娘へ、告知をするかどうか、と入院後しばらくしてから担当医から聞かれました。
小児がん、と言っても7歳の娘はまだピンと来ないだろう。
だけど、手術もしなければならないし、その後も辛い治療になるので告知はしたほうがいいんじゃないかと言われました。
私も、それに納得したので、小児がんとは言わずに告知する事になりました。
先生は、娘の手を持って、腫瘍があるところを触らせて
「◯◯ちゃんさ、今までお腹が痛かったりしたよね
入院して、たくさん検査頑張ってくれたね。
◯◯ちゃんが検査を頑張ってくれて、先生調べたら◯◯ちゃんのお腹に悪いバイ菌さんがいることがわかりました。
ここがぽっこりしてるのわかるかな?
これをやっつけないといけない。
先生は、◯◯ちゃんに今までみたいにこれからも元気に学校に行って欲しいから治したいと思ってる。
そのためには、手術をしないといけない。
◯◯ちゃんがお薬で寝ている間にお腹を切って、悪いやつをとります。
◯◯ちゃんが起きた時にはもう終わってるよ。
それで、その後はお薬で治療をします。
そのお薬は、気持ち悪くなったりしんどくなったり髪の毛が抜けてしまったりします。
だけど、◯◯ちゃんがなるべく辛くないようにしんどくないようにしたいと思ってるから、我慢しないで気持ち悪いとかしんどいとか教えてほしい。
いいかな?頑張ってくれるかな?」
優しく、娘にもちゃんとわかるように説明してくれました。
先生の顔をみて、うんうんと、頷きながらしっかり話を聞く娘を見ながらまた、私は泣いてしまいました。
娘は1度も泣きませんでした。
1番辛いのは娘なのに、私が泣いてどうするんだ…。
そのあと、娘と2人きりになったとき、娘を抱っこして謝りました。
こわい思いさせてごめんね
病気にさせてしまってごめんね
大事なキレイな体に傷つけてしまってごめんね
代わってあげられなくてごめんね
何度も謝りました。
娘は
「ママは何も悪くない。
大丈夫だよ、がんばるよ」
と言ってくれました。
とっても怖がりで、心配性の娘です。
本当は泣き叫びたかったと思います。
でも、私のことを考えてそう言ってくれたと思います。
手術の日までに2回くらい寝る前にボソっと手術こわいな…と言うときがありましたが、それ以外は何も言いませんでした。
私も、娘が口に出さない限り、病気の話はしませんでした。
お兄ちゃんたちには、パパが言いました。
一度、上のお兄ちゃんが、何の病気かと聞いてきたので、話そうか、と言ったら、やっぱりいい、言わなくていいと聞くのをやめたようです。
それからまた時間を置いて、2人に話したそうです。
下の子は、気になって少し調べていたみたいで、もしかして…と思っていたみたいでした。
2人とも、パパの話を冷静に聞いていたようです。
パパの両親にはパパから話してもらうようにお願いしていました。
私の姉は、1人は最初の入院から一緒にいてもらっていたので最初からわかっていたし、もう1人の姉には面会に来てくれたときに話しました。
両親には、面会に来てくれたときに、何の病気だったの?と聞かれましたが、今言ったら、帰りの運転が危ないから、また家にいる時に話すよ、大きな病気だったんだよ、とだけ話したまま、なかなか言えず、結局、術後2日目くらいの時に話しました。
母は大泣きし、父はどうしてあんな小さい子が……と肩を落としていました。
実家と自宅が近い分、よくお世話してもらっていたし、子育てを手伝ってもらっていたので、余計に辛い思いをさせてしまったと思います。
他にも友人や親戚、職場の人、近い人にだけ話しましたがみんな泣いてくれ、やれる事があったら何でも言ってねと言ってくれました。
親戚は、私に直接連絡したら泣いてしまうからと母に連絡してきたり、面会に行くと言うと、私に食べさせてほしいと炊き込みご飯をつくってくれたり、お弁当を作ってくれたり本当によくしてくれました。
今まで気がつかなかったけれど、私の周りには温かく優しい人がたくさんいる。
こんな事にならないとわからないなんて恥ずかしいけれど、私は幸せ者だと思いました。
辛い時、寄り添ってくれた人、何かできることはないかと助けてくれた人に感謝の気持ちは忘れずに、いつか恩返しができたらと思っています。