薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第19話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから → 








いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。













午前に新しい部隊が全隊士に知らされた。


早速、冴は午後からの自身の組を引きつれ巡察に出ることとなった。




冴は沖田の部屋を尋ねた。


「巡察の時間?」

座っていた沖田は立ち上がり、冴に歩み寄る。


「うん、行ってくるね」

答える冴の後ろ髪を優しく指で梳る。



「冴、髪が伸びてきたね。組長にもなったことだし、結ってみたら?」


「そうだね…」

沖田の言葉に自身も髪の長さを確認するように、髪を梳る。



「僕にやらせて?入りなよ」


「うん!」

冴は笑顔で応える。



器用に冴の髪を結い上げていく沖田。


「はい、出来た」


「ありがと」


「因みに近藤さんと同じ結い方」


「あ、そうなんだ」

眉を上げる冴。



「そして僕と同じ結い方」


「…ありがと。じゃあお守りだね」

冴は目を細めて嬉しそうに笑う。


沖田もその笑顔に応え、冴を抱きしめて、耳元で囁いた。


「冴、大丈夫。冴の強さがあれば君についてくる部下だって守れる。信じてついてきてくれる」

ポンポンと優しく背中を撫でる。


「はい」

口元に笑みを浮かべて小さく頷いた。



「因みに、総司と忠司。同じ『司』が入ってる。これもお守り」


「…うん、そうだね」

笑みを零した二人は引き寄せられるかのように唇を重ねた。








「忠司~!!」

玄関に向かう途中、呼びかけられる冴。


「藤堂さん、斎藤さん」

振り返り、駆け寄る藤堂と歩み寄る斎藤の名を呼ぶ。


「組長になったんだよな~!すげぇよ、お前」

目を丸くして自身のことのように喜ぶ藤堂。


「ありがとうございます。藤堂さん」

軽く頭を下げて、笑みで応える。



「あ~…。忠司は遅れて入ってきたけど、もう組長なんだしさ。その藤堂さんも敬語も止めようぜ」

頭をぽりぽりと掻きながら照れくさそうに伝える。


「本当にいい…ですか?」

眉を上げる冴。


「ああ」

ニカっと笑い、頷く藤堂。



「じゃあ、平助に一」


「…!俺もなのか…」

藤堂の背後にいた斎藤が目を丸くした。


「あ、…駄目…でした?すみません…」

眉根を寄せ、慌てて頭を下げて謝る冴。


「いいじゃん!な、一君!」

藤堂が斎藤に笑いかける。


「ああ、構わん」

小さく息を吐いた斎藤が口元に笑みを浮かべた。


「ありがとう!じゃあ巡察行ってくるね」

その笑みに応えて、冴も斎藤に笑いかけた。


「おう、気をつけてな」

その言葉に軽く頷いた冴は踵を返す。




その背中を藤堂と斎藤は見送る。



「最初見た時は使い物になるなんて思わなかったけどなぁ…」

一つ息を吐いて口元に笑みを浮かべながら小さくなる冴の背中を見やる。


「最初から負けそうになっていたのは誰だ?」

踵を返しながら横目で藤堂を見る斎藤。


「あれは油断してたっていうか…、そういう一君だって、この前、忠司にあっさり一本取られてたじゃん」

口を尖らせた藤堂が反論する。


「あれは…腹の具合がおかしかった」


「はいはい」

詰まる斎藤の言葉を藤堂は笑いながら軽く流した。





玄関に集まる隊士たちに歩み寄る冴。


それに気付いた四番組の隊士たちが声をあげ、冴に身体を向ける。


「お、俺達の組長のお出ましだな」


「組長、一言」

からかうように促される。


冴は目を丸くしたものの、小さく頷き声を上げた。


「えっ…。えーっと。…まずは…私の下につくことに色んな不満を持つ方もいるかもしれません。

でも…。局長のおっしゃるように誠の旗の元で、この新撰組の為に、共に戦ってもらいたいです。

私の目の届く限り、貴方達を殺させはしない。

私は新撰組の為に命を落とせとは言いません。新撰組の為に皆さんには生きてほしい。…以上、です」

その言葉に隊士達に驚きの表情が浮かぶものの、すぐさま冴に向けて力強い眼差しを向ける。


「松原さん…、いや、組長。俺達は皆組長についていきます。共に戦います!!」

隊士たちが一同に頷く。


「…ありがとう!!!」

隊士たちの言葉に冴は破顔する。





「おいおい、忠司。お前かっこよすぎだろ」

その様を見ていた原田が後ろから声をかける。


「左之さん!」


「お前がそんなんだと俺の立場がねーな。なぁ?」

眉根を寄せながら軽く溜め息を付き、十番組隊士たちの方に顔を向ける。


「そんなことはありませんよ。原田組長。組長だからこそ俺たちもついてきています」

十番組隊士たちは笑いながらも原田に応える。


「おいおい、ホントかぁ?」

口元にうっすら笑みを浮かべながら隊士たちを見やる。


「左之さんはかなりの人望をお持ちですよ?」

冴も原田に笑顔を向ける。


「だといいがな。さぁてと。時間だな。行くか」

口角を上げて、冴の背中を気合を入れるかのように強めに叩く。



「はい、宜しくお願いします!」

冴は短く息を吐き、気合を入れて歩みを進めた。