薄桜鬼・妄想小説【月に捧ぐ】第16話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちら→







いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。

















土方が訪れた5日後。



薄暗い灯火の中。



綺月は長襦袢に着物を羽織り、原田を膝枕していた。



原田の髪を手で梳ると
汗が指に溶けた。



「…綺月…」

「…はい…」

「寒くねーか」

「…大丈夫ですよ」



火鉢の炭がパチとはぜる音がした。



二人の時間が静かに流れていく。



綺月の腰に原田の腕が絡む。


膝元から原田が視線を向ける。


「もう一度抱かせてくれねーか」

「…お時間は大丈夫ですか?」

「構わねー」
右手が綺月の頬を撫でる。


「おっ死ぬ時に『あの時、もう一度綺月を抱いときゃ良かった』なんて思いながら逝きたくねーんだよ」
絡んだ左腕に力が篭った。

「原田様らしくありませんよ?」
口元に笑みを浮かべ、原田を見やる。


原田はゆっくりと身体を起こし、綺月を抱き寄せる。


「いいんだよ。お前に惚れてんだから」

顎を持ち上げて舌を綺月の口内に滑り込ませた。



深い口づけのあと、見つめあう二人。


「原田様。こんな私を好いて頂いてありがとうございます」

「…惚れた弱味ってヤツだな」
目を伏せて自嘲する。


「俺もお前なんてスッパリ忘れちまえば良かったんだ。
随分とお前を苦しめちまったな。悪かった…」

「でもお前に惚れたことはこれっぽっちも後悔してねぇ」

口角を上げる原田。

つられて顔が綻ぶ綺月。


「…お前に俺を捧げてさせてくれ」

「はい…私で良ければ」

「…お前しかいないんだよ」


その言葉を聞きながらそっと目を閉じる綺月。

緩やかに雪崩れ込む身体。



まるで湖面に浮かんでいるかのような心地よい快楽。


優しく包み込んでくれるような愛で身体を撫でる。


うっすら目を開ければ、優しく見つめる瞳。



『酷いことを言い、酷いことを沢山してしまったのに、
こんなにも優しく抱いて下さる』



相手が自分でなければきっと幸せになれたはず…と綺月は思う。


見返りを求めない原田の愛に
綺月は感謝の念が募る。








半月後。

冷風が吹き荒ぶ中、

戊辰戦争の皮切りとなる、鳥羽・伏見の戦いが切って落とされた。







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みふゆ