの」

その言葉に沖田は更に冴を抱き寄せる。


「ああ、…本当に好きだよ、冴」


再び想いを伝えるような口づけに二人は飲み込まれていく。







身を清めた二人は身体を寄せ合い、横たわっていた。



沖田に腕枕されていた冴が口を開く。


「総司」


「ん?」


「私達って人斬りだね」

沖田とは目を合わさず、天井を見たまま言葉を零した。


「そうだね」

冴を胸元に引き寄せる沖田。


「ついた血は取れて流れていっても、殺めた罪は流れていかないね」

冴の言葉を聞きながら沖田は冴の髪を優しく手で梳る。


「どうしたの?ここに来た時の志がぐらついた?」

その沖田の問いに顔を上げ、目を見つめながら冴は答える。


「それはない。…この新撰組のために尽くしたい思いは変わらない」


「よかった。冴を斬らなきゃいけないとこだった」


「…」

口角を上げた沖田を静かに見つめる冴。


「冴」

名を呼び、冴の唇に口付けを優しく落とした。


「…土方さんに今の話はしちゃ駄目だよ?」


「…どの話?」


「罪の話」


「…はい」



罪への想いが踏み込みを弱くし、ためらいを産む。


それを土方に勘付かれれば冴は一線から外されることは目に見えている。



『まだ一緒に戦いたい』


仲間としての想い。



『冴に何かあれば僕が守る』


恋人としての想い。



冴がいればまだまだ強さを求められる。


そんな想いを抱きながら、沖田は冴を強く抱きしめる。





「温かいね」


「うん」



「どこにも行かないから」


「うん」





冴が部屋に戻るのを渋る沖田をどうにか振り切って自室に戻ってきた冴。


「忠司さん…?」


「ああ…、ごめん。また起こしちゃったね」

千鶴からの不意の問いかけにビクリと身体が反応する。



「遅かったですね…。どちらに…」


「ああ…、ちょっと…ね」

薄暗い中、千鶴には見えないであろう苦笑いを浮かべる。


「まだ夜は肌寒いですから、寝間着でうろうろしちゃ駄目ですよ」


「はい」

千鶴の気遣いに思わず笑みを零した冴。



『ああ、やっぱり総司の部屋には行けないな…』


布団に入った冴は目を伏せて静かに息を吐いた。