まちづくりの思想       | まちづくりの将来

まちづくりの将来

私たちが生きている地域社会を見つめ、これからのあり方を考えるブログにしたい。

田村明さんのことを小さなグループで語り合っている。

その方法として、田村さんが残した文書を読み意見交換をしている。

今年の5月上旬に始めた。

7月9日(火)で5回目だった。

メンバーは田村明さんに関わりが深い人。

それでも3,4人で2時間ほど。

会場は横浜市庁1階の「横浜市市民協働推進センター」である。

 

 

この日は「まちづくりの思想」というたいへんなタイトルの文書である。

正式には「まちづくりの思想~都市とごみをめぐって~」である。

掲載誌は「思想の科学」(1988年9月号)。

なんともいかめしい。

この月刊誌は今も刊行されているのか、調べていない。

内容は掲載誌編集者へのインタビュー形式によるものである。

 

 

手許にあるのは原本ではなく、NPO法人田村明記念まちづくり研究会がPDFで整理したもので、A4判で7頁半の分量のもの(ホームページに掲載)。

 

 

まちづくりの思想とは何か。

田村さんはごみの問題と政策を対象に語っている。

1980年代の後半で、自治体の役割を説き、その立ち位置の総合性と土地利用計画の独自性を提起している。

 

 

1年前の1987年12月に田村さんは岩波新書の「まちづくりの発想」を出されている。

黄色版の岩波新書であって、ネットでは今は絶版とある。

 

 

私は当時、何度も読んだ。

大学の講義でもこの本をよく使った。

ひらがなのまちづくりは漢字の「街づくり」「町づくり」とは違うと説明したことを覚えている。

ひらがなのまちづくりは市民が主役という解説をしていた。田村

 

 

そのつながりで「まちづくりの思想」は読まなければならない。

市民の自治体のまちづくりの考え方を語っているということだ。

田村さんはその後に、同じ岩波新書に「まちづくりの実践」「まちづくりと景観」を書いている。

基本的考え方は「まちづくりの発想」と同じである。

 

 

田村さんに紹介していただき、私に学位論文の作成を進めてくれた恩人の本間義人さんがいる。

毎日新聞編集委員、九州大学教授、法政大学教授として、土地問題や国土計画を発信し続けた人である。

数年前に亡くなっている。

 

 

田村さんによれば、「まちづくりの思想」という本をその本間さんから書きたいという相談を受けたという話を聞いていた。

本間さんがなぜ上梓されなかったのを存じ上げないが、この思想の科学の文書を読みながら、その事実を思い出した。

 

 

まちづくりの思想は地方自治の思想である。

それをまとめることは大変なことだが、1980年代にはそんな自治を語ろうとする勢いがあったということだ。