うさこは目があまり見えないから、昨日お花をくれた相手がおおかみだとは知らずに、今日も森の真ん中に行きました。うさこが歌をうたいながらまっていると、

「今日は、ごきげんだね。」

と昨日のおおかみがやってきました。うさこは声を聞いて昨日お花をくれた相手だとすぐにわかりました。

「ママが、にんじんのカップケーキを作ってくれたの。よかったら一緒に食べようよ。」

うさこが言うと、おおかみはとても喜んで、うさこのとなりに座りました。

おおかみは、

「おいしいんだね、にんじんって。」

と喜んで食べました。うさこはおおかみに聞きました。

「あなたは、なんの動物なの?」

するとおおかみはだまりこんでしまいました。自分がおおかみだとわかれば、もしかしたら怖がって逃げて行ってしまうかもしれない。そこでおおかみは言いました。

「僕が誰かは言いたくないんだ。」

「どうして?お友達のことを知りたいと思っちゃだめなの?」

うさこは首をかしげました。おおかみは言いました。

「言いたくないこともあるんだよ。」

うさこは考えました。そうか、友達ってなんでもわかりあえるだけじゃないんだ、友達だからこそ言いたくないこともあるのかもしれない。今まで友達がいなかったうさこはそう考えました。

「うん、わかったよ。言いたくないならそれでいいよ。」

うさこが言うとおおかみは、ほっとしました。けれど、おおかみは心の中でうさこに「ごめん。」と謝っていました。自分がおおかみだと知られたくない、ただそれだけでこんなにも心の優しいうさこに秘密にしてしまったことを、うしろめたく思いました。

「耳がだらんとたれさがっていて、うさぎなのに飛ぶのも苦手で、ずっと友達がいなかったの。だから、初めてできた友達なんだよ。これから、よろしくね。」

うさこが言うと、おおかみは「友達」という言葉に心がほわっとあったかくなりました。

うさことおおかみは、カップケーキを食べ終わってから、青空の下、大きな声で一緒に歌をうたいました。