本の紹介をします。タイトルは「つきそう人」です。この物語の主人公は四十代の男性で、過去に少年院に入っていた弁護士です。少年が犯罪を犯したとき、加害者の少年には弁護士ではなく、弁護士の資格をもっている人がつきそい人として、少年の話を聞いたり権利を守ったりするそうです。この主人公はつきそい人として、様々な少年犯罪にむきあいます。少年犯罪にも色々あり、家でをくりかえしたり、犯罪ではないけど、親からの虐待に耐え切れず助けを求めてきた少女の話をきいたり、ひきこもりの人の話を聞いたりと仕事は多忙です。私はこの中で、ひきこもりの少年の話が特に印象にのこりました。彼は中学生でひきこもりになりました。ひらがなはわかるけど、カタカナや漢字の読み書きができず、家族からも先生からもクラスメイトからもバカにされ、本人もバカだと思い、自分の話を誰も聞いてくれないから、そのうちに誰にも話をしなくなりひきこもりになりました。でも、彼はバカではありません。ひらがなはわかるけど、カタカナや漢字が覚えられない病気でした。私はこの病気のことを知っていました。しかし、彼の家族も先生もクラスメイトもそのことを知らず、彼を追い詰めてしまいました。弁護士の主人公がつきそい人になり、彼はその病気だと母親に告げると、自分の子供がそんな障害をもっていると、受け入れられず動揺します。しかし、病気だと知った彼は、自分はバカではないんだと、少しづつ心を開いていきます。

私は以前、傾聴の勉強をしたことがあります。コロナの流行で勉強会には行かなくなり、そのままやめてしまいましたが、人の話を聞いてあげることがこれほどにまで、大切なんだなとこの本を読んで思いました。主人公のつきそい人は、彼の話を聞いてあげます。むりやり話をさせるのではなく、話の糸口を提供し、彼が話すまでじっくりまちます。あせらず、彼が話してくれるのをまちます。彼の話をしっかりちゃんと聞いてあげることで、彼自身で何かに気が付いていきます。そして、そこから一歩筒状況は変わっていきます。

これは、誰にでも言える事だけど、話をすることで、人の心は解放されるとおもいます。家出を繰り返すにも理由がある、親からの虐待に耐え切れず逃げてきた少女の胸のうちをちゃんと聞いてあげる、そういうことが大事なんだなと思いました。

つきそい人という仕事があることを私は知らなかったので、この本で勉強になりました。少年犯罪は色々です。でも、彼らの話を聞いてあげることで、その後の彼らの人生が変わっていくと思いました。興味のある人は、ぜひ読んでみてください。