薄桜鬼・妄想小説【白雨の恋】第5話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。


















平助は稽古終わりに伊東とお茶を飲むことが多くなった。

今の情勢やこれからの状況などを平助に教える。

尊王派の伊東の意見や考えに平助は納得せざるを得ない時もあった。

『…優れた論客かぁ。確かにな』



そんな折、土方から文が届く。
近藤が江戸へ向かうという知らせだった。

その旨を伊東に伝える。


伊東は新撰組への入隊に前向きだった。

『伊東さんが新撰組かぁ…』
胸を過ぎる一抹の不安。

『俺が考えても仕方ないな。近藤さんに山南さんや土方さんも同意したんだろうし』

軽い溜め息をつく。

足を進める先は茜の家。





いつものように茜と他愛のない話をする。


「平ちゃん、海見たことある?」

「あるけど」

「海ってどんな感じなの?絵でしか見たことないから」

「ん~、海ってのはとにかくでけーんだ。めっちゃくちゃでかいの。」

「まずは手前に防風林ってのがあって…」
平助は身振り手振りで茜に海の様を伝え始める。

「ぼうふうりん?」
首をかしげる茜。

「ああ、風除けのために松とかが海沿いに沢山植えられててさ、
その辺りから砂だったり砂利が広がってて海に向かって砂浜になるんだよ」

「うんうん」
茜の目が輝きだす。

「で、海がこう…波打ち際は海水は透明なんだ。波が寄せたり引いたりして。その辺は浅くてさ。
沖に行くにつれて深くなっていくし、海の色も青く…紺碧って感じの色になってさ。
漁をしてる船が浮かんでたり。」
少し遠い目をして嬉しそうに話す。

「で、ずーっとずーっといくとさ、綺麗なほっそい線が見えて…それが水平線っていうんだけど
…でその水平線てやつが空と海との境なんだってよ…って俺の説明伝わってる?」
平助の問いにこくこくと頷く茜。


「そっか。なら良かった」
照れくさそうに笑う平助。


「波の音ってどんな音?川のせせらぎみたいな?」

「あ~。違うな。うーん。ざぷーんとか?あー。ざざーんとか?」

「へぇ、面白いね。この辺にいるとさ、海なんて見れないよね。
ましてや私なんてこんな身体じゃ一生無理。でも見れないと見たくなるよね?」
ふふふと笑う茜。

「…おし!明後日いいこと連れてってやるよ!」
自分の膝をバシっと叩く。

「へ?」
目を丸くする茜。

「明日は近藤さんを伊東さんに会わせなきゃいけないんだけど、
明日は近藤さんは一旦家に帰るし、俺も休みにしようと思ってて。
お前の為に俺の貴重な休みを使ってやる。昼前に来るからな。」
茜の顔を指差して得意げな表情をする。

