小説設定はこちらをご覧下さい → ★
第1話はこちらから → ★
いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。
かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
『今日は暑かったな~』
夏の京は暑いが、それが更に酷く蒸し暑い日。
陽も傾き、水浴びを済ませ縁側で涼みながら佇んでた冴。
「お、忠司じゃねーか」
「どうしたんだ?こんなところで」
廊下の向こうからこちらに歩み寄ってくる永倉と原田。
「あ、永倉さん、原田さん。ちょっと涼んでました」
「確かに今日は暑かったよな~」
手をパタパタと振る永倉。
「永倉さんや原田さんが暑いくらいなら相当ですよね」
「忠司、どういう意味だ?」
眉根を軽く寄せて冴を見下ろす原田。
「いや、深い意味はありません」
原田に笑みで返す冴。
「余計な一言は総司に似てきたな。そういや、忠司。今日は総司と一緒じゃないのか?」
「え?」
原田の言葉に眉を上げる。
「お前ら気付いたらいつも一緒にいるもんな」
永倉が原田の言葉に腕を組んでうんうんと頷く。
「ぃや、そんなこともないと思いますけど…」
「違わねーよ」
否定する冴に原田は口角を上げる。
「沖田さんは一番組組長ですし、私は一番組ですし。一応、小姓ですし…」
「…忠司。何か雰囲気変わったな」
段々声の小さくなっていく冴の隣にしゃがんだ原田が顔を覗き込む。
「え?」
「女らしくなった」
ふっと優しい笑みを浮かべる原田。
「へ?ぃや…そんな…」
冴は目を丸くする。
「言われてみりゃそうかもな~」
永倉は目を伏せて頷く。
「総司と何かあったのか?」
にやりと口角を上げる原田。
「なっ?!」
目を見開く冴。途端に顔を紅潮させていく。
「お前さぁ…」
「楽しそうに3人で何話してるんです?」
永倉がたしなめるように、原田に向けて言葉を投げようとした時、沖田が会話に割り込んできた。
「…っ!」
沖田の姿を確認した冴は咄嗟に俯く。
「忠司が女らしくなったなぁと思ってよ。ついでにお前と忠司の関係も聞いてたとこだ」
沖田に背中を向けたまま、原田は沖田に言葉を投げた。
「へぇ~。忠司くんは何て?」
歩み寄る沖田は楽しげな声をあげる。
「まだ答えてもらってねぇな」
原田も楽しげに冴の反応を見守っていた。
「で、忠司くん。僕達の関係って何?」
「…っ!!!」
俯いたまま耳まで真っ赤にした冴。
袴をぎゅっと握る。
「…何、恥ずかしがってんの。恋仲ですって答えればいいだけじゃない」
「っ!!」
沖田の言葉にビクンと身体を跳ねさせる。
「おあ?!」
目を見開いて声を上げる永倉。
「やっぱりな」
一つ短い息を吐いた原田。
「だから二人とも冴には手を出さないでくださいね」
原田と永倉に笑みを向ける。
「…目が笑ってねぇよ、総司」
永倉が呆れたように声を零した。
「冴…か。ごちそうさん」
笑みを浮かべた原田は冴の頭をぽんと撫で、
永倉と連れ立って去っていった。
「さ、部屋に行くよ」
「何であんなこと…」
促す沖田に小さく問いかける冴。
「だって事実でしょ?冴が僕のものだって知らしめとかなきゃね」
横目で冴を見ながら満足気に笑みを浮かべた。
「お!総司に松原くんじゃないか」
声に振り返ると出先から戻ってきた近藤がいた。
「おかえりなさい!」
「おかえりなさい、近藤さん」
「ああ、ただいま」
迎える冴と沖田の声に応える近藤。
「最近、近藤さんも土方さんも山南さんもお忙しいみたいですが、何かあったんですか?
何かお手伝い出来ることがあれば…」
近藤に駆け寄った冴は眉根を少し寄せて、近藤に問う。
「ああ、気遣ってくれてありがとう。明日にでも皆に伝えることが出来そうだ」
にこやかに冴を見つめ返す。
「土方さんはいいですけど、近藤さんは無理しないでくださいね」
冴の後ろからのんびり歩いてきた沖田が言葉を投げる。
「ははは。総司は相変わらずだな。俺はこの通りピンピンしているぞ」
沖田に笑顔を向け、近藤は自身の胸を軽く叩いた。
「松原君は最近どうだ?」
「相変わらず毎日精一杯です」
近藤の問いかけに、はにかむ冴。
「松原くんに関しては良い話しか報告を受けないな。それだけ良くやってくれているということだな。そうだろ?総司」
「そうですね。まだまだの所も結構ありますけど」
冴を見やりながら口元に笑みを浮かべる。
「ははは。総司は厳しいな」
近藤は沖田の言葉を笑い、一呼吸置いて冴を見つめる。
「松原くん」
「…何ですか?」
改めて名を呼ばれ、眉をあげる。
「うん、君になら任せられる」
冴の肩をポンと叩き、力強く頷く近藤。
「それってどういう…」
「うんうん。まぁ…わかることだ。これからもよろしく頼む」
近藤は冴の言葉に笑いながら廊下を歩いていく。
「はい!精一杯頑張ります!!」
冴は近藤の背中に言葉を投げ、頭を深く下げた。
「…何だったんだろ」
「さぁ?そのうちわかるでしょ」
「そうだね」
小さく一つ息を吐いて、沖田に続いて歩く。
「冴、水浴びたの?」
「うん、誰もいなかったし。さっぱりしたくて」
「今からまた汗かくのに?」
冴を見つめて口角をあげる沖田。
「…へ?……っ!もうすぐ夕餉です!」
その言葉に冴は目を丸くして、すぐさま顔を紅潮させ訴える。
「うん、そうだね。夕餉食べながら汗もかくよね。何で冴の顔が赤いの?
何か厭らしいことでも考えた?何ならご希望に沿ってあげるけど?」
沖田は目を細めながら冴の顔を覗き込む。
「…っ!知らない!」
早足で部屋に向かう冴の後ろ姿を、沖田は眺めながらクスクスと笑い、歩みを進めた。