2022.7.16
パパが仕事を終えて、私の洋服などを持って面会に来てくれました。
パパが来ていることがわかっていたのか、しばらくして、先生が呼んでますと、個室に連れて行かれました。
右の腎臓が大きく腫れていること。
生検をして検査しないとはっきりとはわからないが、悪性の腫瘍である可能性が非常に高い事。
近くにあるリンパも少し腫れているように見える事。
肺にも少しあやしい影があること。
転移している可能性があること。
血圧が高いこと。
それは、腫瘍の影響であること。
がんの種類として、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)か腎芽細胞腫を疑っている事。
ウィルムス腫瘍である可能性の方が高いと言うこと。
今後の治療のためにカテーテルを中心静脈に入れる事。
それを生検と一緒にやりたいこと。
記憶がほんとにあやふやではっきり覚えていないのですが、こんなお話をされたと思います。
体の血がサーっとなくなるような、意識がふわーっとなくなりそうな、だけど頭はかぁーっと熱いような。
体をブチブチと引き裂かれているような。
とても痛いけど、どこが痛いのかわからない。
とにかく、今まで体験したことのない感覚でした。
勝手に涙が出そうになるけれど、なんだかわからないけど泣いてはいけないと思いました。
パパが目を真っ赤にして聞いている。
私も泣いてはいけないと。
だけど、どうにもならなくてボロボロと涙が出て止まりません。
何か、聞きたい事はありますか?
そう聞かれても、声も出ない。
パパは
「生検と言うのは、一部だけを取って終わりですか?
取れそうならば、悪いものは全てとってくれるんですか?」
と、聞きました。
「はい、できるだけ全て取れるようにします。
開けてみて無理と判断されれば一部だけ取ってお腹を閉じます。
全て取れるとなれば、腎臓ごと取ることになります。
お母さんは、何か聞きたい事ありませんか?」
涙が止まらなくて声が出せなくて、しばらく沈黙が続きましたが、やっと1つだけ聞くことができました。
「娘は、生きられますか?」
「悪性腫瘍、がん、と聞くと、衝撃が強いですが、大人のがんと子どものがんは全然違います。
子どもは治療の反応も良いです。
ウィルムス腫瘍であれば5年生存率は80%〜90%です。」
確かに、私のイメージよりも生存率は高かった。
でも、娘が80%に入れるとは限らない。
この子に限ってそんなわけ無いと、もうそんなことを思える状況ではありませんでした。
だってもうすでに、小児がんと言う希少な病気にかかっているんだから。
なぜこの子なんだ。
私の大切な娘なのに。
自分の命より大切な我が子なのに。
どうして私じゃなかったのか。
大人しくて控えめで、心の優しいこの子が、どうしてこんな病気にならないといけないのか。
大切な我が子が病気になる。
我が子を失うかもしれないと言う恐怖は、今まで生きてきた中で1番苦しくて辛いことでした。
今まで数々悩んできた事は、なんてちっぽけだったんだろう。
この世の終わりかもしれないと思うくらい悩んだ事もあったけれど、この恐怖に比べたら本当に薄っぺらくてどうでもいいことだったと思いました。