「んじゃ、今日は疲れてるからもう帰る。また明後日な!」
そくささと部屋を出て行く平助に呆気に取られる茜。
影を見送ってからくすくすと一人笑った。


廊下でたえに出会った平助。
「たえさん、明後日茜と出かけるからさ。握り飯用意しといてくれない?昼前に迎えにくるから」

「わかりました」
たえは笑顔で平助に応えた。









「こんなに歩くなんて久しぶり。」
真夏の日差しの中、並んで歩く二人。


「茜が自分から外に出ないからだろ?」
からかうように笑う平助。
それでも路の日陰沿いに歩き、茜の歩みに合わせて歩く。

「…大丈夫か?気分悪くなったらすぐ言えよ?」

「うん、大丈夫。…この辺ってさ。確か小さいときに平ちゃんと来たよね?…病気になる前かな?」
茜が回りを見渡す。

「ああ。で。ここでとうちゃーく!」
両手をあげて茜に向く。


「…ここ、川だよ?」

「誰が海行くなんて言ったよ?」
口角を上げる平助。

「ま、仕方ないよね」
自嘲する茜。


「あそこの木陰まで行こうぜ。行けるか?」

「うん、大丈夫」

「…手ぇ、繋いでやっから」
手を差し出す。

「ふふ。ありがと。」
その手を取りながら平助に笑顔を向ける。

「何だか手繋ぐと小さいとき思い出すね?ずっと手繋いでたもんね。懐かしい」




木陰の下の大きな岩に茜は腰をかける。

平助は膝下までの川の流れのところまでジャボジャボと進んでいく。

「気持ちいいなーっ!冷てー!」
平助の笑顔を眩しそうに見つめる茜。



竹筒の水を飲みながら一息つく二人。

「平ちゃん。今日元気ないね?カラ元気っぽい。なんかあった?」
平助の顔を覗き込む。

「…。何でバレるんだよ」
顔を反らす平助。

「私が平ちゃんのことずっと見てたから?」
ふふっと笑う茜。

「…。うるせーよ。んなこというんじゃねー」
照れくさいのを隠すように茜の横に腰掛ける。



「昨日さ。近藤さんと伊東さんと会ってさ。
何か…尊王とかさ、佐幕とかさ。わかんなくなってきちまって。

新撰組はさ、佐幕派だから俺もその考えを正しいと思ってたんだけど、
江戸に来て…、伊東さんたちとかと話し始めたら、ああそんな考えもあるんだとか思ったりしてさ。
何か自分の中でコレっつーもんが…あやふやになってきちまって。」
川の流れを見ながら吐露する。


「そっかぁ…難しいね?」
茜も同じように川の流れを見る。

「うん、どれが正しいとか…わかんねー」
俯く平助。


「…でも…悩むことでさ、見えてくることもあるんじゃない?」

「…そっかな」

「…うん、きっと」

「…ああ」

少しの沈黙を川のせせらぎが埋める。



「…何だか考えたら腹減った!飯にしようぜ、飯!」

「うん!」
互いに笑いあう。





「たえさんの握り飯、うめぇ!!」
目を見張る平助。

「ふふ。美味しいね」
微笑む茜。

「お前、毎日たえさんの飯食べれていいなぁ!」

「平ちゃん、うちにくればいいのに」

「…馬鹿言ってんじゃねーよ」
照れくさそうな平助。




「ごちそうさまでした」

「ごちそうさま」

「ふふ、平ちゃん。ご飯粒ついてる。ほら」
平助の口の横についていたご飯粒を取って見せて自分の口に運んだ。


「…茜もついてる」
真剣な眼差しの平助。

「うそ、ついてないよ」
目を伏せて微笑む茜。

「ついてる」

顔を近づけ、唇と唇を重ねた。




「…ふふ」

「何、笑ってんだよ」
少しだけ怪訝そうな平助。


「好きだよ、平ちゃん」
晴れやかな茜の笑顔。

「…俺もずっと茜が好きだった」
その顔を眩しそうに見つめる。


茜の肩を抱き寄せ、髪に口付けを落とす。


二人は川の流れを見る。




「…言っちゃったねー」


「…言っちゃったなー」


顔を見合わせ、笑う二人。





平助は茜に身体を向け、立膝の間に茜を収める。

軽く何度も互いの唇をついばんでいく。

たまにおでこをこつんと寄せてみたり。

たまに目が会い、微笑んだり。



「あー。ダメだ。ほんと好きだ」
ぎゅっと茜を抱きしめる平助。


「好きな人との口付けってこんなに嬉しくなるんだね?
早く平ちゃんにしちゃえば良かった」
ふふっと笑う茜。

「…茜、黙ってろって」

「何で?」

「…可愛すぎるから」


平助が茜の顔に沢山の口付けを落とせば、
茜も倣って平助の顔に口付けを落としていく。


平助が首筋に口付けを落とせば
くすぐったかったのか茜が小さな声を漏らした。

「首、よえーんだ?」

「くすぐったいの!」

「可愛いなぁ、お前。ここは?」
茜の耳朶を甘く噛む。

「やっ!…もうやめてって」
顔を赤く染めていく。

「そんな反応されたら、やめらんないって」

「やめてってば」
平助の首筋に顔を埋めた。



「…ねぇ、私のこといつから好きだった?」

「んあ?…もう昔過ぎてわかんね。茜は?」

「ん…。多分、一番最初に手を繋いだとき」

「覚えてねーなぁ」

「私がね、平ちゃん追いかけて走ってたらこけたの。そしたら平ちゃん手を差し伸べてくれて。
一緒に手を繋いで帰ったよ?」

「そっか」


二人の間に会話はなく、暫くの時間が流れる。

川の流音が二人を包む。









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…キュンキュン来ました?


来なかった人、すみませんでしたっ!m(_ _ )m



私?


多分一番キュンキュンした!!!!(・∀・)





みふゆ