家を出ると決めてからまず最初にしたことは、荷物の整理でした。


持ち物は極力減らそうと思い、持っていた服の半分以上を捨て、それからDVDにCD、書籍類、アルバムや写真、手紙や年賀状なども捨てました。

 

また、モカに必要な物であっても、ゲージやベッド、キャリーバッグ、ドッグフードの在庫など新居で邪魔になりそうな物は思い切って処分しました。

 

同時に早急に新居探しをしました。


犬の飼育OKで、リーゾナブルで職場から遠くない賃貸物件はないかと必死でした。

これら全てを夫に悟られないように水面下で準備しました。


直前まで今までどおりの生活を続けたい、気まずい関係は避けたいと思っていました。私は気が小さいのです。

 

別居は、思わぬ良い結果をもたらしました。
家出していた息子と一緒に暮らせることになったのです。

 

そのため、彼のアパートを引き払う手続きや粗大ごみの処分、引っ越しの手配等、更に忙しくなりました。

 

息子はこの頃既に大学を中退しており、ほぼ引きこもりの状態にありました。

一度も部屋を掃除したことがなかったらしく、床は埃だらけ、足の踏み場も無いほど物が散乱している様子に、明け渡しに間に合うのか焦りました。

 

「出ていけ」と言われたときに、私は信仰を辞めないと宣言していたので、別居になるだろうと夫のほうも予測はしていたと思います。

 

しかし、当日買い物から帰ってきた彼に「お世話になりました。出ていきます。」と伝えると動揺を隠せないという顔で「出ていくんだ、じゃ、元気でね」とだけ応え、あとは無言でした。

 

家を後にした私は、離れた場所で待っていた息子とモカと共にタクシーで新居に向かいました。

 

つづきます。