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第1話はこちらから→★
いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。
かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
今日は足をのばした先の道場近くに千鶴の家が近くにあったので立ち寄ってみる。
『…網道さん、やっぱ江戸にはいねーのかな』
帰路についているとある店から二人の娘が嬉しそうに笑いながら出てくる。
『あれは…』
立ち寄ってみると様々な小物と共に、大きさ、色ともに様々な匂い袋が置かれていた。
ふと手にとる茜色の小さな匂い袋。
その横には浅葱色の小さな匂い袋。
『…茜にはやっぱ茜色かな。ん~、どっちも…ん~』
しばらく考え込む平助。
『おし、茜に選ばせよう』
「親父さん、これ二つ頂戴」
「あいよ」
長い距離を歩いたはずなのに、平助の足取りは軽いものだった。
茜の部屋に行こうと中庭を歩いているときに
茜の部屋から平助よりは年上であろう若い男が出てくる。
平助は思わず庭の茂みに隠れる。
その男に続いて茜の両親がニコニコしながら部屋を出てくる。
『…茜の医者か?何か…雰囲気が一君みたいな感じだな』
『…って、俺何で隠れてんだ?』
姿が見えなくなったのを確認して、茜の部屋に向かう。
「茜、入るぞ?」
「え?平ちゃん?うん」
少し戸惑ったような返事が返ってきた。
「さっきの誰?やけにおじさんたちニコニコしてたけど」
後ろ手に障子戸を閉めながら茜に問う。
「ああ、私の先生よ。父様と母様のお気に入りなの」
「ふーん」
布団の横に腰を下ろす。
「そうだ。これやるよ。」
懐から出して掌に乗せる。
「なぁに?わ。匂い袋?可愛い!二つとも?」
茜は嬉しそうに目を輝かせる。
「どっちか一個」
口角を上げる平助。
「えーっ。」
見比べながら迷う茜。
「じゃあ、浅葱色にする」
「茜色じゃなくていいのか?」
意外な返答に少し目を丸くする平助。
「うん、茜色は沢山持ってるし。これって新撰組の色でしょ?」
「そうだけど」
「うん。こっちがいい。」
茜は手に取り、大事そうに胸に持って行き、笑顔を溢した。
「じゃあ、茜色のは平ちゃんが持ってて?」
「は?俺がか?」
目を丸くする平助。
「そう。誰かに渡すつもりだったの?」
首をかしげる。
「ぃや、…たえさんとか?」
「たえさんはいいの。平ちゃんが持ってて?」
くすくす笑う茜。
「…わかったよ」
照れくさそうな平助。
「…うん、いい香り」
両手で匂い袋を包んで鼻に寄せ、目を伏せて香を確かめる。
「ありがと」
上目遣いで口元に笑みを浮かべた。
その様に心を射抜かれてしまった平助は
ちょっとした悔しさからか口から言葉が零れた。
「…何か、俺って茜に貢いでばっかじゃね?」
「へ?」
平助の言葉に甲高い声を出して驚いたかと思えば、茜はカラカラと笑った。
「だってさ、俺どんだけ買って来たよ?団子だろ?風鈴だろ?朝顔だろ?甘酒だろ?」
指折り数える平助。
「私もたえさんもお代払うって言ってんのに、嫌だっていうからだよ」
「それは…何か示しつかねーだろ?」
口を尖らせて目線を反らす平助。
「別にいいのに。でも今日買ってきてくれた匂い袋は頼んでないよ?」
首をかしげて微笑む。
「そ、それはたまたま通りかかった店に、たまたま匂い袋が置いてあって、
たまたま茜が喜びそうだなって匂い袋があったから…」
くすくすと笑う茜。
「何だよ…いらねーんなら返せよ」
目を細めて軽く睨む平助。
「やだ。返さない。ありがと。嬉しい」
匂い袋を持つ手を胸元に寄せる。
「お前さ、前から我が儘だったけど、最近更に我が儘じゃね?」
「付き合ってくれる平ちゃんが優しいからだよ」
嬉しそうに笑みを浮かべる茜。
「じゃあ、今度どんな我が儘言おうかな」
鼻歌でも歌いそうな表情。
「だから言わなくっていいって。どうせ寂しいんだろ?
我が儘言わなくたって来てやるから」
軽く息を吐いて茜に笑う。
「やだ。約束するのがいいの」
少しばかり寂しげな表情の茜に平助は気づかない。
「そういえば今日はいつもの時間じゃないね?」
「ああ、今日はちょっと遠くまで行ってたから」
「そうなんだ」
「千鶴ってやつのさ、家を…」
「…千鶴って誰?」
平助の目をじっと見つめる茜。
「ぃや、その…」
目が泳ぎだす平助。
「女の子だよね?」
「んあ~、ごめん。言えねー」
頭に手を置いて目を伏せる平助。
「誰?」
平助を見つめる茜。
「…」
目を伏せたまま首を振る平助。
「じゃあ、この匂い袋その千鶴ちゃんにあげなよ」
手に持っていた匂い袋を差し出す。
「それはお前に買ってきたんだって」
少し眉間に皺を寄せる。
「じゃあ、言ってよ」
「あ~…もうぉお!!訳あって、新撰組預かりになってる千鶴ってヤツがいて、
そいつの父親を探してんだよ!」
半ばヤケクソになって応える平助。
「新撰組に女の子がいるんだ?」
少し目を丸くする茜。
「別に女って俺は言ってないからな。…誰にも言うんじゃねーぞ?」
「うん。…いいね。そのコ」
平助から顔を反らして伏せ目がちに呟く。
「そっか?色々雑用とかさせられてるぞ?」
「ね。私も新撰組行きたい。京に行きたい」
茜の言葉に目を丸くする平助。
「は?馬鹿言うなって!お前そんな身体で京に行けると思ってんの?
京に行ったとしても屯所の中に入れるわけねーし!」
「だって、ずっと平ちゃんといれるでしょ?」
訴えかけるような目で平助を見つめる茜。
「…」
平助は目を伏せて溜め息を吐いた。
「今の京は薩長の連中が集まってきてるし、物騒なんだ。
それに俺も忙しいから、もしお前が京にいてもいつも守ってやれねーし、看病もしてやれねー」
言葉を紡ぎながら茜を見据える。
「…ごめんね。言ってみたかっただけ」
少しの笑みを浮かべて平助を見つめる茜。
「…いいなぁ、その千鶴ちゃんてコ」
目を伏せて呟いた。
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椎名くん、そんな黒くないからっ!←
明日はキュンキュン言わせちゃる( ̄ー ̄)←ホントかよ
みふゆ