今日も、ショートショートストーリーを、書きたいと思います。今日は迷惑な先輩の話を書きます。タイトルは「最後の一言」です。
「最後の一言」
私の働く会社には迷惑な先輩がいる。その人は、三十代でよく婚活パーティーに行く。迷惑なのはその婚活パーティーに私も誘われることだ。そして、婚活パーティーに行ったら、先輩をひきたてなくてはならない。「先輩は、料理が上手なんです。お菓子作りも得意なんです。」などと私はとにかく、先輩をひきたてる。
先輩は婚活パーティーで彼氏ができるたびに「結婚する。」と言い出す。でも、交際は長くは続かずに、その結果破局し、そうなるとまた婚活パーティーに行く。そのたびに私も誘われる。
あるとき先輩が「今度こそ結婚する。」と言い出した。そして、お互いの両親に挨拶もすませて、いよいよ結婚という時に破局し、婚約破棄した。さすがに「婚約破棄」という経験をしたんだから、今度は婚活パーティーに行かないだろうと思っていたが、数年後先輩は四十代になって一人で婚活パーティーに行き、そこで出会った人とあっというまに結婚した。先輩には相手なんてどうでもいいらしい。とにかく「結婚」がしたいらしい。先輩にとっては結婚イコール、ゴールイン、ハッピーエンドという考えみたいだ。先輩は結婚をして会社をやめることになった。退職する日に私に先輩が言った。
「あなたも早く結婚できるといいわね。いつまでも若いんじゃないんだから。」
余計なお世話だと思った。最後までいやな先輩だった。
先輩が退職して一か月ほどたったある休日、私はショッピングモールで偶然先輩をみかけた。太っていてだらしない体系をしていた。となりにいる旦那さんは中年のおじさんで、二人は新婚カップルというよりも熟年夫婦という感じだった。
先輩が私に気が付いて声をかけてきた。そして、結婚の幸せアピールをやたらと言う。でも、その必死な幸せアピールからは幸せオーラは、全く出ていない。私は、もうこの先輩とは会うことも関わることもないと思って言った。
「それだけ立派に幸せ太りしたなら、さぞ幸せなんでしょうね。その大きなおなかには幸せがたっぷりつまっているんですか?」
私は、口をあんぐりとあけてまぬけな顔をしている先輩に頭をさげてその場を去った。
今まであの先輩からいやな思いをさせられてきた。ちょっとくらいいやみを言っても、きっと許してもらえるだろう。私はいい気分になって、おいしいチョコレートを買って帰った。
結婚って、本当に幸せなのかな。そんなことを思いながら、私はチョコレートを家でゆっくり食べた。