薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第11話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


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いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。






















「遅かったね」


軽い溜め息と共に口元には軽く笑みを浮かべて冴を見やるも、冴は沖田の視線にも気付かずにいた。


「…すみません」

伏せ目がちに頭を軽く下げた冴。


「さ。部屋に戻ろうか」





沖田の敷いてくれた布団にそれぞれ横たわる。


「お疲れ様。おやすみ」


「…おやすみなさい」

沖田に背を向けるようにして、布団に入る。





冴は眠れるわけがなく、目を閉じなくても暗闇の中でさっきまでの光景が目の前に広がる。






斬った感触。重み。



周囲に飛び散る血飛沫。



五感に染み付いた断末魔。






『私は…人を殺した。
…でも…殺さなければ…殺されてた』





どうしようもなく湧き上がる感情を少しでも身体から逃そうと、
静かにゆっくりと息を吐く。



身体の震えは止まずに、自分の両の手で自分を抱きしめる。






不意に沖田が動き、布団の擦れる音がした。


『…水でも飲みに行くのかな』




次の瞬間、冴の寝ていた布団が捲られ、沖田が冴の背中に寄り添うように横たわった。



「?!あ、あの…」

身体を密着させて後ろから緩く冴の身体を抱きしめる。




「…眠れないんでしょ?」


「…寝れます!一人で寝れますからっ!」

突然のことに驚き、顔を一変に赤らめた。



「…いいから」


「良くない!こんなの余計眠れな…っ!」

沖田の腕から逃れようと身体を捩る。





「…冴」


久しぶりに呼ばれたその名に、目を見張り身体がビクンと震えた。



「冴」


「…」


「怖かったんだね。よく頑張ったよ、冴」


優しく降り注いだ沖田の声。



途端に目から溢れ出る涙は幾筋にも分かれ、布団を濡らしていく。


縮こまり、震える身体を沖田は少し力を込めて抱き寄せた。



冴は身体を反転させ沖田の方に向ける。



すがりつくような表情をした冴を沖田は静かに見守る。



「あの…。あの…私…人を…殺しました…。人を…殺しました…」

身体を震わせながら、唇を何度も噛みながら、眉根を寄せ沖田を見つめて吐露した。


「うん…。そうだね…」

冴は声にならない嗚咽を上げながら、沖田の寝間着を掴み、胸元に顔を寄せた。







沈黙を破ったのは沖田だった。


「冴?」

「…はい」

見上げた沖田の表情は今まで見たことのない優しい表情だった。



「こう考えてごらん?この壬生浪士組を守るために…、近藤さんを守るために、人を斬ったんだって」


「…」


「あの中の一人が野放しにしておけば、いつか近藤さんに斬ってかかろうとする輩だったかもしれない。
…先手を打ったって考えてみたら?」


「…。…はい」

小さく頷いた冴。



「近藤さんも君が無事に帰ってきたことを喜んでくれる」

「…はい」


「僕だって、君が無事でいてくれて嬉しい」

「…はい」

頭上から囁かれる沖田の言葉と声が身体と心に染みていく。


そっと目を閉じるとまた涙が溢れ出た。



「また今日みたいに人を斬る日が来るよ。僕達はそういう場所にいるんだから。
辛いなら、またこうやって抱きしめてあげる」


「…はい」

静かな冴の返事に沖田は更に冴を抱き寄せる。




「沖田さん?」


「ん?」


「…ありがとう…ございます」


冴の言葉に沖田は口元に笑みをそっと浮かべた。

冴は沖田の瞳に自身の胸が締め付けられたのを感じた。



「あの…何で…名前を呼んでくれたんですか?」


「…安心するかなと思って」


「…はい」



「…あと、僕が呼びたかったから」


「…はい」



「冴」


「…はい」


「いい名前だね」



沖田から伝わる温かさに冴は強張っていた心が解されていくのを感じた。

そして名を呼ばれる度に先ほどまで抱えていた恐怖がやんわりと薄らいでいく。



『何だろう…安心する』

次第に強張っていた身体も緩みだす。





少し冷静になれば、沖田と一つの布団で抱きしめられていると言う事実。



「…あ、あの。もう大丈夫です!取り乱してすみませんでした」


「何が?」


「…一人で…眠れ…」

不意に沖田の顔が近づき、額に柔らかく温かい感触。



「…」



「…寝ようか」

「…っ!!!!な、何!何するの?!」

それが沖田の唇だとわかり、突然の出来事に慌てふためく冴。



「何?もう一度してほしいの?」

沖田はにっこりと冴に笑いかける。


「ぃや、そういうことじゃなくて!!」


「…冴、この部屋にいる時は敬語は止めよう。僕のことも好きに呼んでいいよ」


「…?!どうして…?!」


「この部屋を『松原 冴』の居場所にすればいい」


「…?!」

沖田の真意を計ろうと沖田の目を見つめながら眉根を寄せる冴。



「さ。いい加減寝ようか。おやすみ」

冴の額の髪を指で優しく払い、そしてまた額に口付けが落とされた。


「だっ!…から…何で…」

顔を紅潮させる冴の訴えに応えることもなく、沖田は目を閉じ、冴の背中をポンポンと撫でた。




そしていつの間にか沖田の寝息に導かれるように冴も眠りについた。




夢で浪士たちの光景が出てきて、その度にビクンと身体を震わせ、短く悲鳴を上げる冴。


そんな冴を沖田はぎゅっと抱き寄せ、背中をまたポンポンと撫でた。











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煽っておいて、「この程度かぁ」と思われた方、すみませんでしたm(_ _ )m


今のみふゆ、この程度です。。。w


でも描きたかった一場面だったので、自己満足w





みふゆ