1998年2月22日(日) 晴れ
午前6時起床。
朝からシャワーを浴び、ホテル料金に含まれていた朝食も取らずに、早速アカデミア美術館に向かう。
というのも、日曜日は、どの美術館も午後2時までで、明日の月曜日にはほとんどが休館ということもあり、今日中に行きたかった美術館に行かないと、明日は見れないからだ。
アカデミア美術館の目的は、ダビデ像のみ。
午前8時30分に入館し、美術館を出るまで、たった20分間の滞在だった。
次に訪れたのは、ウフィツィ美術館。
名前はここを訪れるまで知らなかったが、フィレンツェで一番有名な美術館だ。
なんといっても、ここには、あの『ミロのビーナス』が飾られている。
午前9時30分頃から列に並び、入館できたのが10時15分。
たくさんの絵画の中で、『ミロのビーナス』だけがカメラのシャッター等による絵の劣化を防ぐためのシートが設置されており、厳重に警備されていた。
ウフィツィ美術館を出た後は、再びポンテベッキオ橋を渡り、ピッティ宮のパラティーノ美術館を40分ほどかけて回り、ポーボリ宮殿に行く。
そして、さらに川沿いをかけ上りあがり、ミケランジェロ広場へと向かう。
ここからは、フィレンツェ市内を一望でき、眺めは最高だった。
このミケランジェロ広場には、ダビデ像が設置されており、アカデミア美術館のダビデ像と合わせて2体見たことになった。
それから、ユースホステルへと向かった。
目的は泊まるためではなく、先にイタリアを訪れていた日本の友人からの手紙を受け取るためだった。
この当時、携帯電話というものはなく、お互いの連絡手段は大使館(領事館)への置手紙くらいしかなかったので、旅行前に、もし連絡事項があれば、各地のユースホステルに置手紙をしておこうというのが共通の認識事項だった。
しかし、ここに置き手紙はなかった。
仕方なく宿泊先のホテルに帰ろうとすると、僕と同じ年齢位で背丈の小さな金髪の女性から声を掛けられた。
ヴェローナのユースホステルで初めて出会った女性で、実は、ヴェニスのユースホステルでも出会い、挨拶を交わしていた。
聞けば、それまでブラジルの男性と一緒だったが、今は一人旅だということだった。
僕たちは、その日、1日だけ行動を共にすることにした。
(続く)