薄桜鬼・妄想小説【月に捧ぐ】第1話 | 浅葱色の空の下。

浅葱色の空の下。

薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

小説設定はこちらをご覧下さい→








いつものようにキャラ崩壊、設定無視など多々ございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。




















薄桜鬼・桜の木の下で。






私は


水鉢に棲む金魚?



籠の中にいる羽根を切られた鳥?




鉢に張った水に映る月を掬う。

零れ落ちる水は月の雫か…。




迎えには来ないあの人を待ち続けて


きっと死んでいく。


















女は艶やかな衣裳と覚悟を身に纏う。


男と女は酒に酔い、華やかさと儚さを携えながら、互いに乱れる。


ここは島原。


感情が入り乱れる場所。








「新撰組?」

女将に声をかけられ、聞き返す綺月。


「そう、大人数だし綺月もお願い」

「はい」

応えて踵を返し、部屋へと向かう。


煌びやかな着物を纏い、立ち振る舞いは柔らかい。

普段は凛とした表情をしているのに笑顔が綻ぶと牡丹が咲くかのような感覚に陥る男達。


綺月の評判は上々であった。





まだ新撰組の名が京には響き渡ってない頃。

綺月は彼らに出会った。



綺月がついたのは新撰組副長、土方歳三。
その人だった。


余りお酒が得意そうではない様だったが
物静かに酒をたしなむ横顔に、その時の綺月は既に見惚れていたのかもしれない。


物静かに飲んでいたかと思えば、部下にからかわれて怒号を飛ばす。


そのやり取りが楽しくて、思わずクスクスと笑ってしまう綺月。


「何だ?」
ちらりと綺月を見て呟く。

「いえ、すみません。楽しい方たちだなと思いまして」

土方は鼻で笑って酒を煽った。


「まだ呑まれますか?」

「ああ…」


そっと酌をする。

他愛もない話をぽつぽつと話ながら時間は流れていく。


不意に目が会い、ふわりと笑う綺月。

淡い桃色の牡丹のように咲いた様。

一瞬、土方は綺月に見入るが、すぐさま目を反らし酒を煽った。



その瞬間を逃さずに目を細めて見ていた男が一人…。




「土方さん」
声がかかる。

「…何だ、総司。ニヤニヤしやがって」
目を細めて睨みつける。

「失礼だな~。僕はいつもこんな顔ですよ」
口角を上げ、目を細める。


「で、何なんだ?」

「ぃや、土方さん楽しそうだなと思って」

「あぁ?」
眉間に軽く皺を寄せる。

「ね、綺月ちゃん。土方さんから俳句が届いたら僕に教えてね」

口元に三日月を作る。
その顔は悪戯っ子そのものだった。

「総司!」
呆れ口調で土方の制止が入る。


「…?……はい…」

意味がわからず、とりあえず応えてから土方を見上げると
目を反らされてしまった綺月。

沖田は声を出して笑った。




皆の酒もすすんで、宴も酣になってきた頃。



土方が少し肩を引き寄せて、綺月の耳元で

「また来る」

と囁いた。


沢山の男達から言われてきたありふれた言葉だったが、何故か胸は一つ大きく高鳴って…。

綺月は笑みを返すことしか出来なかった。



スッと立ち上がる彼を見上げる。


「どーしたんだよ、土方さん」

「帰る」

「まだまだこれからだぜ~?」

「俺はてめぇらと違って忙しいんだよ」


綺月は立ち去る彼を見送ろうと立ち上がり、数歩進んだところで手を引かれた。


「…沖田様」

「ね、今度は僕の相手して?」

そっと口角を上げた。


土方を目で追いかけると
ちらりとこちらを見た後で目を反らし、廊下に出ていった。








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始まりました~。

久々にドキドキしますね。


しょっぱな短めでごめんなさい。





画像は「月世界への招待」さんの「月の素材」からお借りしました。

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みふゆ