(前日のあらすじ)

ベトナムホーチミンに到着するも、誰も迎えに来ておらず、業者に支払い済みであった宿泊先もわからず、途方に暮れていた。偶然見つけたホテルで優しい女性に出会い、翌日大学へ同行して、ベトナム語講座が開かれている教室を探してくれることになった。

 

1998年3月2日(月)雨

 

朝、目が覚めると、窓の外はしとしとと雨が降っていた。

 

まるで自分の心模様を映し出しているかのようだった。

 

ホテルで朝食を済ませた後、オーナーにお礼を伝え、ホテルの娘さんの通学時間に合わせて一緒に車に乗せてもらい、ホテルをチェックアウトした。

 

ホーチミン市総合大学に到着し、まずは教務係を訪ねた。

 

ベトナム語講座があるか尋ねたが、まったく知らないという返事が返ってきた。

 

困り果てていると、娘さんが「日本人の教授がいるから、その人に聞いてみたら?」と助言してくれた。

 

教授のところに行ってみたが、その教授もベトナム語講座については知らなかった。

 

しかし、教授が業者に連絡を取ってくれたおかげで、業者のスタッフがこちらに向かっているとのことだった。

 

日本人の教授にお礼を言い、娘さんにも感謝を伝えると、娘さんは学校の授業へと立ち去った。

 

数分後、スタッフと会うことができたが、開口一番「なぜ連絡をくれなかったんですか」と怒られてしまった。

 

申し訳なく思い、いろいろと言い訳をして謝罪した。

 

授業は昼から始まるということで、まずは宿泊先に案内されることになった。

 

宿泊先は大学から徒歩なら1時間、自転車で15分ほどの距離にあるブイビエン通りのホテルだった。

 

ブイビエン通りはホーチミン市でバックパッカーに人気のある安宿街で、1泊300円から500円程度のホテルが並んでいる。

 

ホテルの1階は経営者の家族が住んでおり、その横の階段を上って3階の部屋へと案内された。

 

部屋に入ると、トイレと風呂は一緒だったが、シングルベッドが二つあり、一人には十分すぎる広さだった。

 

ホテルの経営者の家族は4人家族で、とても仲が良さそうだった。

 

同じくらいの年齢の娘さんがいて、日本語クラスに通っているということで、時間があるときには話をしてみようと思った。

 

これから、このホテルを拠点に約3週間のベトナム生活が始まる。

 

昼からは大学の授業に出席する予定だ。