ベトナムの朝は早い。
午前6時30分。
果物を売りに来るおばあさんのベトナム語が、心地良いハーモニーとして耳に響く。
それが目覚ましとなり、心地よく目覚めることができた。
朝食を探しに外に出てみると、ブイビエン通りの裏路地にある1軒のフォーの店を見つけた。
店内では15、16歳の少女がフォーを作っている。
彼女の手際の良さがおいしそうに見え、「フォーをください」とジェスチャーを交えて英語で注文すると、少女は笑顔で頷いた。
小さなテーブルに座り、待っていると、美味しそうなフォーが運ばれてきた。
普段よりも2倍くらい太い麺に、細かくちぎられた肉、そして苦手なパクチーがたっぷりと入っていた。
それでも、フォーの出汁が上品で、パクチーも含めて完食した。
朝食はここで決まりだ。毎朝、ここで食べることに決めた。
8時の授業に間に合うように、同じホテルや近隣の日本人2人と自転車で出発した。
ベトナムの交通渋滞はひどい。
車やバイクがあふれ、道路を横断しようものなら命がけだ。
その流れに乗りながら自転車を漕ぐと、ベトナム人の一員になったような錯覚に陥る。
学校までの道中、ベンタイン市場や独立宮殿、レックスホテルなどの建物を眺めながら、ここは本当にすごい場所だと感じた。
昨日までの心配はどこへやら、今は、ベトナムに来た実感を感じることができる。
学校に着いて、自転車を置く場所に向かうと、何台もの自転車がある。
すごい数だ。
自分の自転車を見つけやすくするために、相手に確認することなく、いきなり係員がサドルに白いチョークで名前を書き始めた。
「ちょっと待って、ストップ」と言おうとしたが、お構いなし。
郷に入っては郷に従え、ということか。
さあ、今から授業が始まる。